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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

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ダークエルフの話とか

 先ほどダークエルフの女性が言っていたエルフの英雄の内の一人、パティア・キーファス。この人物はエルフ出身でありながらエルフも泥にまみれるべきだとしてヤスヒサ・ノガミに協力。魔法ではなく医術を同じエルフのマウロ・ハリス学び、その力でヤスヒサ・ノガミの軍の死傷者を大幅に減らし戦後の人口増加に貢献したという。


英雄たちと同じく長寿でその死の直前まで医術を医学として昇華するために献身を尽くしたと語られているらしい。エレミア物知りすぎだろと全員が思い感嘆した。とうのエレミアは照れたのか咳払いを大きく二回ほどしてマテウス・キーファスに話題を向ける。


「気になってたけど”御座る”って言葉遣いは確か遥か東方のナギナミの国の方言でしょ? なんでダークエルフでしかもキーファスがそんな」

「込み入った事情はお話しできませんが、見ての通り拙者はダークエルフ。パティア・キーファスはエルフの英雄で御座る。共通点はキーファスという名字のみ」


「キーファスなんていう珍しい名字がそこら中にはないからそういうことね」

「そういうことって?」


「パティア・キーファスの旦那の別の奥さんの家系ってことよ」

「おい、あんまり坊を虐めてやるなよ」


「師匠」


 ふらりと現れた師匠。顔からしてだいぶ絞られたらしく本当にふらふらしながら現れたので急いで席を立ち、マテウスと共に場を作り椅子を出して座らせる。師匠から何があったのかと問われたので説明すると、深く溜息を吐いた。


「ダークエルフは元々エルフに土地を追われた者たちだ。その後各地に散らばり土地に溶け込んで生きて来た社交性も高い種族なんだけどな。親父も多くのダークエルフと交流しもちろん部下にも居たが皆忠臣だった」

「だった、ですか」


「ジンも知っているだろうが、エルフやダークエルフは人間よりも寿命が長く魔法を扱うのに長けている。以前は人間が支配される側だったんだ。最近はそれを知って優生思想を唱えるはねっ返りも増えてきている」

「エルフも表に出て来て同じ土俵に立ったと思ったからこそ芽が出て来た感じよね」


「否定は出来ないで御座る。特に魔術粒子が星に蘇り出している昨今、徒党を組んで行動を起こそうとしている連中が多く存在するのが現状」

「とはいえ親父がもたらした友好と平和はまだ死んじゃいない。そんな連中が幅を利かせられるほど増えたとは聞いてはいないがな」


「騒動の話を聞いたでしょ? 連中は大人しく力を磨いて寝首を搔くため頑張ってる最中みたいよ。暗闇の夜明けの勢いが凄いのもそう言う連中の後ろ盾があるからだし」


 エレミアの発言に押し黙る一同。その間にさっき注文した料理が運ばれて来た。師匠も同じものを頼むと言ったのでこちらのをどうぞと差し出すと、有難く頂戴すると言ってくれて手を合わせてから食べ始める。師匠より先にご飯を食べられないので受け入れてもらって何よりだ。


「こちらの方は先生の弟子なので御座るか?」

「そうだ坊。一番下の弟子になる。坊は先輩だから何かあったら面倒を見てやってくれ実年齢もそんな変わらんだろう」


「なるほど……この方もエルフかダークエルフの混血なので御座るな。気の感じが普通の人間と違うのに見た目が人間なので驚いていたので御座るが……。お隣の女性もそうで御座るよな?」


 エレミアと見合った後で視線を宙に向ける。どう説明したら良いものやら的確な回答を見つけられない。それを見て師匠は笑い声をあげてからマテウスにありのまま説明してしまった。


「ジンは異世界から来たし、こっちの嬢ちゃんは恐らく祝福でも受けて死に損なったんだろう。安心して良いここには人外しかいない!」


 楽しそうに笑う師匠に対し他三人は複雑な顔をする他無い。マテウス・キーファスの父親も出身などはわかっているが、人間ではあるものの特殊能力を所持していたらしく人間とは言い方存在だったらしい。


「まぁ親父やマウロ先生はあの時代特有の特殊能力だろうな。あれ以降親父たちの特殊能力は誰も発動させていない。それに関する技術もパティアさんによって消滅させられたしな」

「よっぽど危険なものだったんですね」


「成功率が一万人に一人とかのレベルの人体改造によるものだからな。以前はそれでエルフが大量に死んでたと言うから誰も復活させない」


 パティアさんから直接聞いたという師匠曰く、エルフは寿命の割に体が弱く環境適応力が低かったため、魔法が消失した場合を考え肉体を改造し環境に適応しようとしたらしい。最初は大人最後の方は新生児に行い、未来への活路を求めたという。


「すまんな食事時にこんな話を」

「いえ勉強になります」


「私たちそう言う話なれてるから平気よお爺ちゃん」

「え!? なんで御座るかこれ!?」


 シシリーは大人しくしているのに飽きたのか、出て来てエミリアのお皿に近付きご相伴に与り始めた。恐らく師匠がここには人外しかいないと言ったので安心して出て来たのだろう。


「なんだって見りゃ分かるだろ? 妖精のシシリーだ」

「え!? そんな雑な説明ないで御座るよ先生!」


 うろたえて立ち上がり大きなリアクションをするマテウスに対し、エミリアも師匠もそしてシシリーも首を傾げる。


読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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