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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

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期せずしてシャイネン観光

 城の一階の奥に大広間がありそこに移動して席に着くと、豪華な食事が運ばれて来て頂戴することに。だが母上の機嫌は一向に良くならず、美味しそうな料理の味は全く記憶にない。その日は師匠が用意した宿で休むよう言われ、次の日までには機嫌を直させるから朝また来て欲しいと師匠は言ったので励ましの言葉をかけ城を後にした。


兵士の人から町の地図を貰い、宿にしるしを付けて貰ってそこを目指して歩く。歩くこと五分ほどで着いた宿は、シャイネン以外からの旅行客も泊まるところで通常と変わらないので少し安心した。エレミアとは別の部屋が用意されていたのでそれぞれの部屋で就寝する。シシリーはずっと寝ていたが、部屋に入り受付で借りたタオルに包むと目を覚ました。


「シシリー大丈夫か? ずっと寝ていたが」

「うん……思った以上に疲れてたみたい。でもここにきて一気に力が回復した」


「今シャイネンに到着したんだ。ここは師匠が紹介してくれた宿だよ」

「そうなんだ……そしたら二度寝しよう」


 そう言って再び目を閉じ寝息を立て始める。取り合えず体調に心配はなさそうなので部屋に最初から置いてあった籠に入れ、自分も装備を外して就寝した。カーテンから漏れる朝日に目を覚ます。シシリーが朝早く目覚め、カーテンの隙間から顔を出し町の様子を見ていたので漏れていたようだ。


起き上がりシシリーの横に行ってカーテンを開けると、朝の挨拶をしてくれた後肩に座る。ヨシズミ国と全く違い別の世界に来たようだとシシリーは言う。異世界から来た自分ですらそう思うくらいだから、シシリーがそう思うのも無理はない。


なんだか人間が妖精になっているみたいと言う感想に違和感がないシャイネンの風景を見ながら、エレミアが部屋をノックするまで二人で眺めていた。


「もうアンタの御師匠さんも起きてるでしょうから城に行きましょう」


 エレミアに観光はしなくて良いのかと尋ねると、どうせあのシスターあたりが頼まれなくてもしてくれるでしょと言うので確かにそんな気がするなと思い、地図を見ながら城へ向かう。初めて訪れた町では必ず地図があった方が便利だと今更思いながら城に着くと、門兵たちに挨拶し用件を告げる。


師匠は有名でも地方の有名人はシャイネンでは一般人と同じ。問い合わせますと言ってくれた門兵たちの対応に感謝しなければならないだろう。暫く待つと門兵の上司が現れ、どういう用件かと聞かれたので師匠と弟子であることを先ず伝え、朝来るよう言われたと話す。


師匠たちはこの国の重要人物なので仕方がないが、このやり取りが数回この後繰り返され宿泊先を聞かれた後でまた連絡すると言われ、帰らされることになってしまった。


「なんだか面倒な感じになってるのね」

「まぁ相手は要人だし仕方ないわ。本来あんな気軽に会えるような人たちじゃないもの」


「そっか……師匠が接し易くしてくれてるから忘れてしまっていたけど、竜神教の上層部だもんな」

「しょげてても仕方ないし、観光でもしましょうよ!」


「そうね、ジンも多少金銭は持って来たんでしょ?」


 お財布を当てにされているらしい。とは言え今することもないので、シシリーとエレミアと共にシャイネンの町を散策することにした。おしゃれと言うよりも前衛的なお店、というか観光地特有の御店が表通りはとても多い。


シャイネンの文字と町の風景が掛かれた紙やシャイネン文学書によくわからない人形、シャイネン特製の木刀まであり魔法都市とは? と皆で首を傾げてから笑ってしまった。偶々通りかかった飲食店に入ってスパゲッティを頼んだが、なんと言うか美味しくもなく不味くもないが料金が結構して、シシリーもエレミアもヨシズミ国の甘味処を懐かしがってしまう始末。


ただ観光地となっている町にありがちな一部分でもある。こういう場合やはり町の奥の方、メイン通りから外れたあたりの店が狙い目じゃないかと言うと、二人はそこに一縷の望みを掛けようと同意してくれたので探しに歩く。


「あら普通の人間がこんなところに何の用かしら? そういう連中の店は大通りに集めてあるはずだからあっちに行きなさいよ」


 丁度見たところ煌びやかではないが町の人が結構入っているお店を見つけたので入り、御店のウェイトレスさんも快く案内してくれたが、その途中の席から女性が一人立ち上がり道を塞いでくる。見ると白い装飾の豪華なスーツの上下を着て眼鏡をかけた白い髪のダークエルフの女性だった。


ウェイトレスさんが申し訳御座いませんと言いながら横を通り過ぎて行き、同じように続いて行く。一番奥の席に案内されメニューを渡されおすすめのものを案内してくれた後、少ししたら注文を伺いに来ますと言って一旦下がった。


「ちょっとあなたたち、私の話を聞いて無いの?」


 エレミアやシシリーとメニューを見ながら今度こそは美味しいものをと一生懸命に探していると、またさっきの女性が話しかけて来た。エレミアは女性に視線を向けると申し訳御座いませんとにこやかに言ってまたメニューに視線を戻した。


が、女性はエレミアの態度が気に入らないのかメニューを乱暴にひったくった。これは不味い……ゴングが鳴ってしまう!



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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