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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

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眠り姫

「おいおい、俺抜きで始めないでくれよ」

「おや複数人プレイがお好みかい? 坊や!」


 上手く割って入れたがウィーゼルの滞空時間がやけに長く、二度三度と不死鳥騎士団の盾に蹴りを入れられ体が泳いでしまう。


美しき女神(ディオサ)!」


 一撃喰らうのもやむを得ないと覚悟していると、今度はエレミアが美しき女神(ディオサ)でウィーゼルの攻撃をカットしてくれた。泳いだ体を立て直し、側面から攻撃するも紙に攻撃したかのようにふわりと逃げられてしまう。


一体どういう仕掛けで回避しているんだと困惑しながらも、これまで数多くの冒険者を葬ってきたというのは嘘ではないとわかる。こんなのがウロウロしていては冒険者たちが危険に晒され続けることになってしまう。


「さぁてここでアタシを倒して見るかい? お二人さん」

「言われなくてもそのつもりだけど?」


「あらそう。ジン・サガラは一刻も早く家に帰りたいと思ったんだけど違うのかねぇ」


 そういえばエレミアが何か教えてくれるって言ってたと思い見ると、苦い顔をしてウィーゼルを見ていた。ウィーゼルの言うようにまた家に何かあったんだろう。それも早く帰った方が良い何かが。


「別にアタシは続行しても構わないし、解散しても構わない」

「逃がすというの?」


「逃がすもなにも、アタシは今回別の目的でここに来たんだからアンタたちを殺すのは役目に入ってないんでね」

「また別の目的か。その目的は果たせたのか?」


「駄目だね。潜られちまったよ。アタシを出し抜くなんて中々やるなとは思うけど、かなり突っ込んで調べてみないと全貌が見えなさそう」

「今回の件でうちの国の出入りは厳しくなるが大丈夫か?」


「立て直しまでに時間がかかるだろうからその間に探すよ。さて、あまり長居してもゲンシ・ノガミに見つかったら面倒だから今日は帰るわ。またね」


 散歩にでも来たかのような気軽な挨拶をして去っていくウィーゼル。攻撃は全く本気ではなかったんだろうなと思うと更なる修行が必要だなと思いゲンナリする。


「エレミア、俺に教えたいことってなんだ?」

「アリーザが止まったままよ」


「え!?」

「あなたの話をベースにして考えれば、恐らくその神とかいうやつは是が非でもあなたをその不可侵領域に連れて行きたいらしいわね」


 テオドールもあっさり引き下がったのは、アリーザさんが目覚めないとわかっていたからか。アリーザさんを目覚めさせるための方法はやつらしかわからないのだろう。どうしても俺を不可侵領域に連れて行きたい意味がよくわからない。そこのところを調べるにはどうしたらいいのか。


「エレミアは不可侵領域の話を聞いたことがある?」

「もちろんよ。この世界でそんな場所は一つしか存在しないからね。この星の全ての生き物の発祥の地と言われていて、周辺の国もそこだけは絶対に入らないようにしている。ヤスヒサ・ノガミがまだ冒険者として駆け出しの頃、そこで止む無く戦闘を行ったって聞いてたわ」


「へぇ、嬢ちゃんそんな話も知ってるのかい?」

「師匠!」


「ゲンシ・ノガミ……いつの間に」


 師匠がエレミアの背後に現れ煙管をくゆらせながら立っていた。師匠が知っている範囲では、ヤスヒサ・ノガミの妻の一人、月読命と当初敵対していて初めて大規模戦闘を行った場所らしい。それ以外ではヤスヒサ・ノガミよりももっと前の時代に英雄として活躍した、剣星アルブラムが眠っているという記録があるという。


「古文書に曰く、この星に危機がありしとき、剣星アルブラムは蘇る。敵は必ず殲滅され再び眠りに就くであろう、と」

「ヤスヒサ・ノガミの時代もこれまでも、一度も蘇っていないのなら眉唾では?」


「かもしれん。だがクロウ・フォン・ラファエルがご執心となれば話は別だ。なんらかのキーがそこにある可能性が高いだろう。本人曰くこの世界を作った神なのに知らないんだからな」


 確かに神さえ知らないなにかがあるとするならば、それを見てみたいっていう気になってもおかしくはない。俺が行くことでなんの意味があるのかと問うと、異世界から来たっていうのがなにか関連しているのかもしれないという。


竜神教の大支部があるシャイネンの図書館になんらかの文献があるかもしれないと師匠が教えてくれたので、そのうちシャイネンの図書館には行って調べなければならない。後手後手では相手の良いようにされてしまう。


師匠とエレミアと共に焼失してしまった家の前まで来ると、コウガ達が待っていてくれた。エレミアの言う通り、アリーザさんは息をしているが目を覚まさないという。シスターが一旦教会に連れて行ったと聞き、その足で教会に向かう。


司祭が入口にいて現状を尋ねたが、やはり息はしていて脈拍も正常だが目を覚まさないと教えてくれた。魔法的なもので眠らせられているのではないかと問うと、それはないだろうと言う。司祭もシスターもあらゆる手を尽くしてくれたようだが、全く反応しないらしい。


「となるとやっぱ大きな力が働いているに違いねぇな」

「間違いないだろうね。こんな状態に出来るものはシャイネンにも竜神教本部にもいないと思う」



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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