表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第三章 爵位の意味を探して

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

165/616

王を探して

「ジン・サガラが来たぞ!」


 下へ行けば行くほど敵が増えあっという間に見つけられ戦闘が始まる。エンカウント率が酷くてゲームだったらクレームの嵐だろうなと思いつつぶっ飛ばしていく。一応城の周りにある堀に飛ぶよう風神拳を打っているので生きているだろう。


彼らにはなるべく多く生き残って貰い、事件を解明するために協力して貰わなければならない。その後生きていればどういう処罰が下されるかは誰もがわかっているからこそ命懸けで向かってくる。守備側にはその覚悟をする時間がなかったからこその劣勢なのだ。


「つ、強い……こんなのがなんでシルバー級なんだ……」


 ならばその勢いを削ぎ、殺し、押し返せば一気に形勢は逆転する。暗闇の夜明けが介入してこなければ時間はかかってもそうなるだろう。テンションが高いからなのか、風神拳をどれだけ打っても疲れた気がしない。


「俺はここにいるぞ! ジン・サガラはここだぞ!」


 一階に到着すると大声で叫ぶ。いきなり叫んでしまったのでシシリーにビンタされて怒られたが、敵は俺の声を聞いてかかってくるどころか逃げ出す者までいたので効果はあってよかった。人間教が新興宗教じゃなければ武人も多くいただろうし、上位冒険者の中にもいたかもしれない。


人間教と貴族主義の同盟に納得していない者たちも参加していないような気がする。見た感じ兵士と貴族主義の貴族よりも、人間教の信者が多い。


「ち、ちくしょう!」

「お前たち! 早くソイツを始末しろ! ソイツさえ始末してしまえばほぼ終わったも同然だ! 王の家族は捕らえたのだ!」


 後ろの方からがなる貴族が情報を教えてくれた。王が自ら戦わないのも家族を人質にとられているからか。


「嘘を吐くな。王妃たちを人質に取れたという証拠はどこにある?」


 周囲の気を探りながら一瞬シシリーに視線を向けて元に戻す。シシリーはなんとなく察したのか俺の首元に回ってから飛び立つ。王妃たちを取り戻せば奴らは本格的に崩れる。


「嘘を吐いてなんになる?」

「十分効果があるだろう脅迫するのに。いるぞいるぞと言ってな。ちなみに俺は」


 右足右拳を引き、後方の貴族へ左手を突き出し照準を合わせる。全力ではないのは出来ればあの貴族を人質にとっておきたいからだ。


「見なきゃ信じない性質なんでね。撃つぞ?」

「はん! そんな脅しに誰が……ひっ!?」


 多くの信者と兵士と共に貴族も風神拳によって吹き飛んで行く。最初の頃と威力が変わったので全力でないとはいえ大分吹き飛んでいる。前の方は直撃を受けているので傷を負いながら地面に落ちた。


「おーい生きてるかー死んでないかーっと」


 吹き飛んだ突き当りまで移動し倒れている兵士や信者をどかしながら貴族様を探す。一番奥の角で鼻血を垂らしながらノビている鼻の尖った金髪のロン毛を発見。鎧も初めて着たのがわかるほどの新品で目が痛くなるほどの金ぴかだ。ノービル殿下はこれより酷いかもしれないと思うとげんなりする。


人質として運ぶのに面倒なので嫌だが貴族の鎧を脱がし、肩に担ぎながら移動して行くと音を聞いて駆け付けた連合諸君が現れた。肩から下ろし腰に抱きかかえて見せると慌てふためき卑怯だと罵ってきた。


「いやお前らも王妃たちを人質にとってるじゃねーか」

「何の話だ!」


「そうだ卑怯者め!」


 どうやらこの貴族様の虚言だったらしい。まだ完全に安心できないのでシシリーの報告が来るまでは油断は禁物だ。人質の鼻尖り貴族を下に置いて連合諸君をぶっ飛ばしていく。同盟を組んだとはいえ所詮は自分たちとは身分が違う、一緒に戦えないと自分たちで固まるのは実に貴族主義者たちらしくて面白い。


「ジン!」


 シシリーの声が後ろからして来たので振り向き手を伸ばすとそこに止まり肩へ移動すると報告をしてくれた。どうやら城の外で王妃たちを人質に取っている奴がいるという。どうやら連絡が行き届いて無いらしい。このまま無視して王様を助けたところで人質として使われたら元も子もない。中から

それが見える位置までシシリーに案内してもらいながら移動する。


「なんだありゃ」


 見れば二メートル以上あるライオンの顔をして鎧を着、斧を持った人物が立ち、その下に王妃と王女がいて周りを信者と兵士が囲んでいる。シシリーと話し合い、シシリーが一瞬気を引いた隙をついて王妃たちを救出する方法で行くことにした。


少し離れた場所の廊下の窓を開けそこから外に出て茂みに身を隠す。幸いこっちの方には人が来ていなかったのでそのまま茂みの中を移動した。シシリーから注意してと声が掛かり速度を落として音を立てないようゆっくり壁沿いに進んで行く。


「おい! まだ王は見つからないのか!?」

「はっ! 中庭に変なジジイと中にはジン・サガラがおり、正面にはクライド・イシワラが暴れていて中々……」


「暗闇の夜明けの連中はどうした!」

「一人いるはずですが見えません!」


「宰相閣下は!」

「居られません! ノービル殿下が指揮を執り王を捜索中です!」


 運が良いのか連中が間抜けなのか、聞きたい情報がだいぶ聞けた。気になるのはクライドさんが外にいて宰相が味方にも居場所がわからないという点だ。ノービル殿下が表立って動いているのは当たり前だが、その協力者であろう宰相がいないのがわからない。


まさかとは思うが、時期早々とみて身を隠し乱が収まるのを待っているとか無いだろうな。冷静に考えれば頼りにしている暗闇の夜明けの協力も少ないし、貴族連合と人間教の同盟もふわふわしているからそうするのはわかるが。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ