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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第三章 爵位の意味を探して

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舞台へ向かう朝

「ジン殿、朝です起きて下さい」

「んご……」


 ゆっくり目を開けるとアリーザさんが耳に髪を掛けながら微笑んでいた。とても美しく良い眺めだと思いながら微笑んでいると


「まったくいい加減にして欲しいわよね家の前で倒れてるなんて心臓に悪いんだから」

「本当ですよ。アイシアが見つけてくれなかったらどうなっていたことか」


「ホント良い子ねアイシアちゃんは!」

「流石我が家の番犬!」


 一斉に賑やかに囲まれて朝が来た感が凄い。こうしていると弱気の虫も目を覚ましそうなので、上半身を起こす。見ればベッドに寝かされていたので聞くと、コウガとサガが運んでくれてアリーザさんが鎧を脱がして寝かせてくれたという。ちなみにシシリーもギルドでの手伝いを頑張ってくれていて目を覚まさなかったらしい。


「皆ありがとう」

「どういたしまして。偶には荒れたい時もあるわよね」


 ベアトリスはそう言いながら頭を撫でて来た。荒れたというか完膚なきまでに叩きのめされて気がゼロになっただけなんだが、それを言うとなんでそこまでしたのか突っ込まれそうなのでそのままにしておく。


「今日は皆家の周りの整備を?」

「そうですね、引き続きそうして行こうと思っています」


「よろしく頼むよ。今日から周辺警備に駆り出されるから」

「子爵も大変ね実入りも無いのに」


「仕方ないよこれは国からの強制だから断れないしね。後を頼むよ」


 ベッドから起き上がり居間に移動し皆で賑やかな朝ご飯を頂く。綺麗に食べ終えた後お茶を頂いていると、玄関のドアがノックされる。皆に行って来ますと告げ鎧を付けようとすると、アリーザさんやベアトリス、それにマリノさんイーシャさんにカノンが手伝ってくれてあっという間に着替え終えて玄関に行く。


「じゃあ皆、行って来ます」


 そう告げて玄関の扉を開けるとエレミアがそこに居た。緊張で胃の辺りが冷たくなるのを感じる。外へ出ればそれはスタートの合図。足が竦みそうになる。だが敵は待ってくれない。行くしかない。


「さぁ始めましょうか」


 足を踏み出し完全に外へ出るとエレミアは俺に微笑みかけ背を向けて歩き出す。ここから先は相手が先手でこちらは後手。凌いで凌いで凌ぎ切る。


「まだ私たちの出番じゃ無いわ。緊張しないで」

「そうは言うけどな始まると知っててのほほんとは流石に出来ない」


「案外線が細いのね嫁さんが五人も居るのに」

「多すぎだろ嫁さん……っていうか五人て誰のことだ?」


 まだ人通りの少ない町を歩きながら、ギルドで一緒に仕事をしていた時のような会話をしていた。からかわれているんだろうなと思っていると、エレミアは指を差して言う。


「あの子が言っていたわよ。私をずっと見張っていたあの子が」


 その先を見るとそこにはシスターが腕を組んで仁王立ちしている。まさかシスターがエレミアをずっと見張っていたとは知らなかった。エレミアが大人しくギルドの仕事をしていたのも、見張られていたからなのか。


「おはよう二人とも。よく眠れたみたいね」

「どこにいても警備が居るんだから枕を高くして眠れるんだもの。おかげさまで絶好調よ。町一つ潰せるくらいには充実しているわ」


「それは良かった。その警備も今日で終わりだから安心して眠ると良い」

「御呼びじゃないのよ竜神教。お前たちはまだ先よ。だけれど必ず首は取ってあげるから今は大人しく犬の振りでもしてなさいな」


 挑発をし合う二人を止めようと迷ったが、ここは下手に入らず見守りながら周囲を警戒するのが正しいだろうと思い突っ立っていると


「ジンはよく眠れたか?」

「見なさいよアンタが余計な事言うからジンが怯えちゃったじゃないの。私たちと違ってこの子は子犬なんだから脅かさないのよ」


「それもそうだったな。行くぞ」


 二人の間で納得して城へ向かって歩き出した。確かに三十五歳児と言われても仕方ない面はあるが子犬って……女神様もびっくりだろ。雑談をしながら城へ向かうが道中は何もなく穏やかだ。城下町に入ると人々はお客さんを迎えるために開店準備を始めていた。


「宰相閣下、ご指示通り周辺の警備にあたります」

「頼む。これが警備の配置図だ。ジン・サガラとエレミア・アナヒルの両名にはこの配置図にある部隊のフォローをしてもらう。二人ともぬかりないようにな、なにもないと思うが」


 城へ着くとエレミアの案内で宰相閣下の部屋へ赴き挨拶するとそう言われて紙を渡された。確かに見れば大きな穴はない。だがこれを了承したのが宰相ならどこが穴なのかは分かっているだろう。この警備の仕事は通常時も行われているもので、これまでは何も起こっていないという。


「心得ました。子爵としての務めを果たしましょう」

「うむ。貴公らはギルドの補佐もしてくれた故、十分国家にも尽くしているがこちらの任務の方が重要だから気を引き締めてかかるようにな」


 宰相の部屋を後にして先ずはどこへ行こうかという話になった時、エレミアから山間へ行ってみようと提案される。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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