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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第三章 爵位の意味を探して

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今日もギルド長代行!

 依頼書のチェックをしつつ、他人にやれという前に自分がやろうと考え一言コメントを添えていく。時間は有限なので詳しくは書けないが、それでも判断材料になるような言葉を添えておいた。


「代行、チェックいかがですか?」

「良いタイミングで来てくれた。丁度この山が終わったよ」


 応接室のドアをノックし腰まである金髪を首辺りで縛った白のシャツ、茶色のベストとスカートを履いた女性が入ってきた。完了した書類の山を手に取り渡すと、手に取って確認を始める。


「ありがとうございます! 相変わらず早いですね……あれ、これは?」

「さっき朝礼で言った件で自分で先に実践しようと思って。仕事は山のようにあるから詳しくは無理でも、少しでも足しになればと思ってね新しい冒険者にとって」


「凄いですね代行は。私もこういうのがあればなぁって少し思います」


 事務員さんは、元はヤマナンさんの育った村出身で狩人を目指していたらしい。夢を抱いてこの町に来てがむしゃらに頑張った結果、狩猟中に足を怪我して療養に入りそのまま半引退状態だそうだ。怪我した際に事務の仕事をヤマナンさんに紹介して貰い今に至るという。


「別に凄くはないよ。こないだの騒動が無ければやろうと思わなかったし。それを教えてくれた人物のためにも少しでも形にしたいと思っただけなんだ」

「きっと喜びます! 失礼します!」


 書類を抱え一礼すると足早に去っていく事務員さん。そんな気を遣って力説してくれなくても大丈夫なのにな……おっさんとはいえ威厳なんてまるでないと思うんだけど。やはり肩書が実物以上の威厳を与えるのかもしれないと思いながら書類のチェックを続けていく。


「お昼行ってきまーす」

「いってらっしゃい!」


 今日は朝から詰めていたので、皆が順番に食事を終えたタイミングでお昼ご飯を食べに出る。お昼ご飯といっても節約をしないとならないので一度家に戻るだけだけど。


「ただいま!」


 家の周りを走り回っていたアイシア・クロウはこちらを見つけると勢いそのままに突っ込んで来た。一応鎧を着ているので抱きとめるとアイシアが怪我をすると考え避ける。それを遊んでくれると思ったアイシアのスイッチが入り暫く避け続けた。


「あ、おかえりなさい!」


 アリーザさんが気付いて家の中から出て来てアイシアを抱きとめてくれた。やっと止まってくれたとほっとしつつ家の中に入り昼食を頂く。イーシャさんとベアトリスは相変わらず羊探しをしていると言い、コウガたちは流石に今日は依頼を受けに行こうとギルドに向かったらしい。


来たなら声を掛けてくれればいいのに、と言うとギルド長に声を掛けるのは気が引けたんでしょうと言うアリーザさん。人がいないから代行してるだけだから気にしなくてもいいのにと思いつつ、アリーザさんが用意してくれた目玉焼きをパンの上に乗せてかじる。


「そろそろお料理のレパートリーも増やさないと」

「アリーザさんは冒険者として仕事はしないの? もう変な疑いをもたれたりしないと思うんだけど」


「そうですね、そろそろ依頼を受けて鈍った勘を取り戻さないと。何が起こるかわかりませんから」

「代行の仕事が終われば手伝えるんだけどね」


「代行の仕事は忙しいですか?」

「思った以上に忙しいんだよねギルド長。もっと楽して座ってるだけで良いと思ってたんだけどなぁ」


 それから今日あった話をしていると一瞬難しい顔をした後、何故か早めに指輪を作って欲しいと言われ、時間が空いたら加工できる人を探すと約束して昼食を終えギルドへ戻る。書類仕事を午後も続けているとドアを乱暴に開け入ってくる人物がいた。


「どうしたエレミア」

「どうしたもこうしたもないわ! なんなのあの管理の仕方! あれじゃ薬草が全部ダメになるし効果なくなっちゃう! 自然に対する冒とくよ!」


 勢いよくドカッとソファに座り足をテーブルに投げ出して腕を組むエレミア。聞けば倉庫に会った薬草は箱に無造作に入れられ換気も悪く、箱を数個みただけで諦めたらしい。怪我人の状態を見に行くと、怪我をしているというのに怪我をしている部位に負荷がかかる鍛錬をしている人間が多く、それに対しても怒りを露にしていた。


「冒険者だから体を動かしたいのはわかるけどさ、怪我してギルドの保険使って休んでるんだから悪化させないで欲しいわよね!」

「確かにね。一刻も早く回復して戻って来て欲しいからねギルドとしては」


「本当はギルドとして毎日診察して具合を見たりしたいんでしょうけど、そうなると技術や能力の面で竜神教しかないから政教分離の面で見ても難しいと判断していれないのかもしれないわね。竜神教に頼れば怪我人もあっさり治るだろうし」

「魔法って無限に使えるものなの?」


「わからないわ。誰もその答えにはいきついていない。シンラのやろうとしていることはひょっとすると絞首台に自ら進んでいるだけかもしれない。それでも彼には皆に魔法を普及させたいという想いと竜神教を壊したいっていう思いを遂げるまで止まらないでしょうね」



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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