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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第三章 爵位の意味を探して

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エレミアとの軽食会

 トマトソースパスタのセットが到着し、エレミアは食事を始めたのでコーヒーを飲みながら食事が終わるのを待つ。とても居心地は悪いが、何か一つでもヒントを得たくて雑談をしようと食事が終わるのを待つ。


「ごちそうさまでした」


 食べ終わるとエレミアは一礼して近くにあったテーブルナプキンで口を拭くとコーヒーを啜る。所作を見てもとても綺麗で育ちが良いように見えた。イーシャさんの大叔母というのは間違いないのだろうか。直球で聞いても答えてくれないだろうしどうしたものかな。取り合えずこの辺に住んでいたか聞いてみよう。


「エレミアは元々この辺りに住んでいたのか?」

「あら、だいぶ直球ね。誰に聞いたか知らないけど……まぁたぶんイエミア姉さんの子どもかなにかか。あなたの予想通り私はかつてこの間会った家に住んでいた人間よ」


 こちらとしては先ずは住んでいたかどうか聞きたかったが、最後に聞きたかった質問を読んだかのように詳しく答えてくれた。そうなるとこちらも正直に答えようと事情を話し終えると鼻で笑いながらコーヒーを口に含む。


「姉さんの力でも私を探せなかったとしたら、なんらかの力が働いてたのかもね。あの時代はまだヤスヒサ・ノガミと竜族との戦いが完全に終わっていなかったから、全てにおいて不安定だったし」

「竜族とも戦っていたんだったっけ」


「そうよ。この星でヒエラルキーの頂点に立つ竜族と、ヒエラルキーの下から数えた方が早いたかが一介の人間が戦い協定を結ばせるまでに至ったという人類史に残る偉業……とはなってるけどヤスヒサ・ノガミ自身人間離れしている上に重鎮も人間以外が多かった。弱い人間が都合良く解釈した結果だけど、人間教の看板としては絶大」

「例外すぎるけど、人間でも出来るかもしれないと思わせる存在がいたっていうのは効果あるだろうね」


「まぁ個人的には皆の拠り所としての竜神教を残した人物だから私は評価していないわ。結局依然として人は神に囚われている。まぁ人間が高尚な生き物でない証でもあるけど」

「竜神教の神様って誰なのか知ってる?」


「神と竜神いう存在があるけどそれに名前は無い。ただその下に聖者が八人いて竜神教本部にはゆかりの品が八つ収められていると聞いたわ」

「エレミアは物知りだな……実際に行ってみたりした? まだ竜神教の本部とか行ったことがなくてさ」


「一度だけあるわ。どんな愚かな建物なのか見てやろうと思って」

「ここから行くとどれくらいかかる?」


「そうね……人間の足ならかなり日数がかかるわよ?」

「よくそんなところへ行けたな」


「まぁ私も美しき女神(ディオサ)がいてくれた御蔭で行けたけど、前なら……」


 エレミアはしまったという顔をして視線を逸らす。どうやら美しき女神(ディオサ)などの能力は行方不明以降に身に付けたものらしい。別に誘導しようとしていなかったけど思わぬ形でヒントを得た。動揺している隙を付いてもう一つ尋ねてみよう。


「ヨダの村には色々秘密があるのかな?」

「さて今はどうかしらね。気になるなら自分で調べたら?」


 鼻を鳴らしそっぽを向くと、コーヒーを一気に飲み干し席を立つ。エレミアはかなり正直なようでかなりヒントを教えてくれた。彼女が行方不明になった頃には確実に何らかの秘密があったのは間違いない。また今度あの村に行ってみよう。


「今回は驕らせてもらうよ」

「喋り過ぎた対価としては安いから後日足りない分は請求するわよ? 美しき女神(ディオサ)!」


 美しき女神(ディオサ)を呼び出し掌に乗るエレミア。御店の外の日時計を見ると議会開催まで時間があるから話していたかったのに残念だ。


「また後でね。チッ」


 去ろうとした時、美しき女神(ディオサ)の足元に犬が来てフンをしてしまう。おまけにおしっこまでしてこちらを見て舌を出していた。しょうがないなぁと思いながら苦笑いしつつ、エレミアを見ると真顔で見下ろしている。嫌な予感がし急いで立ち上がり犬の前に出た。


美しき女神(ディオサ)!」


 美しき女神(ディオサ)が振り下ろした拳に対して犬を連れて逃げるには間に合わなかったので、覆気(マスキング)し腕を交差させて腰を落とし防御の姿勢を取る。


「やるじゃない……まさか美しき女神(ディオサ)の一撃を下がらずに堪えるなんて」

「対価の不足分は払い終えたんじゃないのかな」


 できれば受けた後下がりながら勢いを殺したかったが、そうすると犬が危ないと思って気合を入れて全力で堪えたに過ぎない。手が痺れて戦闘続行は難しいので大人しく帰って欲しいな。


「いいえ余計に足りなくなったわ。あなたの両腕に免じてその犬の命は助けてあげる」


 目を座らせながら美しき女神(ディオサ)に包まれ見えなくなると同時に飛び上がり去っていく。わざわざ戻ってきたりはしないだろうと思い大きく息を吐いた。凄まじく重い一撃で覆気(マスキング)してなかったら余裕で折れてただろうな。


「シシリーは大丈夫か?」

「私は全然。それにしてもあの生物よくわからないわね。犬のウンチとおしっこかけられると嫌なのかしら」


「いや、皆それは嫌だろう」


 だが殺害しようとするほど怒りはしないなとは思った。そこにあのよくわからない魔法生物の弱点があるのかもしれないな。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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