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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第三章 爵位の意味を探して

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やっと嵐が去りそうで

「イーシャさん、その妹さんは魔術とか魔法に傾倒してらっしゃったとかありますか?」

「そうですね……薬草とか医術を勉強していたと聞いています。その関連で竜神教の人たちとも付き合いがあったとも。以前の竜神教はヤスヒサ・ノガミが改革する前の、生きた竜神であるブラヴィシを信仰対象としていたので、どう言ったものかは私には分かりません」


 かなり古い方の竜神教と親交があったのか。そこら辺の知識は全くないので司祭に聞いておこう。


「何か気になる事でも?」

「いえ特には。それより皆落ち着きましたか?」


「ええ」


 にっこり微笑むイーシャさん。何か引っかかるんだよなこの笑顔。取り合えず皆居間に居るので来るように言われたので移動する。シシリーもかなり警戒している様で、鎧の定位置からこっそり前を見ていた。


「お帰りなさいジン殿」

「あ、ただいま。外の掃除終わりました。ルキナはちょっと用事で御城に」


 今に移動すると綺麗に人数分の椅子がテーブルを挟んで向こう側に並べられ、イーシャさんも座り全員着席してこちらを向ている。何か就職の面接みたいになっているのは気のせいだろうか。


「ジンに聞くんだけどさ」

「はい、何でしょうか」


「結婚を申し込んだのはどういうつもりで?」


 怖いよ……皆笑顔でこちらを見ているが纏う気が淀んでいるように見えるよ。唾を飲み込む音すら聞こえそうな静寂が続く。このままではプレッシャーで押しつぶされてしまう……! 覚悟を決めて全力で事情を説明する。


どのプレゼンよりも頑張って誰も傷付かないような説明をし理解を求める。終始表情を変えずに身動き一つせず聞いている面接官の皆さんも最後に一礼するとやっと動いた。


「判決、死刑です」

「は!?」


 面接かと思ったら刑事裁判だった件について。しかも最高刑とか意味分からん。


「あのすいません、死刑の場合は基本主文後回しだと思うんすけど」

「関係ありません」


「関係ないんすか」

「異議ありよ! うちの子が何したって言うんですかっ!」


 定位置で怯えながら見ていた自称母親が、俺の顎へ頭突きをするくらい勢いよく飛び出し異議を唱えてくれた! この場合控訴しないと駄目なんだけど頑張れ!


「多くの女性の純情を玩んだからです」

「それは仕方ない」


 あっさり引き下がる自称母親。シシリーさん!? 早い、早いよ! いつ多くの女性の純情を玩んだのか! つい二日前までシシリーと二人旅かコウガとか言うおっさんとチーム組んでたんだぞ? 独身恋人無しなんだぞ! 三十五歳児なのにだ! ……あれ可笑しい自分で言ってて悲しくなって来た。 


「諦めるの早いよ母親! 玩んで無いって抗議してくれないと!」

「うーん……」


 え、何でこの弁護人弁護対象者の言い分に対して露骨に難色示してるの!? 仕事しろ仕事! 明らかに言い掛かりじゃないか!


「幾ら我が子とは言え鈍感なのは反論の余地が無いわ。無意識に八方美人をしていると受け取られても仕方ないところもあるし」

「八方美人のつもりはないけどそれ死刑になるほどの罪なの?」


 ボソッと言った言葉に対してまた真顔になり皆で凝視してきた自称母親も含めて。誰か味方は居ないのか味方は。


「おーっすお邪魔しまーす!」

「こ、こんにちは!」


「わー! 凄い良い御家!」


 これは天の助け! どたどたと家の中に入り居間に来たのはコウガとサガ、それにカノンだった。誰だろう呼んでくれたのナイス! 


「何してんだ?」

「助けてくれ弁護人! アイツ役に立たないんや!」


「ちょっと! 母親になんてこというの!」

「な、何が起こってるんですか?」


 コウガ達に事情を説明すると楽しそうに笑われた。何も楽しくない。無実の罪によって死刑にされそうなのにっ!


「モテる男は辛いもんだな」

「ジンさんはモテますから」


「え、弁護してくれるんじゃないの!? モテてないのにっ!」

「もージンはしょうがないなぁ」


「カノンさんっ!」


 膝を付いて近寄るもサガとコウガの剥がしに合う。何故だ何かする訳じゃないのに。


「おほん。お姉ちゃんたち、こんなことしても何にもならないわ! 八方美人振りが治る訳でも無いし。ならやはり私たちのものであると世間様に知らせ認めさせるのが一番簡単な解決じゃないのかしら」


 おぉーと感嘆が漏れる居間。何も感嘆するところではない。それに私”たち”って聞こえたぞ気のせいか。援軍が来たかと思ったら挟み撃ちにあった件について。


「それが良いんじゃねぇかな。態々既婚者に手ぇ出す奴もおらんだろうし」

「そうですね。そう言う意味ではジンさんとアリーザさんの婚姻は皆さんにとっては良い話では無いかと」


 サガ……少し見ない内にとても成長したな。これも俺以外の皆の御蔭だ感謝しかない。


「仕方ないわね……名目上とは言えアリーザの正妻を認めるのは」

「そうですね。その後の事は追々で」


「分かったよ、しょうがないなぁ」


 言いたいことは山ほどあるが、皆の中で落ち着いたのならそれで良い。このまま長引いても何一つ良い事は無いのだから。コウガたちはお祝いにと食堂から食事を持って来てくれたので皆で食事をした。


読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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