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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第3章 てんこ盛りの11月
77/80

#77 スタートラインはここから

・・・・・・・・・

 制服以外で会うのって、初めてじゃない?


 そんな大事なことに気が付いて、今更ながら焦る。

 金曜日の午後10時。


 何着ていこう……。何がいいんだ……。

 洋服は? とりあえずスカート? でも制服スカートだもんなぁ、あえてのスキニーでレア感出すのあり。

 髪型は? 結構巻いちゃおうかな。いつもはストレートだし。

 アクセサリーは? うーん、服をスキニーでシンプルめに抑えて、大振りのイヤリングをアクセントにしてみようかな。そしたらコントラストが良さそう。

 メイクは? 迷うなぁ。秋冬のメイク……。ボルドー系のリップが良いのか、オレンジ系でまとめた方が健康的で良いのか。

 あぁ、ファッションって奥深過ぎてほんっと難しい!

 ベッドに寝転がり、スマホと雑誌を交互に見ながらうーんと考える。

 男の子と出かける。

 それだけで、こんなにも色々考えるなんて。


 結構自分では頑張ったアプローチだった。——もちろん、彼とのホラー映画デートのことである。

 ホラー実は無理! とかいうわけじゃないんだけど、誘う口実見つけるの大変だったなぁ。わざわざホラー映画をチョイスした私は良かったのか悪かったのか。それすらも分からない。でも友達に聞けば相手の詮索が始まること間違いなしだし、ママに相談しても「彼氏? ねえ、彼氏?」って聞いてくるのが目に見えている。まだそういう段階ではないのだ。ここからが正念場で、だから失敗したくないのだ。

 正直、今最も心配な要素は、彼の様子。俺以外の人と行くのでも良いのに、みたいなことを割と言われた。もしかして、ホラーが苦手なの? 私とだと行きにくいの?

 そんな悲しい思考が次々現れるけれど、頭をブンブンと振ってなかったことにする。


 前途多難でも、諦めようとは思ってないの。

 私は京汰くんと行きたいんだから。


 自分でやっと分かったんだよね、いわゆる好きなタイプってやつが。

 周りを一気に明るくしてくれて、でも感情表現もちゃんとしてくれて、思いやりのある人。追加でイケメン。

 そして分かったんだ。


 これが、藤井京汰と結構当てはまるってことが。私自身、結構びっくりしてるんだけど。


 つまりこれが本当の意味での初恋、なのかな。


 でもあのゆーまくんって子? も結構イケメンだったし、なんか雰囲気京汰くんに似てた気がする。


 ……げ。私思ったより面食い?!


 あながち間違いじゃなさそうなツッコミも、ブンブンと頭を振ってなかったことにする。

 とにかく、気になる人がいる。それだけでも人生は明るくなるものだ。



 それにしても、ゆーまくんとの出会いは不思議だった。そもそもなぜ、私は倉庫の中なんかにいたのか。

 そして、文化祭の日に屋上で目覚めて、京汰くんといた時も不思議だった。そもそもなぜ、私は彼に抱き抱えられてたのか。


 ……冷静に考えてみると、どこか同じような不思議感。何だったんだろう、あの感覚は。霊感ってやつなのかなぁ?

 京汰くんなら何か分かるかな? 何となくだけど、彼ならゆーまくんとのことも、バカにせず聞いてくれそうな気がする。



 明日、京汰くんに話してみよう。


 結局2時間くらい悩んだ結果、明日の洋服とアクセサリーとメイク道具を用意して、部屋の電気を切る。




 私の恋はまだ、始まったばかりだ。

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