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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第1章 出会いの9月
7/80

#7 君は俺の何なんだ

・・・・・・・・・・・・・・


 俺は未だに状況を飲み込めていないし、この奇妙な状況を友人に話すこともできず、1人悶々としている。

 突然同居を迫られ、頼んでもいないのに学校に毎日ついてくる式神。常軌を逸したストーカーだろ。俺からしたら警察案件。親父マジで何考えてんだか。


 陰陽師の血を引いていることは無闇に話してはならないため、「この前帰宅したら式神が消費期限切れの食パン食っててさ。なぜか俺専属の家政夫になってて。毎日学校に来るし朝の起こし方うるさ過ぎるし、なんか俺よりイケメンだしですんげぇムカつくから消したいんだけど、無闇に消すこともできねぇからマジ困ってんだよね」なんて悩みを打ち明けることはできない。

 カウンセラーに相談したら、精神科に紹介状書かれそう。そんで精神科医は俺の“妄想”に共感するフリをして、養育環境が特殊だとかパーソナリティが未熟とか、アイデンティティが拡散しているとか、心の奥底の欲求が抑圧されているとか、とにかく事実無根の極みみたいなこと書かれて、とんでもなくイカれた奴認定されそう。俺が欲しいのはそういう心のケアじゃねぇってば。

 しかもイカれてるなんて思われたら、俺が好きなあの子との恋路が…………

 ごほん。話をもとに戻しましょう。


 学校でも家でも、とにかく毎日毎日いろんなことが起こる。

 授業中にそうっと俺のペンを取ったり、寝てる間にハッ、と目が覚めたら隣で悠馬が寝ていてぶったまげたり……。

 そんなめちゃくちゃな日々が、かれこれ2週間ほど続いていた。憎たらしいし困った奴だ。

 でも、あいつといて1つだけ良いことがある。


 楽しいのだ。

 1人じゃないというのは、思った以上に楽しい。

 そして家事もやってくれる。

 結論。

 楽だ。楽チンなのだ。ありがとう親父、そこだけは感謝してるぞ。


 楽しいに越したことはない。何度かあいつを本気で消そうと企んだけど、それはやめておいた。

 でも、冗談でいう時の「お前消すぞ」というフレーズは俺の口癖になっていた。第三者が聞いたら、カタギじゃないと思って恐れ慄くかもしれないが。



 そんなことをほわわーんと考えながら、手にしたシャーペンをくるりと回す。

 ……あれ、俺今何やってたんだっけ。


『こらっ、集中せいっ!!』


 悠馬がぴしゃりと言い放つ。

 こいつは式神兼家政夫兼家庭教師らしい。

 お前は俺の何なのだ。肩書きが多すぎる。第2のママか。

 ……あれ、これはなかなか納得のいく答えだ。悠馬は俺の、第2のママだ。


『何ボーッとしてんのっ!』


 やだママ怖い。


「はいっ」


 俺は慌ててペンを握り直し、数列の問題とにらめっこした。

 ぐぬぬ。分からない。どこが分からないのか分からない。ヤバいどうしよう。

 俺は悠馬をチラリと見る。

 教えてママ。


 もうすぐ、中間テストなのだ。

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