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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第3章 てんこ盛りの11月
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#54 レイティングの香り

 皆川先輩(の姿をしていたあやかし)は、華音様に口付けをした後、こちらを見て話す。 


〔ここに戦国時代から美貌を持つ家系の末裔がいると、風の噂で聞いた。すぐに分かったよ、あぁ、華音ちゃんこそがその末裔かと。確かに俺が500年くらい前に喰った美しい姫によく似ていた。生まれ変わりかと思うくらいに〕


 左手で華音様をしっかりと抱き寄せながら、右手で彼女の頭を何度も撫でる。初めは震えて軽く抵抗こそしていた彼女は、段々とされるがままになっていた。

 いやぁぁやめてくれぃ。

 彼はバケモンでもなお美しく、華音様といると相変わらず神話にしかならない。ただその様子はもうすぐ18禁の内容にシフトしていきそうで、俺の情緒はぐちゃぐちゃになり始めた。待って待って俺まだ16だから! 15禁でギリギリセーフな人だから! てかレイティング系はまだ俺無理だから! お子様だから! 華音様出演させるのはマジでやめてくれ!

 しかし、俺の魂の叫びは誰にも届いていない。悠馬がジトッとした目で一瞬こちらを見ただけである。俺こんな神話見たらトラウマになっちゃうよ。


 バケモンは何も気にせずに続ける。 


〔彼女を虜にするために、俺は生徒の姿になって機を見計らっていた。…………まぁ、そこで誤算が生じてしまったんだけどな〕


 3つくらいあるよ、と彼は右手の指で3を示した。左手は彼女の背中から腰へと移っていく。いやぁぁやめてぇ18禁になるってばぁぁ。

 なんでバケモンがこんなセクスィーじゃなきゃなんねーんだよ。


 俺はイライラを抱きながら、質問をぶつける。 


「み、3つって何ですか……いや、何だよっ」


 目の前にいるのは先輩ではなくバケモンだ。もう敬語を使う必要はない。

 彼は〔敬語が外れたな〕と不満そうにしながらも、答えを教えてくれた。てめぇに敬語使う筋合いねえわ。てか声までセクスィーになってねえか。 


〔1つ目は、俺に惚れる女が多すぎたこと。2つ目は、華音に近づく男も多すぎたこと。まさか式神まで近づくとは俺も思わなかった。これは盲点だった。3つ目は、華音は俺に惚れかけていたはずなのに、徐々に心変わりしそうだったこと。ここから俺の計画が狂い始めたんだ。……お前らほんと、面白い恋敵同士だな〕


 俺は思わず悠馬を見る。式神まで近づくって、お前……。

 悠馬は軽く頭を垂れた。ごめん、と呟く。

 そうか。だから華音様と悠馬が顔見知りだったんだな。

 ……って、すんなり受け入れてどうする俺。悠馬が抜け駆けするって、約束と違くない?! 俺がテストで頑張った意味は何だったの?!

 もうびっくりすること多すぎるし、悠馬が具体的に何したのかとか、心変わりの相手誰だよとか、詳しく問いただしたい。カツ丼すら出さずに取り調べたい勢いだ。でも今は退治が最優先である。悠馬とドンパチやるのは後回しにするしかない。

 目の前のバケモンは、俺と悠馬の僅かなやりとりを興味深そうに見た後、これ見よがしにため息をついた。息までキラキラしている。マジなんなんだコイツ。何か憧れ通り越してウザさが勝ってきた。 


〔ただ俺だけを見ててくれれば、こんな手荒なことはしなかったのに。これが恋ってもんなのかね。最期まで一瞬でも怖がらせずに、優しくしてあげたかったのにな〕


 そう言って華音様の顔を覗き込み、顎を持って少し持ち上げる。彼女の顔からは既に幾分血の気が引いていた。

 そのまま彼は唇を重ねる。ゆっくりなようでいて、むさぼるようでもあった。ここまで美しいとは……。sexy ghost爆誕。もうレイティングの領域に片足突っ込んでます。

 そしてバケモンは顔を離したかと思うと、今度は勢いよく彼女の首元に顔を近づけようとする。ぎゃあああああR18の香り!!!



 ……ヤバい見入ってしまった……!!!

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