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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第3章 てんこ盛りの11月
39/80

#39 ぶちゃい俺

 やっと体育館にたどり着いた。

 俺の学校割と広いんだよね、入学したての頃迷って授業遅刻したことあるもん。

 広々とした体育館に入り、観客席でうごめく人々をかき分ける。どこら辺だと華音様がよく見えるかな?


<ねぇ見て、何か女子の固まりいるんだけど! すごくない?>


 悠馬が指差した方を見ると、


「キャーカッコいいいい眩しいやばーーーい!!!」


 と叫ぶ女子たち。その視線の先には、コートに立ちキラキラと輝くイケメンがいた。“キラキラと輝く”というのは決して比喩ではなく、もう物理的に彼が発光してしまってるように俺には見えたのだ。


「皆川せんぱーい! 頑張ってくださーい!」

「いや俺明日だから! 今日ただの練習だから!」


 皆川先輩って言うのか。顎がシュッてして手足がスラッてしてる。でも筋肉もある。胸板ありそう……腹筋もめっちゃ割れてそう……てか何より顔面が尊い。悠馬みたいな愛嬌あるタイプのイケメンというより、ただただクールでセクシーなドS系オオカミイケメンといった感じだ(伝われ俺の語彙力)。もはや前髪に色気感じるんだけど。ジャニーズにきっといる。少なくとも悠馬の数倍、そして俺の数十倍はイケメン(俺と比べるのはおこがましいか)。学年のほとんどの女子が一度は好きになる、的な人だよ絶対。

 これで彼の魅力は十分伝わるんじゃないだろうか。


<人間離れしたスタイルと顔面……>


 人外のモノでさえも度肝を抜かれてそう言うくらいだ。俺は静かに頷く。

 その皆川先輩とやらは、女バスの試合のセッティングをして、声かけをしながらウォーミングアップに付き合っていた。

 華音様にも声かけしてる……え待って待って。距離近くない?!


<……うた、京汰っ>


 隣の声にハッとして、声の方を向く。


<嫉妬で顔がすんごい歪んでるよ、ついでに言うと口もポカーンて開いてるよ。普段の京汰よりさらに7割くらいぶちゃい>


 慌てて口を閉じるけど、お前一言二言余計なんだっつーの! ブサイクを可愛く表現してごまかすな馬鹿野郎!!


 式神と意思のみで小競り合いをしているうちに、ピー! とホイッスルが鳴って、試合が始まった。声援はさらに大きくなって、体育館ごと揺れている感覚になる。

 先程の皆川先輩は、スコアボード付近でバスケ部の顧問や私服の女性達と何やら話している。私服の人はOGかな?

 そう言えば、男バスの奴が「この試合の成果を次の試合メンバー選考の参考にするらしい」とか言ってたな……。

 え、てか女バスの枠も男子に決める権限あるのか?! 何それもうオーディションじゃん!

 などと色々考えながら見ていると、


「あっ!!!」


 俺の学校チームのメンバーがスリーポイントシュートを放った。いや遠くね? さすがに無理なんじゃね?

 ……ほらぁ弾いたぁ。

 と思ったら、直後にボールがシュッと入る音がした。

 すぐさま、得点を示すホイッスルと歓声が鳴り響く。


<すごい! 華音様がリバウンド取ったよ!!!>


 この目で見てた。マジで綺麗な、吸い込まれるようなシュートだった。やだもうハイタッチまで美しい。


「ナイッシュー!!!」


 気づいたら俺立ち上がって叫んでた。華音様気付いてないけどな。

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