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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第3章 てんこ盛りの11月
38/80

#38 バスケ部が優先です

・・・・・・・・・

 HRが終わってみんなが移動する時、城田が俺の肩を叩いた。


「なあ、テニス部の試合見に来いよ。俺こう見えて数少ない1年のレギュラーだかんな! 多分第2セット辺りから華音様のと時間被るけど、忖度しろよそこは」

「は、無理じゃんそんなん」

「お前なぁ、マブダチの試合くらい見に来いよ! 華音ちゃんの試合見れないマブダチの気持ちになれよぉぉぉ」

「可哀想なマブダチのために、俺が代わりに見とくわ」

「……許さんぞお前」


 まあ、最初だけ見に行ってやるよ。仕方ない。

 奴は確かに、こんな俺とすごく仲良くしてくれるマブダチだ。

 城田は俺を軽く睨んだ後、いつも通りニヤッと笑って教室を出て行った。俺が何だかんだで行くこと分かってるあたりが絶妙にムカつくけどな。

 窓から校庭を眺めていた悠馬が、俺の横にぴったりくっついてくる。彼女か。


<京汰くんって友達思いだよね~>

(え、珍しい普通に褒めてくるじゃん)


 すると、悠馬は途端にニヤリとした。腕まで絡めてくる。彼女か。これ視える奴いたら割と事故るぞ。しかも何か嫌な予感するじゃん。


<焼きそばと唐揚げとラーメンとタピオカとスモア買ってね♡>

(やっぱり……って待て、多すぎん?!)

<文化祭ご飯売ってるっていうから、朝ごはん抜いたの! お腹空いてるの!>


 思い返せば、確かにあいつ1人分の目玉焼きしか作ってなかったな今朝。

 てか、健康診断と遅刻以外で朝飯抜く奴初めて見たんだけど……。


 そして俺は渋々式神の財布となったわけだが、悠馬がうるさい。とにかくうるさい。


<きゃー何これ超可愛い! このタピオカの容器ハートいっぱいじゃんんんやばぁ>

(……お前、俺のクラスの模擬店俺の代わりに参加した方がいいんじゃないか)

<あーやっぱり? 京汰より僕の方がきっとサマになるよなって思ってた!>


 失礼すぎる。

 焼きそばからスモアまで全て俺が奢ってやったのに(まあ仕方ないんだけど)、これは失礼すぎる。いくら自分の方がイケメンだと自覚してても、これは失礼すぎる。

 あ、一応言っとくと、食べるときは空き教室で食べた。ほら、普通の人から見るとさ、悠馬が食うと食い物が浮くじゃん? そしてそれを見られたら俺の存在も浮くじゃん?

 ……今俺上手いこと言ったかもな。


 そうこうして俺らは朝飯(俺食ったんだけど)? を済ませ、城田のいる校庭に向かう。



 コートに着くと、ちょうど城田の番だった。相手は2年生らしい。マブダチだから応援してやるよ。

 城田の試合は、第1セットの数ゲームだけ見た。ちゃんと見てやったかんな。


 ……へえ、あいつ意外と強いんだな。サービスエースめっちゃ決めてる。相手年上なのに、たじろいでるのが目に見えて分かる。

 余裕なのか、エース決めた直後に俺を見つけてニヤついてきた。だからそのニヤつきやめろっての。まぁ分かるけども。

 俺は手を軽くあげて応える。

 城田は、華音様に嫌われるだけのおねだりバカだと思ってたわ。この俺にバカと思われるくらいのバカだかんな。筋金入りだ。

 ただ、テニスだけは強い。それは認めてやる。テニスだけはな。

 ……念のため、もう一度言っとこう。テニスだけだ。


<あの子思ったより強いんだね、見直したわ>


 俺と全く同じ感想抱いてる奴がすぐ隣にいたことに気づく。

 多分あいつストレート勝ちするから、後は見なくていいや。さっさと華音様のとこ行こ。

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