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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第3章 てんこ盛りの11月
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#31 迷える式神

 この恋心はとどまることを知らないと思うけれど、暴走はしないと信じている。


 だって、僕はちゃんと覚えているから。忘れたりはしない。

 忘れたら、文字通り消されてしまうからね。

 だから、忘れない。

 自分の命を守るために。せっかく生まれ落ちたんだ。勝さんが許してくれる限り、僕は生きていたいんだよなぁ。



 頂いた名前に恥じぬよう、生きること。

 ことわりを、侵さないこと。

 理、とは。



 主人の言いつけを絶対に守ること。人間を傷つけないこと。殺めないこと。

 無闇に自分の姿を晒さないこと。人間より目立たないこと。



 言われたことはちゃんと覚えている。忘れたりはしない。

 でも1つ、疑問があるんですよ。

 まだほんの少ししか生きていないけど、分からないことが出てきてしまって。



 傷つけない、とは、どういうことでしょうか。

 身体的に傷つけてはいけないのは、もちろん分かります。

 けれど、精神的な傷は、含まれますか。

 人間の心さえも、痛めつけたら僕は。

 よりによって、1番近くにいる人の心を傷つけてしまったならば、

 僕、は。


 消されてしまうのですか。


 京汰と恋敵になることで、僕が華音ちゃんに想いを寄せることで、京汰は精神的に傷ついてしまうんだろうか。

 なんで今更恋敵なんて、って思うのかな。

 式神如きが何様だ、って思うのかな。

 京汰の心がうまく読めなくてね。……なんせあの人ツンデレですから。思ったことを口にするようでいて、大事なことは奥にしまってる気がするんだ。


 もしかして、僕が消されるのは時間の問題なのかなぁ。


 京汰といるのは楽しい。京汰とこれからもいたい。

 でも同じくらい、華音ちゃんのそばにもいてみたい。




 もはや自分でもよく分からないのです。


 勝さんに消されるのが怖いのか、京汰を傷つけてしまいそうなことが怖いのか、


 それとも、




 この焦がれそうな想いに歯止めをかけられなくなりそうな自分が、怖いのか。

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