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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第2章 決戦の10月
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#24 若き悠馬の悩み

 まあ、色々ありましたけど。結局あの一応陰陽師の端くれの少年は、超絶ムカつく性格のままで根本はなーんにも変わってませんけど。

 彼なりには、気持ちの面で成長したようで。明日からはまた明るく振る舞えそうだし。良かったんじゃないかな? それはそれで。思春期の心の成長は大事。……って、いつか見たテレビでやってた。すぐ京汰にチャンネル変えられちゃったけどね。ドラマとお笑いばっか見てないで、たまにはクイズ番組とか教養になりそうなもの見なさいよ。

 とにかく、京汰は精神が安定した(というか、今まで通りのおバカ路線にかなり遠回りして帰ってきた)ので、僕は渋々、彼のお世話任務を再開したわけであります。

 あぁ、また始まってしまった。テレビでアイドル見て、うっわまーじ可愛いじゃんこの子やべええええ華音様並みにやべええとか言ってる彼を尻目に、大根の皮を剥く日々が。あんたがっつり浮気してんじゃんか。


「浮気はしてない! だってこの世の全ての基準は華音ちゃんなんだから!」


 彼の女性観は華音ちゃんより可愛いか否かで決まっているらしい。……かーなり偏ってるな。ある意味浮気よりも怖い気がする。



 正直言うと、今の僕の気持ちは微妙だ。本当に微妙オブ微妙。プラスでもマイナスでもない。もやもやぁってのが1番正しいのかも。どう微妙かと言うと、切なさと嬉しさが微妙なバランスで混じり合ってるってこと。

 僕の宣戦布告を一発で蹴っ飛ばしてしまったことがちょっと切ない(というか悔しい)けど、でも本音言うと、このうるさい日常が戻ってきたことが、ちょっぴり嬉しかったりもする。ただ黙って京汰と一緒に酸素吸ってるだけでは、どうも息苦しい。そもそも超絶おしゃべりの京汰が黙ってんだから。その時点でかなりの怪奇現象なわけであって。普通に感がたら、大きめの一軒家に2人だから、酸素の絶対量は足りてるのにね。酸素は黙って使うだけじゃ良くないんだなぁ、なんてことを学びました。地球環境的にはアレだけど、もっと二酸化炭素も出していかないと。


 でもでもやっぱり、切ない気持ちの方が大きいのかもしれない。まさか、まさか一発で平均点超え果たすなんて本当に思ってなかったんだもん! 僕の予想では、それなりに頑張ったけれど全教科平均点超えはさすがにできなくて、泣きの1回! みたいになって……が半年くらい続く計算だったんですが。

 彼は持ち前のバカみたいなパワーでやってのけてしまった。そうなったら僕はもう、負けを認めるしかない。こんなはずじゃなかったからもっと条件厳しくする! なんて大人気ないことはしません。



 けどね。

 実は、元気振りまきまくって、いつも全力で生きている彼を見て、僕はどうしようもなく羨ましくなる時がある。

 なんでここまで振り切って生きていけんのかなぁって。

 僕、まだ生まれて1ヶ月くらいしか経ってないのに、そんなことを思ってる。何でだろう。

 もしかして、僕にも前世ってやつがあったりするのかな? そんで、前世で僕は、京汰みたいな奴にやっぱり負けたんだろうか。


 勝さんが作った式神だからなんだろうね。僕はかなり聡明なタイプとして作られたみたいだ。だから自分の価値観とか考え方とか、そういう内面に目が行きがちだ。生後1ヶ月くらいでここまで悩み込む奴もなかなかいないだろうね。いつか重厚な文学作品とか出せそう。


 僕はどんな気持ちも、奥に奥に秘めてしまう。その気持ちはとっても強くて、大きいものなのに。とにかく出すのはダメだ、出したら取り返しのつかないことになる、と思ってしまって、同居人にさえ気持ちを解放しきれない。

 一方で彼は、思ったことはすぐ声に出したり、顔に出たりする。どんな些細なことでも。今もそう。僕が人参を乱切りにするのを見て、顔に思いっきり“嫌だ! そんなデカい塊食えない! 千切りかさいの目切りかすり下ろしにして!”と書いてある。僕は仕方なく賽の目切りにする。 



 無意識に、感じ取っちゃうんだよね。この感受性の高さには自分でも辟易することがある。

 僕にはなくて、彼にだけ、あるもの。

 僕ができなくて、彼だけが、できること。

 そりゃまぁ、人間と式神にはそれぞれの限界がある。それは知ってるんですけどね。

 僕は既に、ある意味式神としての存在を超えてしまった気がする。

 ねえご主人。あなたは僕を生み出すには有能すぎたんじゃないでしょうか。

 それとも、これは偶然ではなくて、必然ですか?

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