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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第2章 決戦の10月
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#16 令和の陰陽師

 しばしの沈黙が続く。


<……ん?>


 僕は異変を感じた。隣の席の友達からルーズリーフをもらい、それに必死で何か書いている京汰……。

 一体、何を書いて……


<や、やっ、やめてっ!! 早まりすぎよ! 物騒な真似はよしなさい京汰っ! 悠馬ママのいう事をちゃんと聞いてっ>

(どこのどいつが“ママ”だてめぇこの野郎……!! お前を第2のママだと思ってた俺がバカだったよぉぉぉっ!!)


 何と、ルーズリーフに呪符をしたためていた彼。呪符というのは、ざっくり言えば魔除けだ。バケモンを裁く魔法の紙。……って僕悪いバケモンじゃないんだけどね?! てか京汰くん、君何だかんだですごいわ。

 ……すごい現代的だなぁと、こんな所で感心してしまう。

 安倍晴明様、賀茂忠行様。

 平安時代からアナタ方が中心となって広まった陰陽道。

 令和に入ると、呪符の書き方までラフになったようです……。


 僕は頑張って、ルーズリーフ製の呪符に対抗した。京汰は本気でビビる僕に、真顔で呪符を突きつけようとする。

 ねえねえ早まらないでよ。思い出してよ、僕達が出会ってからの日々を。喧嘩もしたけどさ、パフパフ殴り合いも追いかけっこもしたけどさ、最後には笑い合えてたじゃないか。そして僕はいつも君に忠実で、身の周りのお世話をきちーんとやっているじゃないか。僕を消してしまって、本当にいいのかい……?

 てかねえ、ご主人。アナタ、やっぱ息子の育て方間違えたでしょ。きっと多分恐らく絶対確実に、間違えたよね。こんだけ献身的な式神を消そうとするなんて、ひどいグレ方してるって。


 しかし、ルーズリーフ製だとやはりうまく行かないのか、呪符を僕に押し付けようとする京汰も少し苦しそうに見えた。答案返却で先生も生徒も見てないからって、教室で式神消そうとするバカいるかね? まぁ、ここにいるんだけどさ。

 この光景をみれば、安倍晴明様も賀茂忠行様も、るーずりーふ? そんな訳分からん代物で作っても、効果などなくて当たり前だ! と口を揃えただろうけど。

 ……と僕が油断していると。


「くっそふざけやがってこの野郎!!! 消すぞぉぉっっ」


 京汰がいきなり立ち上がって、隣の男子の机に一発拳を入れた。ルーズリーフくれた子に対してなんちゅう不義理を働いてんだい君は!

 男子生徒は、ええっ、えっ、と、痛みや怒りも忘れて戸惑うしかないようだった……。


<あぁ、そこの男子生徒くん! ごめんねほんとごめんね! こんな気性の荒い思春期男子のせいで……かわいそうに……>


 男子生徒は戸惑いつつも、京汰を軽く睨んだ。


「……お前、答案返却で情緒不安定になるのヤバすぎな」

「…………すまん」


 いやぁド正論。なぜ自分ではなくて彼の机を殴ったし。意味不明すぎる。ルーズリーフくれたのにごめんねぇ。僕が代わりに謝りますね。気持ちだけでも伝われば嬉しいです。もっと睨んでいいよ、京汰のこと。……ほら、目力足りない、もっと睨みな。睨むのはタダだから。


 京汰は黙ってまた椅子に座り、さっきまで呪符だったはずのルーズリーフの余白に何か書き出した。


“諸悪の根源はお前だっつってんだろ”


<ぼ、ぼぼ、僕じゃないってばぁーーー>

(……なんだその新しい抵抗の仕方は。どこで覚えた、古典か、英会話か、数学か、美術か??)

<独学>


 京汰は目を丸くした。


(偉いな。独学、かぁ。ドイツ語どこでやってるの?)


 待って待って。独学分からないの?!

 ドイツの独、と、孤独の独、の違いわかんないの?!

 それで華音ちゃんを狙う資格があるの?!

 ここまで底辺だとは……。僕の予想の範疇を超えていた。


 僕が無言でその場を去ったのは、言うまでもない…………。

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