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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第2章 決戦の10月
12/80

#12 お怒りモード入ります

・・・・・・・・・・・・・・・


「もうもうもうもうっ!! なんでテスト中までうるせーんだお前はっ」

『いやいや、何よその言い方』

「それはこっちの台詞だっての」


 テスト中、悠馬によると“エール”らしいが、彼は、俺にとってはどうしようもなく心をかき乱すような行為を繰り返してきた。

 何が“がーんばれ、きょーたくんっ”だよ。チアもお前の仕事なのか? そもそもな、俺が頑張らざるを得ないのはお前のせいだっつーの! しかも試験中も構わずぴとーって俺の横に張り付いてくるし! もはやカンニングとか試験監督とかの域超えてるし! ソーシャルディスタンス!!! 邪魔!!!


 そこで帰宅した俺はドアを開けるやいなや、怒りに任せて怒鳴り散らしたのである。まぁ多分、試験勉強が辛すぎることのストレス発散という意味も含まれているのだけれど。10月に入ってもまだまだ暑さは残っている……いや、俺が怒りすぎて暑いだけか。


「とにかくお前はいつでもどこでもうるせーんだ! 試験中くらい黙ってろ!」

『なるべく黙ってるじゃんかぁ』

「黙ってても! 存在が! う・る・さ・い・の! 俺の背中とか肩に張り付いてんのマジやめて欲しいの!」


 するとなぜか、目の前の式神の顔がちょっとマジになった。両手を腰に当てて……何すんの。


『悠馬、プッチーン』


 は?! 何それ?! 今僕怒りましたよモード?!

 くそぉ。な、なんか可愛い…………。ちょっと美少女に見えてくる…………。

 ……いやいや何考えてんだ俺はっ! いくらイケメン式神がお怒り宣言したのが可愛いからってそれに流されてどーすんだ!

 悔しい。よーし、こうなったら。


「京汰、プッチーン」

『え……何それ。真似しないでくれる? 可愛くないじゃん』

「はぁぁぁぁ?!」


 京汰、カッチーン。

 そして、ここからは俺×悠馬の見苦しい争いが続いた。もはや定番化しちまったけど。


『てかね、この式神様が、ずーっと傍を離れることなく文句を言わずに家事を全うされ、テスト中には京汰くんにエールを送り続けられていたと言うのに、何なんだよこの言われ方!』

「あ?! なんで式神如きが敬語使ってんだよ! 大事な大事な篠塚華音様をかけたこのテストの真っ最中に俺様の心をかき乱したのは誰だ! お前だっての!」


 すると、悠馬は盛大なため息をついた。式神がため息つくとかどういう状況だっつーの。


『敬意の対象が違うよ! それに自敬語使うとかありえなーい』

「……そんな言葉どこで覚えた」


 悠馬はしれっと答える。


『京汰の古典の授業』

「そんなこと覚えてどーすんだ、古典なんて役に立たねえぞ、英語でも勉強しとけこの野郎」

『OK. I'll study English harder.』


 待て待て。なんか発音綺麗じゃない? お前もしかして帰国子女?


「……どこで覚えたんだ」

『選択授業』

「ん? 俺の選択授業? 英語使うやつあったっけ」


 ちなみに言っておくが、俺は絵を書くのが好きで、それなりに周りの評価も良いため、実技を選択している。


『んーん、英会話』

「英会話? そんなの選択してないけど? 誰の選択授業?」


 ここで悠馬がどもり始めた。式神には相当似合わない、苦笑いなんぞ浮かべている。その技術、お前には100年早いっつーの。


『きょ、京汰、それは、か、かのっ……、かっ……』


 俺は自覚した。……自分の唇がやけに震えていると。

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