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俺の恋敵が人間じゃないなんて聞いてないんだが  作者: 水無月やぎ
第2章 決戦の10月
11/80

#11 僕も頑張ってる

・・・・・・・・・・・・・・・


 京汰は、いよいよテスト当日を迎えた。

 ちなみに僕はまだ、主人、勝によって生み出されてまだ1ヶ月しか経っていない。その割には既に結構濃い時間を京汰と過ごしている気がしているんですけど。


 僕は、彼に勉強を教えてあげたりすることはできなかった。多分小学生レベルの問題なら解けるんだけど、高校生レベルはさすがに難しい。ご主人が僕に高校生の問題が解けるような知能を与えなかったということは、きっとカリスマ講師的な役割は期待されてない、ということで良いのでしょう。

 僕は解けなくても良いけれど、この日本社会を生き抜かなければいけない京汰は、このレベルについていかなければならない。一応中堅レベルの高校だし。ただ彼はその学校の中ではダントツ、それはもう清々しいくらいにダントツのビリだということは、京汰のベッドの下の奥深くにねじ込まれた、ぐっちゃぐちゃの期末試験成績表を見つけた時に知りました。掃除してたら出て来ちゃったの。平均点以下なら華音ちゃんを諦めて、とは結構タイトな条件出したなぁ自分、なーんて思っている。


 とにかく、テストは自分との戦いだ。テスト中、僕は隠形して京汰の席の横にいて、彼を応援し続けた。僕にはこれくらいしかできない。恋敵ではあるけれど、応援もせずに放置するわけではないのよ? こういうとこ僕大人だと思う。

 それにしても試験って大変だね。こんな何枚もの紙を読んで、制限時間内に解答用紙にミスなく書き写して出さないといけないんだから。僕から見たって絶対この分量終わんないよね?! っていう超意地悪な問題出してくる教科もあった。このテストは華音ちゃんも苦戦したみたい。

 え、僕がどんなエールをかけていたかって? こんな感じだよ。

 これは京汰の1番嫌いな数学のテスト中に僕が送ってあげたエールだ。


<がーんばれ、きょーたくんっ>

(……ああ)

<今までやって来たことを信じて、想いを紙にぶつけるんだぞ京汰!!>

(……あー、わかってます。ってあんた塾講師か)

<今やらなくていつやるの?!>

(ネタに付き合う暇はない。そーゆーお決まりのネタやめろ)

<ほら、諦めないで! 時間あるからまだ!>


 京汰はシャーペンを置き、頭をポリポリとかく。その時間がもったいないって。


(……邪魔すんな阿呆)


 僕はやる気をなくしたような京汰のために、もう一度エンジンのかかりそうなエールを送った。


<ほれほれ、君の愛しの華音ちゃんの為にっ! 精を出すんだっ>

(……!!)


 なんて素直な子なの。

 京汰は勢い良くシャーペンを手に取り、それはもうすんごい勢いで空欄を埋め始めた。計算ミスとか埋める場所のミスとかしてませんかね。大丈夫ですかね。僕が毎日、試験勉強に打ち込む京汰のために完璧にこなした家事の成果は報われますかね。 ちなみにここから、何故だか分からず不思議だけど、僕が何を伝えても京汰は応答してくれなくなった。

 なんて酷い少年!!


 でも何とか解けたらしい。彼なりに見直しをして、手指と首をポキポキと鳴らしていた。ちなみに華音ちゃんは京汰が終える10分前くらいには解き終わったみたいで、見直しも念入りにしていた。さすがだね。


 それにしても、試験期間長い。

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