第四章 覚醒 (前半)
突然の爆発で牢からの脱出に成功した黒影、地上に出てみればそこはエルフが一方的にやられている地獄絵図だった。過去のフラッシュバックを受け、怒りに駆られた黒影、人族に追い詰められた、浜辺のエルフを目にし、助けに向かう。エルフと黒影の命運はいかに
いつものように私は狩りに出ようとしていた。最近、人族がこの辺に出没するらしく、その偵察をかねていなかったらなにも変わらない、いつも通りの一日になる予定だった。そこに現れたのがあいつだった。精霊たちが騒がしいから砂浜の方にいけば、一人の男が佇んでいた。見たこともない服装をしていたが人目で人族だとわかった。その瞬間、激しい憎悪を感じた。エルフの寿命は長い。私は幼少期に亜人狩りの一段に家族を殺された。私が想像する残虐というものをゆうに越えていた。そのときに決意した。人族に復讐すると。そして、その敵が目の前で無防備に立っている。私は迷わず弓を構えた。それに気がついたのか、人族はこちらの方に走ってきた。何か言っているが、よく聞こえない。だがそんなことは関係ない。迷わず私は矢を放った。軌道は間違いなく人族の頭に当たっていた。それなのに、起動を逸れて外れた。そのとき、私は感じた。やつにはこの世を超越した何かが関わっていると。だから私は彼を村へ連行し、村の総意を確かめた。結局、彼は処刑されることとなった。ここまでにある通り、我々はやつを殺そうとした。その事はやつもよくわかっているはずだ。それなのに彼は私たちを助けると言っている。どういうことだ。
これはヤバイな。と、黒影はそう思った。無理もない。周りには十数人の敵、向こうには武器があり、こちらにはなにもない。誰だってこの立場に立てば思う。
「誰だ、貴様は?名を名乗れ」と、騎士の格好をした髭面の男が叫んだ。
「人に名前聞くときはまず自分からってかーちゃんに習わなかったか、おっさん」
「貴様のような下民な輩に名乗る名などないわ」
「そーかよ。じゃー俺もテメーに名乗るななんてねーよ、ボケ」明らかに敵はぶちギレた。今にも攻撃してきそうだ。何人かはもう武器を構えている。
「我々に構わず逃げろ。相手は王国直属の亜人殲滅隊だ。そこらの奴とは訳が違う。貴様の勝てる相手ではない。逃げろ!」と、美人のエルフが黒影に言った。
「悪いな。俺は二度と女を置いて逃げるような真似はしたくねーんだよ」そのとき、エルフは感じた。その言葉の重みと、瞳の奥の憎悪を。
「俺が嫌いなやつは色々居るが女を泣かすやつは一番嫌いだ。死にてーやつからかかってこい。ぶっ殺してやるよ!」と、黒影は声をあらげた。
「死ぬのはてめーだ、ガキー!!」騎士団の髭面も声をあらげた。そして、それを合図に騎士団が動き出した。そのときだった。一瞬、時が止まったかのような感覚がして、加工された声がした。
条件達成 裏スキル解放 スキル名 魔力操作
騎士団と一触即発!!謎の機会音、どうなる黒影⁉
次回10月13日(日)23:00更新予定