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謎の声 〜第1章〜  作者: 貘
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ー「お前を殺してやる」ー

私の頭の中に謎の声が響いた。

憎悪に満ち溢れ、曖昧だが明瞭とした声だった。


いつからこの声が聞こえたのかは覚えていない。

いつの間にか、ふとした瞬間聞こえてくるのだ。


一体誰を殺したいのかは分からない。

高校時代嫌いだった奴なのか、浮気された元恋人なのか、自分を裏切った母親のことなのか。


…自分自身なのか。


思い当たる節が無いといえば嘘になる。


高校時代は自分自身が誰よりも嫌いだった。

会社に勤めれば自分の無能さに頭を抱えた。

プライベートでは中々会話の輪に入れない孤独感に押しつぶされそうになった。


…自分など、産まれてこなければ良かった。自分が口を出さなければトラブルが起こることは無かった。

なんならいっそ死んでやろうとも考えた。


…近年、自殺者が増え続けているが、私は自殺する勇気など無かった。


死ぬのが怖いのだ。あれだけ死にたいと思ったのに、いざ死ぬことを考えると足が竦み、躊躇い、臆したのだ。


そんな自分にも腹が立った。

私は誰かに依存していなければ生きることすらままならないのだと痛感した。


そんな感情が無意識の内に頭を巡り、ストレスを感じることでよりダメージを受け、あの謎の声を生んだのかもしれない。


「気楽に生きろ」と言われてもそれが出来たら苦労しない。

所詮他人は他人。

自分のことは自分にしか分からない。


だから、私は他人を信用することをやめた。


信用してしまったことにより、騙され、裏切られることを恐れたのだ。


人は1人では生きていけない。支えあわなければならない。

そんな常識でさえ、忘れてしまうほどに。


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