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学校2

 午後の授業、美琴のクラスの生徒達は訓練場に集まっていた。

先程絡んできた三人の男子生徒はニヤニヤとした気味の悪い笑みを浮かべながら美琴を見ていた。

美琴は三人の男子生徒があからさまに自分に報復しに来るという事を感じ取り、溜息をついた。

しばらくすると実技担当の教師がやって来て、授業開始のチャイムが鳴った。


「これより、実技の授業を開始する、ではまず」

「先生、俺は神無月とやりたいです」


 美琴に絡んできた男子生徒がわざとらしく美琴を指名し、周りの多くの中層の生徒達はニヤニヤしてこれから起こる蹂躙を楽しみにし、美琴はやれやれとした顔をしていた。

だが、ナルビィはそんな彼等を見て怒りが湧いていた。

力ある者が力を持たぬ人間を虐げ、そしてそれを囃し立てている生徒達、何より、教師までもがニヤニヤとして美琴を嘲笑っている。

ナルビィは彼等をキッと睨み、美琴の元に飛んでいき、あることを提案した。


「ねえ、この実技、ボクが手を貸すよ」

「ナルビィ、お前がか?」

「うん、任せて、ボクはナルビィ、君の明るい未来へとナビゲートする導きのカミサマだ」

「言ってた言葉が違う気もするがまあいい、頼んだぞ、ナルビィ」


ナルビィの提案を着た美琴はそれを承認し、頭に着けていたヘッドホンのコードの先を訓練服の胸ポケットの中にしまった。

そして、中央のリングに上がると男子生徒は日本刀の形をした神器を構え、美琴はボクシングの基本の型を取った。


「試合開始!!」


教師の掛け声と共に男子生徒が斬りかかった。

上段で刀を構え、そのまま突っ込んで来ている、とてもじゃないが剣の扱いに長けてるとはお世辞にも言えない。

美琴は右足を軽く後ろに引き、体を右に捻って躱した・


「美琴、後ろから何か来る、避けて!!」


 ナルビィの声を聞くと、美琴は体を前に屈んだ。

その上を何かが通り過ぎ、美琴はすぐに体勢を立て直すとそのまま右アッパーを男子生徒に繰り出した。

男子生徒は何が起こったのか理解できず、そのまま右頬を殴られた。


「テメェ、何で避けた!?」

「教えるわけないだろ、それと剣先は何処に言った?」


男子生徒が何かを言ったが、美琴は素っ気なく答えた後、気になったことを尋ねたが、男子生徒はただ睨むことしかしてこなかった。

美琴はその切っ先が何かあると確信した。

その時、ナルビィが声をかけた。


「美琴、今度は左!!」


美琴が左に避けるとまた何かが通り過ぎた。

男子生徒の顔を見ると、まるで狙っていた何かを外したような顔をして美琴を睨んでいた。

ナルビィは男子生徒の刀を見て、美琴にあることを教えた。


「美琴、次はあの刀を彼奴から奪って」

「難しいことを言ってくれるな」

「もしかして出来ないの?」


ナルビィはニタリと笑みを浮かべながら美琴を挑発した。

美琴はそれを見てやれやれと思い、距離を取った男子生徒に向かって駆けだした。

男子生徒は切っ先の無い刀を慌てて出鱈目に振り始めた。


「右、左、屈んで!!」


美琴はナルビィの声に合わせ動き、そして、男子生徒の刀の間合いに入った。

男子生徒は美琴を切ろうとして刀を振り下ろそうとしたが、美琴はそれよりも早く男子生徒の足を払い、転倒した際に手放した刀を奪った。

その瞬間、近くで何かが落ちる音がした。

美琴はそれが何なのかを知るために音の成った方を見た。

そこには刀の切っ先が落ちていた。


「成程、この神器は切っ先を飛ばして遠隔操作ができるのか…」

「か、返せよ!! それは俺の神器だ!! お前のような最下層が使って良い物じゃない!!」

「そうか、なら返してやろう」


男子生徒はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、神器が戻ってきたら美琴をどう甚振ってやろうかと考え始めた。

美琴は刀を男子生徒に向かって投擲した。

戦っている男子生徒と周りで見ていた生徒達の頭上を飛んでいき、訓練施設の壁に突き刺さった。

男子生徒は壁に突き刺さった刀を見た後油の切れたブリキの人形のようにゆっくりと美琴の方を見た。

美琴は無表情で指を鳴らしながら近付いてきた。


「返したぞ、さて、続けようか」

「ま、待って、俺は武器がない、丸腰なんだ!! だから辞めてくれ!!」

「何言っているんだ? 俺は常に丸腰で戦っているが?」


 美琴はただ淡々と言い捨て、男子生徒の前に立った。

そして、美琴は男子生徒の顎を目がけて右アッパーを繰り出した。

男子生徒は宙に浮かび、リングの外まで飛んでいき、地面に背中から激突した。

周りの生徒達は驚愕し、吹っ飛んできた男子生徒を見た後、リングの上で立っている美琴を見た。

美琴はヘッドホンを首のあたりまで下げ、安堵の息を吐いた。

 肝心の教師はその光景に唖然としていたが、すぐに我に返り、試合終了の言葉を言った。


「試合終了、勝者神無月美琴」


誰も完成を挙げず、静寂だけがこの訓練場を支配していた。

その後、他の生徒達は美琴とペアを組むことを避け、訓練を始めた。

ナルビィはその間美琴の近くを漂いながら美琴と楽し気に会話していた。

その光景をとある生徒がその光景を見ていたことに美琴とナルビィは気が付くことはなかった。

次回、ヒロイン追加です

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