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三月の短編系まとめ

もう勇者を生き返らせるのは飽きたから、ワシが直々に魔王をぶっ飛ばすby王様

作者: 三月

「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない」


 ワシがこの台詞を言うのは何度目だろうか。もはや100を越えた時点で数えては居ない。



 ここはアルメリア王国にあるアルメリア城の中央「玉座の間」である。長らく平和な世であったが、数年前より突如現れた魔王が人間に対して宣戦を布告。魔族による侵略が開始された。魔族は強大な力を誇り、名のある戦士や将軍であっても打ち破ることは叶わなかった。

 もはや人類は魔物に蹂躙される運命であると誰もが諦めかけたその時、神が現れ勇者と呼ばれる一人の男を遣わした。


 勇者とは死んでも生き返るという超常的な能力を有し、常人では考えられない高い成長性を秘めた人類の救世主であると神は仰られていた。


 人類史上、死者が蘇った例はない。それを考えれば、この勇者という人物はその能力を有しているというだけでも正に救世主たりえる存在なのではないだろうか。


 更に常人では考えられない高い成長性を秘めていると神が太鼓判を押したほどの人物だ。期待しない方がおかしいだろう。


 

 そもそも“成長”とは“レベルアップ”のことである。古来より神の祝福と恩寵を受けている人類はすべからく様々な経験を積むことにより成長レベルアップすることが出来るのだ。レベルが上がると身体能力及び知能全般の能力が上がる上に、人によっては新しい技や魔法を覚えることもあるのだ。

 何故そのような現象が起こるのか、と言われれば学者ですら答えられないだろう。

 というのは、その現象については学者が300年以上にも及ぶ議論や検証を行っても答えが見つかっていない分野になるからだ。学者によっては、愛とは何ぞや?という議論並に無駄なことだと切り捨てる学者も居るようだが………つまりそれと同列視される程、当たり前な現象として身近にあるのだ。

 ただし前述したとおり「神の祝福を受けた者」が成長レベルアップをすることが出来るのだ。魔族は生まれし時から強大な力を持った者が多いが、やつらは神の祝福を受けていない為、成長レベルアップをすることが出来ない。


 話を元に戻すが、成長するために行う”経験”というのはそれこそ何でも良い。子供が行う“遊び”というのも経験になるし、絵を描いたとしても経験になる。料理人なら普段より料理を行っているだろうが、それも己の経験となり、一定の経験を積む事により“レベルアップ”するのだ。


 つまり、レベルアップを行う経験というのは何も魔物を倒すだけが全てではないのだ。

 究極的な事を言えば、例え何もしなかったとしても”生きている”というそれ自体が経験となり人は成長するのだ。


 無論、生きているだけで得られる“経験”は少ない。一般市民よりも命を掛けて戦う戦士の方がレベルが高いというのは経験の違い………つまり、難易度の高いより困難な体験を経験・克服する事により格段に成長レベルアップする事ができるのだ。

 よってそこから導き出される勇者の特性についてであるが、恐らく常人の数倍以上の成長の効果を得る事が出来るといったような内容なのだろう。

 これだけ聞くと無敵のように思われた勇者だが、最後に神はこのようなことを仰られていた。


「勇者が玉座の間に居る王に話しかけることにより“セーブ”が完了し、勇者が死んでしまった際にこの玉座の間に生き返って転送されてくるようになっている。だがそれは正確に言えば勇者が生き返る能力を得たのではなく、王であるお前に勇者を生き返らせる能力を授けたのだ」


 という、このワシが勇者様限定ではあるとはいえ、人一人を生き返らせる能力を授かったなどという驚くべき驚愕の事実を仰られたのだ。


 そしてその問題の勇者を生き返らせるためにはもう一つの条件があり、玉座の間にワシが居なければならない上に、冒頭で言った台詞を必ず言わなければならないというのだ。


 神が仰るには、それは“様式美”というものだそうだ。

 しかしワシにはそれに一体何の意味があるのか理解出来ぬ。理解できぬというより、ワシには全く意味がないように思えてならぬのだ。それに“せえぶ”というのはどういう意味なのだ?

 ワシには神が仰られていることが全く理解出来ない。


 しかし、ワシは人間で相手は神。矮小な人間であるワシには到底及びもつかない崇高な思し召しがあるのだろう。ワシは考えるのを辞めた。

 すると今まで空気であった勇者様が慌てたように声を荒げた。


「うおおぉおぉ!これが転生か!スゲーぜ!って、あれは王様?周りは城っぽい?カンテラが浮いてる!?

いえーい!中世ヨーロッパ風でファンタジー!ってよく見たら俺がハマったRPGっぽい!?あ、でも微妙に違うかも、ゲームやりこんでるけど、こんな城見たことないし………でも神様に勇者とか言われたし、こりゃ世界を救ってハーレム築くしかない系!?よっしゃあああああ!やったるぜええええええ!」


 勇者様は意味不明な事を言っていた。そして我々があっけにとられている隙に、神が100Gとその辺でひろってきたような棒を「様式美だ」と仰られながら勇者に渡した。勇者は「これもゲーム通りかよ………」という謎の台詞を残して城を後にしていった。

 

「い、一体何が起こったのじゃ………」


 いつの間にか消えていた神はどこに行ったのだとか、勇者様が言っていた“げえむ”というのは何のことだろうかとか、様々な事が頭をよぎったが一番肝心なことに思い至った。


 世界を救うべく遣わされた勇者だというのに、神が勇者に授けた物は100Gなどという今時子供の小遣いにもならないようなゴールドと、棒きれ1本のみである。

 なぜ神はそのような無体な境遇で送り出したのか理解に苦しむところである上に、なぜ勇者はそのようなふざけた装備を何の文句も言わずに、まるで”当然だ”と言わんばかりの空気で外へ出て行ったのか。

 普通であれば、いくら神が相手とはいえ勇者様は神が遣わした使徒様であられるのだから文句の一つも言ってしかるべきなのではないだろうか。


 だが、出て行ってしまったという事実は変わらない。後から文句を言った所で何も変わりはしない。

 とてつもなく不安であるが、気付くのが完全に出遅れ、勇者様の出発を阻止することが出来なかった我々にこそ罪はあるのだろう。


 ロクな装備も持たされずに魔物が跋扈ばっこする地へ向かう………そのような事をすれば結果は火を見るよりも明らかだった。勇者を送り出して間もなく、突然ワシの中で勇者が死んだという“結果”が頭に浮かび上がってきたのだ。何故そのような事が頭に浮かんだのかは分からない。言えることがあるとすれば“神の御業”のせいだとしか言えないだろう。


 兵士に事実確認をさせると、勇者は城を出てすぐに魔物に襲われたのだろう。巡回中の兵士が無残な姿となって力尽きている見慣れない旅人を発見したと報告があった。

 ワシは急いで神から授かった言葉を唱える。


「おお、勇者よ。死んでしまうとはなさけない」


 すると急激な目眩に襲われた後、目の前が突然光に包まれ、勇者が出発した時と同じ無傷の状態で転送されてきたのだ。

 ワシは仰天して椅子から転げ落ちてしまったが、勇者の無事を確認すべく声を掛けた。


「おぉ、勇者様!お怪我はございませんか!」


「…………………」


 勇者はまるで寝ぼけているかのように反応が鈍い。これはもしや不味い状況に陥ってしまったのかとハラハラしていると、意識がはっきりしてきたのかワシの顔を見ると驚いた様子で声を上げた。


「うおおおお!

ってここはどこだ!俺は………死んだのか?………全然覚えてない」


「ゆ、勇者様?………お怪我はございませんか?」


 もう一度尋ねるとハッとしたように自分の身体を確かめ始めた。ひとしきり傷が無いことを確認したのであろう。ほっとため息をついてその場にへたり込んだ。


「ふぃ~、いつの間にか死んじまってたみたいだなー。でも死んだ記憶が無いのは良いな。死ぬたびに痛い思い出なんて覚えてたら嫌だしなー。ふははー!ハーレムが俺を待ってるぜー!ウシシシ!」


 そう言って勇者様は笑っていたが、記憶が無いという点がワシは気にかかった。

 全ての経験は成長レベルアップに繋がる………人は困難な経験を積むことにより格段に成長することが出来るのだ。それこそ”死ぬ”ような、ではなく本当に死んだ経験を体験し、それを克服(復活)したということになれば、それは前人未到の経験である。そのような体験をすれば相当な成長レベルアップが見込めたであろう。しかし、自分が死んだ記憶がないということは、自分が死んだという経験を積むことが出来なかったということだ。


 ただし一方で思うことがある。この勇者という人物。意味不明な事を言っておるが、断片的に意味のわかる言葉と行動をつなぎ合わせると………考え方が幼いのではないだろうか。そして現実が見えていないように思える。

 まるで「夢の中だから何をしても死なないし、何をしても良い」と思っているかのような言動だ。地に足がついていないといっても差し支えはない。

 そのような人物がいきなり現実を突きつけられればどうなるだろう。恐らく、この子供のような精神を持つ勇者はきっと2度と立ち上がることはできないだろう。

 神は何という人物を勇者として遣わしたのだろうか。いわば薄氷を踏むような均衡で成り立っているといっても過言ではない。そんな勇者の子供のような精神を守るために”死んだ時の記憶を消す”という神の配慮があったのだろう。


 何はともあれ、死んだという経験が生かせないのであれば、とどのつまり外に出れば1刻の時間も置かずに再び魔物の餌食になる事は明白である。


「勇者様、神から武器を授かっていたと思いますが、このような装備では再び死んでしまいます。様式美という神の崇高な意思はございますが、どうかお考えをお改になって、こちらの支度をお受け取り下さい。更にもし差し支えなければ、城で戦い方をお教えいたします。どうか、この城に留まり下さい」


 ワシは将軍に急いで旅の装備一式を用意させ、勇者に潤沢な資金と共に装備を渡した上で、下級の魔物に殺されてしまう脆弱なこの勇者に、ある程度強くなるまで鍛錬するようにと打診した。しかし勇者様は


「今までにない展開キタコレ!つーか最初から鋼の剣貰うとか、チートじゃね?あんがとよ、おっさん。戦い方とか教えるって、もしかしてチュートリアルの事?ダメダメ、俺ってば説明書読まない派だから。実践で覚えるタイプって感じ?まぁ、そういう訳で、ちょっくら魔王ぶっ倒してきてやるよ。

待ってろ、俺のハーレム!いやっほぉぉぉぉ!!」


 そう言って装備を渡して早々に勇者様は旅立っていった。

 

 これがワシが初めて勇者を復活させた時の苦い思い出である。

 それからワシは、死んでしまった勇者を生き返らせるという“政務”が新たに加わった。勇者が死んだという事はワシに分かるようになっているようだが、いついかなる時に勇者が死んでしまうかというのは勇者が死んだ時にしか分からない。


 いつぞやはワシが大浴場で身を清めているタイミングで勇者が死んでしまった事があった。ワシは慌ててバスローブを羽織り、簡易の外履きを履きながら玉座の間に突入。これまた急いでいつもの呪文を唱えて勇者を復活させたものだった。

 目の前に現れた勇者はワシの姿を見るとギョっとした表情を浮かべ、次に申し訳なさそうな表情をしながら城の外へと消えていった。


 またある時は、夜中の3時頃に叩き起こされて復活の呪文を唱えたものだった。何でも深夜にしか発生しない“ぼすいべんと”とやらがあるらしいのだが、ワシにはさっぱり分からない上に理解したいとも思わない!

 その日はその後4度ほど叩き起こされて、ワシは眠った気がしないまま朝を迎えることとなった。


 そういった日でなくとも、重要な会議を行っている最中に勇者の復活に呼びだされたり、またまた深夜に呼び出されたりと、ワシの私生活が勇者の介入のせいでめちゃくちゃになってしまった。

 

 世界を救うべく神より遣わされた勇者を無碍にすることも出来ず、呼び出されるままに復活の呪文を唱えた。呪文を唱えるたびに目眩に襲われていたが、段々と目眩も起こらなくなった。慣れというものは怖いものである。


 とはいえ、最近では頻繁に勇者が死ぬようになってきている。何でも魔王が住まう暗黒大陸まで足を進めたようだが、そこで行き詰まっているらしい。

 兵士に勇者の戦いを観察させていると、持ち前の能力のみを使って力押しで戦うという戦法を取っていると報告があった。

 折角の高い能力も活かしきれず、まるで街のゴロツキが力を振るっているかのような無駄なゴリ押しのみの戦法を使用しており、格下には通用するが己と同等、あるいは格上には通用しない稚拙な戦い方であると詳細まで語ってくれた。


 そこでワシは勇者を復活させた際、将軍の鍛錬を受けるように打診したのだが、勇者は聞く耳を持たず、あろうことかこのような事をホザいたのだ。


「あぁ?鍛錬だって?何言ってんだよ王様。

もう俺のレベル60過ぎてんだぜ?そんな今更チュートリアルなんてもん受けなくたって俺様強いんだから必要無いだろ。そもそも俺よりレベル低いヤツの指導なんて受けたって無駄無駄。意味がないよ。

今回はたまたま行き詰まっちゃってるけど、もうちっとレベル上げれば楽にクリア出来っから心配すんなって!最近は踊り子のマーナちゃんとか、賢者のマリンちゃんとかのラブコールが激しくって着々とハーレムを築けて嬉しいけど、魔王打倒したらもっと色んな女の子とイチャイチャ出来るジャン?だから俺、最後まで頑張るから期待しててチョ☆」


 その台詞を聞いた瞬間、ワシの中の何かが切れた。

 勇者様が神の使徒であるとか、世界を救う者であるとか、その瞬間全てが頭から抜け落ちた。ワシは本能の赴くままに玉座からテレポートを無詠唱で行い、勇者の後ろに“跳んで”手に持った王笏おうしゃくで勇者の頭を殴りつけた。


「うっぎゃあああああああああああああ!!痛えぇぇ!!痛えぇぇぇ!!

何なんだよ、アンタ!いきなり消えやがって!!

しかも俺はレベル60なんだぞ!なんでアンタ如きが俺にダメージを与えられるんだ!」


 勇者………いや、哀れな“子供”が何やら騒いでおる。


「勇者よ………キサマが己の欲望のみで魔王を倒そうとしているということが、よく分かった。神より遣わされたという事と、魔王を倒すという利害関係が一致しているということを差し引いても、お主の言動は目に余る物がある。このように性根がここまで腐っているのであれば将軍の手には余るだろう。よって、ワシ自らがお主の根性を鍛え直してやるとしよう」


 ワシの最近の私生活は勇者によってめちゃくちゃにされた。だがその副産物として、ワシは常人では得られる事がない“経験”をすることとなった。それは言わずもがな“勇者の復活”である。

 人を生き返らせるという未だかつて誰にも成し得たことのない“困難・不可能とされる経験”を100度以上にも渡って行っていたワシの経験は、いまだかつて無いほど膨れ上がり、今ではレベル300を越えるという古の英雄に迫るレベルまで達していた。

 勇者の頭を殴った時はある程度手加減をしてやったが、本気でやっていたら頭が潰れてしまっていたかもしれん。


「な、何なんだよアンタ!って、お前まさか“チート”使ってんじゃねぇだろうな!テメー卑怯だぞ!ゲームだったら運営に報告してBANの対象になるんだからな!ズルしてんじゃねぇぞ復活するだけが取り柄のカスが!」


「ふむ………これは鍛えがいがありそうだな」


 未だに喚きちらしている勇者の首根っこを掴むと、城の修練場に勇者と連れて瞬間移動した。何をするかといえば勇者の“教育”を行うためだ。


 ある時は、ワシ自らが殴りつけて性根を叩き直し、またある時は稚拙な戦術を正す為にワシ自らが基本を見せつつ勇者を殴りつけた。殴りつける度に段々と言うことを聞くようになり、2ヶ月もしない内に腐った性根をある程度叩き伏せることに成功した。

 完全に叩き伏せることは叶わなかったのは、三つ子の魂なんとやら、と言ったところであろうか。

 今ではワシの姿を見るたびに怯えるようになったが、勇者としてこの世界に顕現した使徒様であられるのだから、魔王を倒して貰わねばならん。ワシは勇者と共に暗黒大陸へテレポートした。


 暗黒大陸では魔王の膝元というだけあり凶悪な魔物が次々と襲ってきたが、所詮ワシ等の敵ではない。目の前に立ちふさがる魔物を、時には炎で焼きつくし、時には凍てつく魔導で白銀の大地へと変えながら魔王の城に侵入。

 性格を多少なりとも矯正出来た勇者の奮闘もあり、魔王城の玉座の間まで到達することに成功した。


 魔王は玉座から立ち上がるとワシ等に向かってこう言った。


「よくぞ来た勇者………よ?」


 ワシの姿を見るなり魔王は固まった。


「な、なぜここにアルメリア王が居るのだ?そこに居るのは勇者だけのはずであろう!」


 魔王は何故ここにワシが居るのか理解出来なかったのであろう。仮にも“王”を名乗っておる程の者が動揺している姿がその心中を物語っていた。


 だが、なぜワシが勇者を引き連れてここに居るのか理解出来ないという、その考えについてはワシも同感なのである。自分自身ですら“どうしてこうなった?”のか理解出来ないからだ。

 様々な要因を経てワシがここに居る訳であるが“運命”だとか“宿命”だとかそういったものすら飛び越えて、非常に感慨深い“想い”が心中に去来した。


「普通であれば、そうなのであろうな。だが、何の因果か、こうしてワシはここに居る。運命とはままならぬものであるな………」


「ふん、何を言っているのかさっぱり理解出来ぬがお前になど興味は無い。それよりも勇者、キサマに問おう。もし我の味方になれば世界の半分をお主にやろう。どうだ?悪い話ではなかろう?」


 魔王は勇者に向かってそのような言葉を吐いた。勇者は一瞬だけ顔を輝かせたが、ワシの顔を見るなり今度は真っ青な顔になってブルブル震え始めた。


「バカヤロー!無理に決まってんだろ、このドアホ!

こんなイカレチート野郎をのさばらせておいて、世界征服なんて出来る訳ねーだろが!無駄な希望なんぞチラつかせやがって!!一瞬喜んだのに、そいつの顔見た瞬間、現実に戻っちまったじゃねぇか!そんなテメーは、さっさと魔王らしく無様に死に晒して、あの世で俺に詫び続けろ魔王ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「なんでそこまで我はこき降ろされるの!?」


 そう言い放ちながら、血の涙を流しつつ勇者は魔王に突撃していった。


 その後、何とか激闘の末に魔王を倒すことに成功したが、結局、勇者は途中で力尽きてリタイア。王と魔王の一騎打ちの末、アルメリア王が魔王を討ち取る事に成功したのであった。


 後に魔王を倒し王国に凱旋したアルメリア王は、歴代最強の王として王国に君臨し、その治世は善政であったと後世にまで語り継がれる素晴らしき“賢王”となった。


 肝心の勇者といえば、もう二度と来ねーよバァーカというアホみたいな捨てゼリフを吐きながら自分の世界に帰っていったらしい。

 この話も後世に語り継がれ、アルメリア王国の劇場では“道化勇者”という「コメディ作品」として公演され、伝統的な演目として1000年以上にも渡って”勇者の恥”が語り継がれたという。

9/29 勇者を倒したら、魔族もレベルが上がるのでは?という鋭いご指摘があったので「人類は神の祝福(ご都合主義)を受けているからレベルアップするが、魔族は神の祝福を受けていないのでレベルアップしない」というような内容を追記しました。


9/30 ”の使い方が間違えているというご指摘があり、二重引用符(始)“から始まり二重引用符(終)”で終わる文に修正致しました。


例………“勇者”と“魔王”

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― 新着の感想 ―
[良い点] 政務と侵略されているという危機感の中、 聞き分けの無い勇者に与えられるストレス生活に打ち勝った(いやある意味打ち負けたのか?でもいい方向に切れて乗り越えたからこその解決!)王様! 頑張った…
[良い点] 短編らしく綺麗にまとまっていて内容がすんなり入ってきました。 [気になる点] 記号の使い方 ”○○○”→“○○○” 細かいところですが、読んでいて話の流れがそこで引っ掛かったもので、す…
[良い点] RPGの裏側を見た感じがして面白かったww [一言] 「勇者を生き返らせた。」という経験でLVが上がるのは理解できるが、それより「勇者を殺した。」経験のほうがはるかにLVが上がりそうな気が…
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