天野邪姫
3
ジリリリリリリリ
全くうるさい目覚ましだ。
まだ朝の7時15分。昨日の夢はなんだったのか,,,,,,
ん?カーテン越しにわずかに見えた景色がいつもと違う!
そもそもおれの部屋にはチェックのカーテンなんかなぃっ!
整理された勉強机も本棚に並べられた小説もベッドもおれの部屋にはないものばかりだ。
それより、この身体にほとばしる痛みはなんだ。
それにこの気持ちはなんだ。
頭では、驚いてるのに心は平然?
まるでいつもの様に,,,
自然と動く身体、ふと何か聞こえてきた。
「死にたい」「行きたくないでもいかなきゃ心配かけてしまう。」
空耳だよな?
自分の意志とは関係無く、制服に着替えて洗面所で顔を洗ってテーブルに向かう身体。
「おはよう」
奥の台所の方から中年のばばぁの元気な声で聞こえてきた。
テーブルには、見かけたことのある中坊の制服を着た女と中年の親父が先に朝飯くってやがる。
中坊からおはようといわれたが、無視していると
「どうかしたの?優ちゃん」
明るい中年ばばぁの声がまた聞こえてきた。
優ちゃん???
聞き間違いだよな……。
一応聞いてみる。
「僕の名前何?」
恐る恐る聞いた。
僕?口からでた言葉に驚いたがどうでもいぃ。
「お兄ちゃん大丈夫?優人だよ?」
言葉を失った。
何故か身体の自由が効かない。
とりあえずわかったことはここは優人の家でこの身体は優人の身体ってことだ。
発言できる言葉が限られていることもなんとなくわかった。
朝食をのらりくらり食べたあとに
部屋に戻ると、夢で見たあいつがいた。
「びっくりしました?感情が欠如してる貴方にプレゼントです。愛川優人さんの全てをプレゼントです。」
いわれた瞬間殴りかかろうとしたが身体が動かない。
なにしてくれてんだくそがっ!
叫ぼうとしたが声にならない。
「あなたは、私の制限の下で優人さんになってもらいます。
暴力はもってのほか暴言、口調、行動、これら全てのことです。まぁ、頭の悪い貴方には理解できないかも知れませんので簡単にいいます。貴方には優人さんの思考と体験を共有していただきます。」
まじいみわかんねぇし頭悪いだと?なめやがって。この女身体が動いたら殺してやる。
「元に戻れる方法は内緒です。可愛いでしょ?」
頭が真っ白になった。身体は動かない声にはならない。
くそがっ!くそがっ!くそがっ!くそがっ!
「ちなみに優人さんらしい言葉でなら会話できますよ?」
角の生えた小柄で赤い目と赤毛のテンパな女が憎たらしい目つきで言った。
目の奥がニヤニヤしてやがる。
「やめて」
やめろ……おれはやめてなんか言ってない。やめろっていったんだ。
「言い忘れましたが貴方の考えていることは私にはわかります。可愛かったですよ?やめてって……フフッ!」
微笑むようにして言われた。
こんなに腹が立ったのはいつ以来だ?
殺してやりたい。
「あっ、聞きたいことあれば邪姫様愛してる〜っていってくださいね。すぐ現れますから。それと、他人には見えないようになってます。
最後に今日は6月2日です。では……。」
言いたいことだけ言って消えた。
くそふざ毛たやつだ。誰がいうかバカが!ようは優人をのっとればいーんだろ?