前編
ザーーーーーーーーーーーー
天気予報のお姉さんは時々、嘘をつく。今日の朝だって
『今日は夏真っ盛り、降水確率0%1日中晴れるでしょう』
とか言っときながらこのドシャブりか……。職員室から傘借りるしかないか。雨に濡れながら帰るのは遠慮したい。 気づくともう帰りのHRは終わりを迎えていた。
「キリーツ、レー」
「「さよならー」」
俺は窓の外の雨を恨むようににらんでいた。
「はぁ~」
「どうしたんだ? そんなため息ついて」
俺に話しかけてきたのは幼なじみの武だった。
「そりゃあ、ため息もつくだろ。この雨だぜ」
「けどそんなため息ばっかついてたら雨だってかわいそうだろ」
ふと、武を見る。そこには得意のドヤ顔と1本の傘が握られていた。
「ちょ、武それは!!」
「フッフッフッフ。我の秘密を知ってしまったか。ジャーーンこれが俺の武器エクスカリバーだ!!」
ドヤァ
と、うちの学校名が記されてある傘を俺に突きつけた。お前の傘じゃないだろとツッコミをしかけ、驚いた。
「そ、それは俺が借りに行っても全部借りられていた。伝説の! その傘どうやって!?」
「驚いたか!わざわざHR始まる前の休み時間に借りに行っていたのだ」
ドヤァ
じゃなくて。なるほど、放課後みんなが借りに行くのを予想して6時間目が終わったあとの休み時間に行くとは武にしてはやるな。
「お願いします。一緒に入れさせてください」
俺は胸の前で手を合わせ頭を下げてお願い
した。
「え~~。俺、男と相合い傘なんてしたくな~い」
「お前相合い傘する相手いないだろ!」
「ちっちっち、俺ははなっから相合い傘なんてする気はないぞ」
と舌打ちをし不適な笑みを浮かべた。
確かにクラスで変態というレッテルを張られている武の傘に入ってくるような女子はそうそういないだろう。
じゃあいったいなにをするつもりなんだ?
「まだわからないのか。バカだなぁ。下着観察にきまってるだろ。雨で濡れた夏の制服の外から透けて見え、体にピッチリと張り付くあのフォルム! これこそ王道!!」
「もっとひどいわ!!」
なにを考えているのかと思えば……変態だ。
しかたない、走って帰るか。すると
「そんな悲しい顔するなって、仕方ない貸してやるよ」
「はぁ?いきなりなんだよ。まさか一緒に下着観察しようとか言い出すんじゃないだろうな」
「そんなことするわけないだろ。親友じゃんか。俺は濡れて帰るから、この傘さしてけ」
そう言って武は無理矢理俺に持たせた。
「何をたくらんでる?」
こういう時の武は絶対なにか裏がある。今まで下着観察をするとか言ってたくせになんだよこの変わり身。
「愛のためだ」
「はぁ?」
「愛のためだ」
「2回もそんな恥ずかしいセリフ言わんでいいわ!! ちゃんと聞こえてるよ! 変態かお前わ!!」
「ハッハッハッハ、冗談、冗談。こっから真面目な話だ。ちょい、耳貸せ」
武の顔が近づき、吐息が耳をくすぐる。
「あれ、見てみろ」
なんだ?
指を指したほうをみる。
「あれは……」
「そうだ。お前好きなんだろ?」
そこには校舎前で体育座りをしている女の
子。山下香織がいた。眉間にしわをを寄せ空をにらんでいる。
「この傘で一緒に帰れ。どうせ途中まで同じ道だし、それに好きな人を雨に濡らしてして帰るようなまねできないだろ?」
「……」
確かに好きだ。いや、大好きだ。高1の時からこの想いは変わらない。しかし、俺が思い切って声をかけても聞いているのか聞いていないのかよくわからない。名前で呼ぶことには成功したが香織は俺の名前を1度も呼んでくれたことはない。てか俺が一方的に名前を呼んでるような気がする。
「仲を深めるいいチャンスじゃんかよ」
「でも……」
「でもじゃねぇ。このまま高3になって卒業しちまうのか?」
実はものすごく怖い。自分が一方的に話しかけて嫌われてるんじゃないかって。口に出してふられるのなら、まだ今のままでもいい。
「俺は……」
「あ~も~、はっきりしないやつだなぁ。そんなウジウジしてるからだめなんだろ。好きか嫌いかどっちなんだよ!」
「好きだ」
「じゃあ決定な。俺は行くわ。いい結果期待してるぞ。ちゃんと俺に報告しろよ。がんばれ!」
武は早口でそう行って返事も待たず。走って帰っていった。
「はぁ~」
2度目のため息だ。どんどん幸せが逃げて行ってる気がする。校舎には補修で残ってる人か部活の人ぐらいしかいない。俺は武とわかれてから約15分。傘を握りしめて香織を見つめていた。
どうすんだよ俺!根性みしてみろや!
ひたいからは妙な汗が流れてきた。行こう行こうと思っていても、なぜか足がでない。
くっそ、武め。報告待ってるからな!じゃね~よ。
いなくなって愚痴をこぼしても仕方ない。でも武のことを考えてると不思議と気が楽になってくる。
そうだ、親密になるチャンスなんだ。ここで行かなかったら絶対後悔する。そう思い、俺は香織に向かって一歩ずつ踏み出した。
ゴクッ
唾を飲む。心臓はの鼓動は近づくたびに大きくなっていく。あと5メートル、4メートル、3メート
「あ!」
声をだしても、もう遅かった。もう待っても雨はやまないと思ったのか香織は走っていってしまった。雨の中、その背中はどんどんと小さくなり消えていった。追おうとしたが足が動かなかった。
初体け……初投稿ですorz あゆあるあ と申しますぅ。読んでくださってありがとうございます。引き続き読んでいただければうれしいです!!
こんな感じでいいのか緊張気味……




