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3話 ライダー

信号を左に曲がり道の駅どうしに入った。

土曜日の午前8時過ぎ、まだバイクも車もまばらだ。

お土産屋さんも飲食店も開店前なので当然だろう。

バイクを停めてお手洗いに行き、自動販売機でカフェオレを買った。

ベンチに座ってスマホを眺める。

葵からは一緒に車で行こうと誘われていた。

初対面のお兄さんに乗せてもらうのも少し悪い気がしたし、自宅も10km程度離れている。

洪庵キャンプ場にバイクで行きたい気持ちもあったので、自走にしたのだ。

家族LINEにも現在地を一応報告する事にした。

道の駅の建物の写真を撮ろうと顔をあげたら、目の前に見知らぬおじさんが立っていた。

黒に赤いラインの入った革ツナギを着て、前チャックをお腹位まで下げている。

中肉中背、髪の毛は薄い。

5~60代といった所だろう。

何やら怪訝な表情で私を見ている。

めんどくさいので私が立ち上がって横を通ろうとすると、やっぱり声を掛けてきた。

嫌な予感しかしない。

「お嬢ちゃん。あんな荷物積んで旅気取りか。」

「はぁ…キャンブへ行くだけですけど。」

「あんな道の真ん中をあんな速度でフラフラ走ってたら危ないだろう。何のつもりだ?」

 

…そうじゃないかとは思ったけど、さっき私をぶち抜いて行った赤いバイクのライダーか。

私は法定速度以上出てたし、フラフラしたのはオマエが抜いて行った後だ。

むしろオマエが道路交通法違反だ!と言いたい。

気持ち悪い。

ものすごく嫌悪感を感じる。

 私が何も言わないと更に文句を、付けてきた。

「大体なんでそんなカッコウでバイクに乗ってるんだ?一体親はどんな教育をしてるんだ。」

 カッコウの発音が変で笑ってしまいそうになる。

言ってる事の意味は分からない。

私はアライのフルフェイスに長袖の薄手のパーカー、長ズボン。グローブも付けているし、靴だってスニーカーだ。

「バイクに乗るならプロテクター位つけろよ。危ないだろ。」


 …私は知っている。

この人は親でも教師でもない。

私の為に何か言っている訳では絶対に無い。

カストに来るクレーマーと一緒だ。

文句を言いたいだけ。

一言反論しよう物ならば、上から高圧的な物言いをしてくるだろう。

私が謝れば良いのだろうか?

気持ち悪い。

圧倒的に私は悪くない。ハズだ。

 だけど、こんな人と関わりたくないので適当に謝って立ち去ろうと思ったら、チャラい男性2人組が近寄ってきた。

「ちわーす。若い女の子虐めてるみたいに見えるぜ。なんかトラブル?」

2人とも身長は175程度だろうか痩せていて少し高圧的な態度だ。

「この娘がこんなカッコウでトロトロバイクに乗っていたから注意していたんだ。危ないだろって。」

相変わらずカッコウの発音がおかしい。鳥か!

「カッコウて(笑)おじさんの服装の方が変じゃん。バイク乗りみんながそんな革ツナギがカッコイイと思ってると思うなよ。」

「どこの店いったら、そんなダセー服売ってるんだよ。しかも革ツナギなんてクソ高いだろ!意味わかんねー(笑)」

 若い男性達はぎゃははと大声で笑う。

もはや私は関係ない内容になっている。スルッと抜け出せないだろうか。

「こ、この娘が道の真ん中をトロトロ、フラフラ走っていたんだ。私が追い越ししようとしたら危なかったから注意してるんだ。」

男は必死に自分の正当性を訴えているが、説得力は皆無だ。

「トロトロ!フラフラ!(笑)そーなの?」

若い男が私に確認してくる。

「法定速度以上は出てたし、文句言われる筋合いは無いはずです。完全に言いがかりです。もう行きますね。時間ないので。」

私はそのまま返答も聞かず立ち去った。

後ろで若い男が

「ハッハッハー!どこへ行こうと言うんだね?」とムスカの真似をして、また「ぎゃはは!似てねぇー!」と大声で笑っていたが無視をした。

この2人も別に私を助けに来た訳じゃない。ただ面白そうだから首を突っ込んできたのだろう。何なんだこれは。

ホントめんどくさい。

流石に誰も追いかけては来なかったので安心した。

 いつもより急いで準備をして道の駅を出発した。

全く休憩にはならず気分は最低だった。体力ゲージが一気に赤くなるまで減ってしまった気がする。

早く葵に会いたいと思った。

 

 

 



 

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます!

少しでも続きが気になったり、好きな場面がありましたら、

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