19話 ヤエー!
帰りの道志みちはずっとノロノロペースだった。
レオさん、私、コーヘイさん&葵の順でLINE通話をしながら走っている。
日曜日の昼間だ。
関東中のライダーが道志みちを走っている。
本来なら夏でも快適に走れる標高の高い川沿いの道だ。
スローペースでも進んでいるだけマシだけど、暑い。
ヘルメットや首、背中が、じっくりと太陽の火力で焼かれるのを体感する。
こういう時は本当に車が羨ましくなる。
ちなみに道志みちは40km近くあり、道中にコンビニはない。
私たちは道の駅どうしで休憩をして、ソフトクリームを食べた。
私以外の3人はバイクの台数の多さに驚いていた。
あっという間に溶け始めたソフトクリームを食べながら葵が聞いてきた。
「なんか晴、バイクの人達と手を振ってるけど、何してるの?知り合いって人数じゃないし。」
私は3人にヤエーを説明した。レオさんは目を輝かせて
「よし。俺もやる!車でやったら無視されんのかな?ワクワクするな!」とテンションが上がっている。
結局レオさんはバイクにも自転車にも手を振りまくり怪訝な顔をされたり手を振り返されたりと車ヤエーをエンジョイしていた。
私の後ろを走っているコーヘイさんも
「手を振るだけなのに、なんか嬉しいな 」と、喜んでいた。
最初助手席に乗っていた葵だけが「つまんな〜い」と不貞腐れ気味だったが、車が止まった数秒で後部座席に移り、手を振りまくっていた。
「なんかバイク楽しそうだね。
受験終わったら私も免許取ろうかな」
「いやーとりあえず車が先でしょ」私が返答すると男性2人は激しく同意した。
私は多分11月には推薦で大学が決まる。
けど、葵は一般受験でかなりレベルの高い大学を幾つも受ける。
結果が分かるのは3月に入ってからだろう。
葵が大学に受かる頃には私は車の免許を取っている予定だ。
そして、今度は2人でキャンプいきたいな。
コーヘイさんもレオさんもいい人だし、凄く楽しませてくれた。
やっぱり彼氏を作るなら年上がいいな、って思う程に。
けれど、やっぱり父とのキャンプやソロキャンプよりも疲労感がある。
気温のせいもあるかもしれないけど、気疲れってやつな気がする。
東京に住んでいるレオさんとは相模原で別れ、コーヘイさんと葵はウチの近くまで一緒に帰った。
結局私たちは当然のように別々の大学に入り、連絡を取り合う事は無くなった。
なんてことはなく、毎年凛と3人でキャンプをしたり、旅行をしたりしている。
あれから何度も洪庵キャンプ場には行ったけれど、あそこまで感動的な朝日に出会った事はない。
これだからキャンプは辞められない。
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