叫び声
そんなこんなで4日と20時間・・・
もう5日経っちゃうじゃないか。愛糸、また来るとか言っといてこないじゃないか・・・。
ラジオだってずっとつけっぱなし。音楽プレイヤーの意味がないじゃないか。
プレイヤーの電池が切れ始めたので、倖斗は充電器を探した。
「充電器・・・充電器・・・あれ、どこいったっけ」
倖斗が部屋を探していても、なかなか充電器が見つからない。
「あ、これかな?・・・・違う。これゲームのだ。」
ラジオは相変わらずノイズの「ジジジ・・ジジ・・・」という音が倖斗の背後で流れたままだった。
もうこのノイズは聞き飽きていたのでもうこのノイズが聞こえる部屋があたりまえになりかけていた。
その時だった。
『ジジ・・・ジジ・・・倖・・・』
倖斗は気づかない。
『倖・・・斗・・・ジジ・・今・・ね・・・』
倖斗は振り向いた。
今声が聞こえたような・・・。いや、気のせいか。と倖斗は充電器探しを続行した。
『倖・・・斗、今・・・あなたのうし・・ろ・・に』
倖斗は背中に変な感覚が通った。
なんだこれ、今声が聞こえた。と自分の心の中で確認した。
何故か声は出してはいけないような気がして、声が出せなかった。
怖いというか、なんかよく分からないけど何かが起こっているのは分かった。
充電器を探しながら倖斗は愛糸の言っていたあの言葉を思い出した。
『携帯とか、音楽プレーヤーでも何万台に一台は、幽霊の電波拾っちゃったりするの。』
ももももももしかして幽霊!?
さっきの声絶対愛糸じゃないかった。もっと大人びた女性の声だった・・・よな。
『倖・・・ッ・・・逃げ・・・』
「愛糸!?」
倖斗は愛糸の声を確認した。今の声は愛糸だ。
ちょっとまて、今愛糸は逃げ、って・・・逃げろってことか!?
怖いっていうか展開が早すぎる。逃げろだなんてどうすればいいんだ!?
第一愛糸は!?無事なのか!
「愛糸!?どどどどうしたんだ!!逃げってどういう・・・」
『うあああああああああああああああ!!!』
倖斗が言うまでも無く女の叫び声が聞こえた。
驚いた。
何が起こっているんだなんて考える余裕もない。
「愛糸!?」
倖斗は恐怖を断ち切り最初に愛糸の名前を叫んだ。