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埋葬の旅  作者: 荒北 龍
一章【望んだ結末】
3/5

3話【目覚めぬ大災】



ホークアイ。

羽人(うじん)が多く住むこの国は魔法の国とも呼ばれ数多くの魔法を生み出し、使う国として有名だ。

中でも【羽の魔女】と呼ばれる羽人は魔法を得意とする羽人の中でも異端であり、脅威でもある。

かつてホークアイを炎の海にした【龍王】グレイオールを【魔女】は12人の自身の同胞を生贄にし、言葉巧みに惑わし、騙し、その怒りを沈めた。

また、隣国である海の国であるハマナスとの争いではハマナスの10分の1消し飛ばし火の海にしたことも有名だ。

口を開けば【龍王】すら騙し、魔法を唱えれば国の一部すら消し飛ばす。

その姿から【羽の魔女】と呼ばれるようになった。


「とここまで色々言ったが、全部忘れろ。アレはただのババアだ」

「了解」


ローズは目を瞑りながら頷いた。

千里眼、全てを見通す視線。

ローズは今この広大な森林のほぼ全てを見ている。

森に生きる小バエから動物達、この森の主であるグレイオールを除き、全てを覗き見ている。


「どうだ?」

「どうですかねぇ、未だグレイオールの姿が見えないんですよね」

「だろうなぁ」

「む、言ってくれますね。ちょっと待っててください、直ぐに見つけて···············」

「何言ってんだ」


ローズが訳の分からないことを言言い始めた。

恐らく見つけられないことに対抗心でも燃やしているのだろうが、そもそもローズは既にグレイオールを見つけている。

だが見つけることは出来ない。


「グレイオールは今この下にいんだろ」

「···············何言ってんですか?」

「ここら辺だと確かグレイオールの目の辺りだろうな」

「····················まさかグレイオールの大森林て」

「今更何を、グレイオールの上にできた森の事だ」


思えばグレイオールは森に住むと言うより、森自体がグレイオールだったな。


「この森ってどれくらい大きいんでしたっけ?」

「アークの2〜3倍くらいじゃねぇか?」

「あ、ははは··········」


(そんなデカイドラゴンの怒りを沈めた魔女て何者だろう··········?)


自身の想像も及ばないその巨体に、背筋に冷たい感覚を覚えるローズはより一層警戒心を高めた。


グレイオール。

まだ世界が何も無かった太古の時代には、水と炎と土と緑と生物を創った13体の龍が居た。

どの龍も各地で神と崇められ、時に破滅を、時に祝福を与えてきた。

その血肉は決して腐ることなく、その骨は決して砕けることはなく、その力はどの龍も人智を超えた神の様な力だったという。

自然を作り、生物を創り、時代を創った。


そしてグレイオールは同胞を己以外全てを喰らった。

それからグレイオールは長い年月この地で眠りについた。

今度は己以外の全てを喰らうその日まで。


もうずっとずっと昔の話だ。


『次にコイツが目を覚ましたら、世界は滅ぶだろうよ』


「···············なんにもないといいな」

「そりゃ何も無いのが1番ですよ」


そう言ってカプシーヌは強く手綱を握った。

あの日、グレイオールが目を覚ましたあの日を思い出しながら、もう二度と目覚めぬことを祈って。


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