4 攻撃
すると、なんでもたべちゃうゴンの期待に応えるかのようにニホン国の自衛隊が出現する。
現われた陸上自衛隊の戦車が宇宙大怪獣にその砲首を向ける。空からは、その購入にあたり、当時野党から散々文句をいわれた航空自衛隊のジェット戦闘機が、今まさにミサイル攻撃を仕掛けようとしている。いつのまにかウヨウヨと集まってきたテレビ、ラジオ、ネット関連の報道関係者が、なぜか解像度の悪い怪獣の映像を中継局に送り、自宅でテレビを見ていた元与党の代議士が、思わず膝を叩いて喜ぶ。
「ほーら、やっぱり役に立ったじゃないか!」
代議士は執務室に飾ってある――ジェット機の機種選定にあたりアルシア国のR社からもらったリベートの一部――ゴーガの像をチラリと見ると歯をむきだしてニタッと笑う。
場面は戻り――
「さ、危ないから、早く避難して!」
迷彩服に身を包んだ陸上自衛隊員たちが、さっきの小学生たちの一団や、近くにいた人々を最寄駅まで誘導しながら言う。
「ケチー」
「ヘンだ!」
「おーぼう!」
「いいじゃん!」
「みていたいよ!」
「へらないでしょ!」
と嫌がる小学生たちを無視して無線報告。
「付近住民の避難は完了しました。ただちに攻撃を開始してください!」
声が興奮している。
自衛隊員の連絡を受け、Ⅴの字型に並んだ戦車隊が砲撃を開始する。
バーン! バーン! バババーン!
同時にジェット機もミサイル攻撃を開始する。
シューン シューン ズバババン!
なんでもたべちゃうゴンが集中放火を浴びる。使用した火薬が白色火薬だったため、辺りが噴煙でまっ白に染まり、怪獣の姿が見えなくなる。しばし沈黙。自衛隊の指揮隊長はオペラグラスを目に当て情勢を見守っている。隊員たちも息を殺す。