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No.08『村を変えた女性『フミエ』』

 『前回のあらすじ』

 『何故か女性しかいない『トニス村』。

 『女性は無料、男がその代わりに多く払うなんて常識』なんて言うとんでも理論で、多くの金を払わされそうになったタケル君はそれに抗議する。

 騒ぎになった為現れた女性、『フミエ』によって、タケル君は捕まってしまう。』

 『スタト村』の外れ、少しボロい館の中に、その館には似合わないほど派手なギャルが入る。

 ギャルは館に入ると、すぐさま料理を開始する。

 料理ができたギャルはそれを仲間である、シスター、アイマスク、アイアンメイデンのいる、大広間の元へ持っていく。


「『皆、お待たせ〜。』」


 ギャルが、大きな鍋に、鍋料理を用意した。


「『おお!お待ちしていましたデスよ。』」


「『も〜。遅いヨ〜。お腹減っちゃったヨ。』」


「『昼に村で情報収集して、夜に飯を作ってもらって。申し訳ないの。』」


 アイアンメイデンの言葉に、ギャルがこう返す。


「『いいよ。いいよ〜。あ〜し以外料理できないし、あ〜しはマスク外せばただの人間にしか見えないし。』」


 ギャルがそう笑顔で返し、アイアンメイデンの隣にある席に着く。


「『儂らは、普通には見えぬと?』」


「『そりゃあ、両手を釘で繋げてる人や動くアイアンメイデンが、普通の人間に思う人はナッシングだよ。』」


 ギャルの言葉に、シスターが反応する。


「『その通りなのですデス。ワタシの『ムシン』様への愛を示すこの格好は、普通の人間程度に出来ることではありませんデス。』」


「『それもそうだな。』」


 アイアンメイデンは少し間を開けて言う。


「『では…。』」


 アイアンメイデンの掛け声で、4人が一斉に言う。


「『いただきますデス。』」「『いただくヨ〜。』」「『いただきます!』」「『頂こう。』」


 4人が食事をし始める。


「『『パニッシュ』〜。はい、あ〜んだヨ。』」


 アイマスクが、シスターの口に、野菜を持っていく。


「『いつもすみませんデス。』」


 感謝するシスターに、アイマスクは口角を上げ、返す。


「『いいヨ、いいヨ〜。『パニッシュ』は『ムシン』君への祈りの為に、両手を固定してるんだから、その思いの協力ぐらいするヨ。』」


 そう言って、アイマスクはシスターの口元に、熱々の野菜を押し当てる。


「『熱いですデス。』」


 熱々の野菜を押し付けられたシスターは、少し暴れる。

 それを見て、アイマスクは笑顔のまま言う。


「『ごめんごめん。ほらボク、アイマスクしてるから。照準ズレちゃった。』

 『野菜落ちちゃったし、はい。』」


 アイマスクは、「『気をつけてくださいデス。』」というシスターに、卵を食べさせる。


「『あっっっっっついですデスーーーーー!!』」


 卵の黄身が、シスターの口を熱さで満たし、彼女は大きく悶える。


「『アッハッハッハッハッハ!! いいヨ。いいヨ〜!その反応。やっぱり『パニッシュ』はいい反応するヨね〜。』」


 アイマスクは、腹を抱えて笑う。

 それを見て、ギャルとアイアンメイデンがため息をつく。


「『食べ物で遊ばないでよ。激おこプンプン丸だよ。全く。』」


「『何やっとんじゃ。貴様らは。』」


 アイアンメイデンはそう言うと、お腹部分が開く。そこには6歳ほどの、虹色のロングヘアーをした少女が、全裸で拘束されていた。

 鋼鉄の目隠しをした彼女は言う。


「『全く。貴様のイタズラ好きには困ったもんじゃの。』」


 そして、アイアンメイデンが機械の腕でフォークを持ち、こんにゃくをさして虹色髪の少女の口へと持っていく。


「『もぐもぐ。うむ。いい味じゃ。こんないい物も玩具にするなんて…。』」


 ギャルが、アイアンメイデンを見て言う。


「『褒めてくれたのは嬉しいけど、やっぱりその腕じゃ食べづらそうだね。』」


「『仕方なかろう。『モルガナ』が、『儂本体が飯を食わずとも、栄養を取れる機能』をこの体に付けてくれぬのだから。』」


「『う、うん。普通のアームにしたら〜?って意味で言ったんだけど…。』」


 苦笑いをして言うギャルに、見向きもせずアイアンメイデンもとい、虹色髪の少女が言う。


「『嫌じゃ。こっちの方がかっこいい。』」


「『そ、そうなのね…。』」


 ギャルは苦笑いのままそう言う。

 そして4人(アイマスクは、シスターの食事介助優先)は食事を続ける。


 ──────────


「ま、待つのだ!」


 チリが、タケルを連れ去るフミエを追いかけようとするが、赤い髪の少女が彼女の方をつかみ、止める。


「なんだ!お前!手を離せ!!」


 そう叫ぶチリに少女は言う。


「ダメです。この村でフミエさんに逆らっては。」


 少女の言葉を聞き、デュランが言う。


「お主とは話が通じそうだな。あの娘の事と、この村について、詳しく教えてくれぬか?」


 デュランの言葉に、少女が「では、外で。」と言い。4人は店から出る。


 ──────────


「で、なんなんだ?この村は?」


 デュランが質問する。

 少女はそれに答える。


「この村は、あのフミエさんが来てから、女尊男卑の村になったんです。」


「女尊男卑の村か。どうしてそうなった。」


 デュランは質問を続ける。

 少女も答え続ける。


「あの人は最初、村の外の森で倒れてたのですが、それを助けてもらったにもかかわらず彼女は、この村の男性を追いだそうとしたんです。」


「なんで、そんなことを?」


 チリが質問し、少女が答える。


「このギルドに、ちょっと、いばりんぼうなパーティがいまして、男性4人のパーティーです。彼らがぶつかった女性に対して、必要以上の詫びを求めてたんです。

 そこに、フミエさんが現れ、彼らをたった1人で倒したんです。それからです。この村が変わってしまったのは。

 彼女が倒した、パーティーはこの村で一番強かったのですが、フミエさんが彼らを倒したので、彼女がこの村で一番力を得ました。

 それから、女性たちがフミエさんに、男性に対しての相談を言うようになりました。最初は、本当にひどい暴力を受けているとかそういうものでしたが、段々と相談は酷いものになりました。なんなら、嘘すらありました。

 ですが、フミエさんはそんな相談も信じ、女性にひどいことをする男性を捌くようになりました。

 後々男性は、村をでるか牢屋に入れられ、この村には自己中な女性ばかりになってしまいました。」


 少女の言葉を聞いて、チリが質問する。


「お前は、なぜ残ったのだ。そういう思考の持ち主に見えないが?」


 少女は、突如、自分の髪の毛を掴む。

 そして、彼女は、赤いカツラをとり、青い髪の毛を見せる。


「この村、女性には高い給料が支払われるんです。そのようになってから、私は女性のふりをして、この店で働いているんです。

 私は、お婆さんのためにお金を稼がねばならないので。」


 少女。ではなく少年にデュランが疑問を言う。


「お婆さん。それに、女性のふりと言う事は男だな?お主、『スタト村』に祖母様がおるのではないか?」


 彼女の疑問に、少年は驚いたように言う。


「え、ええ。その通りです。貴方達は?」


「吾輩達は、『スタト村』の老婆から、『この村にいる孫に荷物を届けてほしい』と頼まれたのだ。お前の名は、『ボイ』で、合っているか?」


 チリの言葉に少年が首を縦に振る。

 それを見て、チリは手のひらサイズの荷物を、彼に渡す。


「ありがとうございます。」


「さて、あとはタケルを奪い返して、こんな村さっさと出るぞ。」


 チリがそう言うと、エルスが言った。


「いや、もうご主人様は捨てて帰りませんか?」


 その言葉に、少年は同意する。


「そうした方が良いです!フミエさんは、この村全体から支持されている上に、ものすごく強いんです。歯向かわない方が…。」


 2人の言葉にチリは怒り出す。


「エルス!何を言ってるんだお前は!元より、今回は完全にお前の失言が原因なんだぞ!彼に申し訳ないとは思わないのか!!」


 チリに怒られたエルスは、俯いて黙る。

 そしてチリは、ボイに言う。


「タケルは、吾輩達の仲間だ。見捨てる訳にはいかんのだよ。

 タケルは何処に連れてかれたんだ。」


 チリの質問に、ボイは答える。


「ここから、北の方、あの大きな建物。刑務所の中にいると思います。」


 答えを聞いたチリが、デュランとエルスを見る。


「行くぞ!2人共!!」


 チリが刑務所をめざして走る。

 デュランは走り、エルスはとぼとぼと彼女を追いかけた。

 『次回予告』

 『タケル君を助けようとするチリ達。

 彼女らを手伝うように、村に騒ぎが起こる。』


 『次回 No.09『怪物さんは』』

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