No.12:『後悔は先に立たず』
『前回のあらすじ』
『エルスに見放されたタケル君は、己の無力さに悩みつつ、フミエ達を助けたい考えだけが空回りする。』
『フミエとチリ、それとデュランは、リチュと激しい戦いを繰り広げるが、リチュの再生能力と毒に苦戦する。』
『フミエは毒をくらい、チリのアーマーファントムは破壊されてしまった。』
「ちっ、まずいな。」
チリは、自分の杖をリチュに向け、汗を流す。
「(吾輩の『デットリーカース』は、夜でも1回しか使えない。さっき使ったばかりだから、もう使えない…。すぐさま、アーマーファントムを繰り出すには、詠唱に時間がかかる。今にも、襲ってきそうなあいつを前に、そんな隙を晒すわけにはいかない。
せめて、せめて、注意を引いてくれる前衛さへ、いれば…。)」
チリがそう、考えている隙に、リチュが勢いよく彼女の元へ走る。
「ちっ!『ソウルクラッシュ』!!」
チリが小さな爆発を起こす。
「威嚇のつもりですか?こんなものが、効くわけないでしょう!!」
リチュが、剣となった自身の腕で、チリを切り裂く。
その瞬間───
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
やっと、というか、今更ながらに、タケルの足が動いた。
向かう先は、仲間を傷つけたリチュの元。
リチュは、タケルの方を向いた。
「アナタは、凄く無知な方でしたね。この世界でも、スライムに打撃は効かない。その常識すら知らないなんて。それなのに、仲間を助けようと。ヨワイを助けようとする。」
リチュが少しうつむく。
「昔のワタクシみたい、でも、だからこそ言える。アナタは何も守れない。」
そう言ったかと思うと、リチュも、タケルに向かって走り出す。
リチュとタケルがぶつかり合う、その瞬間───
ドカン!!
───と、リチュの顔面が突然爆発した。
その衝撃で、タケルは後ろに倒れ、地面に頭を打ち付けてしまう。
頭に強い衝撃が走ったタケルは、徐々に意識を失っていく。
段々と暗くなっていく彼の視界に映ったのは、毒の渦からは解放されたが、毒まみれでピクリとも動かないフミエの姿だった。
──────────
「ずっと隠れていたから、見逃していましたが、アナタも攻撃するのであれば、敵ですよ。」
リチュが爆発する矢を食らった自分の顔を押さえつつ、そう言った。
その矢を撃って来た者は姿は見えなかったが、体の中のマナを見ることが出来るリチュには彼女の潜伏するスキルは何の意味もなかった。
しかし、リチュは他に攻撃をしてくる相手を無視してまで、彼女を攻撃する理由を持っていなかったが為、彼女に対して見て見ぬふりをしていた。
だが、彼女が攻撃をしてくるなら、リチュも黙ってはいられない。
気が付くと、リチュの周りは煙で包まれていた。目くらましのつもりだろうが、やはり、人の体内のマナを見ることが出来るリチュには意味がなかった。
「そこですね?2人分のマナが動いている。さっきの雄を運んでいるんですか?」
リチュが毒液を両腕から出す。
そして、リチュは彼女を襲おうとした、瞬間気が付く。
「もしかして逃げています?であれば、深追いはしない方が良いですね。アナタ達2人。そして、追加で走り出したもう2人。たった4人を食らうためにここを離れては、餌を多く失ってしまうでしょうから。」
リチュは逃げ出したチリ達を無視して、絶命したフミエの元へと近寄る。
「こっちは、戦える者は1人。あとはヨワイの者達。その1人はとっくに絶命。こっちを優先した方が、たらふく食べられますね。」
リチュは、フミエを自分の体内へと放り込んだ。
『次回予告』
『何とか生きて逃げかえることが出来た、タケル君達。しかし、タケル君はフミエを助けられなかったことに気を落としていた。』
『次回 No.13 『依頼達成』』




