No.11:『弱き者は』(後編)
前編のあらすじ
『トニス村』の女性たちが、自分を騙し、利用しているだけだと、知ったフミエは、他の誰でもない自分の望む未来の為に、スライムのリチュと戦うことにした。
そんな彼女を助けたいと思うタケルだったが、そんな彼に『付き合いきれない』と思ったエルスは、彼と喧嘩し、『ステルス』の能力で闇に姿を消すのであった。
「ああ。勿論。あいつが、見捨てたいなら止めたりしない。けれど、俺は絶対に見捨てたりはしない。」
タケルの勢いに、チリとデュランは、「ああ…。」と答えるしかなかった。
2人が、リチュに向かって、走り出す中、タケルは1人考える。
「(しかし、助けたいとは思ったものの、実際どうすれば、あのスライムを倒せる?
俺の剣はなぜか、鞘から抜けないし、スライムに打撃は効かないから、俺は戦闘じゃ何もできない…。
なら、チリとデュランに的確な指示をだして、彼女達を助ける?でも、どうやって?
ここ何回か、魔物とは戦ってきたが、どれも作戦と言うほどのことはしていない。ここに来る前に盗賊に会ったときなんか、皆が相談もなしに、的確に動いていたのに、俺はなんも出来なかった。)」
タケルは悩みながら感じる。自分がどれだけ無謀で無力で無計画な人であるかを。
静かに考えて、彼は思い始める。エルスが言っていることの方が正しかったのではないかと。
どれだけ、他人を救いたいと思っても、力がなければそれを成すことはできない。むしろそのせいで、一緒にいるチリやデュランが危ない目に遭っている。
タケルはその考えに至り、ハッとする。そして、チリとデュランの方を見る。
彼女達はすでに、フミエと一緒に戦っていた。
「いい加減、くたばれ!『ソードテンペスト』!!」
フミエが持っていた剣を振り回し、リチュの腕を次々と切り裂く。
リチュは少し後退して、怯む。
しかし、すぐに切れた右腕を再生させ、さらにそれを針のように尖らせた。
「やりますですね。今度はこちらからいきますよ。」
リチュは、フミエに向かって突進する。
それにチリとデュランが気付いた。
「やらせはせんぞ!」
「アーマーファントム!! あの子を守れ!!」
デュランと、チリの召喚したアーマーファントムが同時にフミエの前に飛び出す。
「「なっ!」」
デュランとチリが、同時にそう叫ぶ。直後、デュランとアーマーファントムが衝突する。
その衝撃によって、2人は地面に倒れ、デュランに至っては、持っていた自分の頭を、転がしてしまう。
2人の壁が無くなったフミエを、リチュの針のような腕が襲う。
彼女は、ぎりぎり直撃は免れたものの、右腕に擦り傷を作ってしまい、そこからじわじわと毒が入り込んでいた。
「がっ!!」
フミエが血を吐き出して、地面に膝をつける。
その様子を見て、村の女性達が恐怖の悲鳴を上げる。
「くそ!なんだ!? 何が起こっている!?」
デュランは、自分の頭を拾おうと、あっちこっち行きながら、村の女性達の悲鳴に不安を抱く。
一気に、周りの不安な空気に、当てられ、タケルは恐怖と焦りで、平常心ではいられなくなっていた。
助けたいと思っていても、その足を動かすことができなかった。
「くそ!『デットリーカース』!!」
チリの杖から、紫色の玉が、発射される。
しかし、リチュは体を柔軟に動かし、その玉を避ける。
その隙をついて、チリがフミエの元に駆け寄ろうとするが、リチュがフミエを毒の渦の中に閉じ込める。
「ちっ!アーマーファントム!そこのスライムをやっつけろ!!」
チリがそう叫ぶと、アーマーファントムが、リチュに向けて大槌を振り上げ、それを落とす。
そして、リチュとアーマーファントムとの攻防が始まる。
その隙にチリが、『ソウルクラッシュ』を使い毒の渦を破壊しようとするが、何重もの層になっており、彼女は毒の渦を削るのに苦戦していた。
「無駄な時間稼ぎですね。」
そんな冷たい声がして、チリが、声のする方向を見るとそこには…。
アーマーファントムを破壊して、剣のようにした右手をチリの方へと向けるリチュの姿があった。
『次回予告』
『アーマーファントムを破壊され、リチュの標的になったチリは、抵抗むなしく傷を負ってしまう。』
『そんな彼女を、助けようとタケル君はリチュに向かって走り出すが…。』
『次回 No.12:『後悔は先に立たず』』




