表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄と追放をセットでくらった件 〜神スキルで逆転人生〜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/125

騎士と令嬢のドラマ

「ネオ、少しここの責任者と話をしてくるから席を外すぞ」

「はい、どうぞ」


 王弟殿下が席を外している間、俺は騎士の訓練の見物をしながら例の魔道具で写真や動画を撮っていたのだが、



「あの、もし……」


 一人の令嬢から声をかけられた。


「はい、なんでしょう?」


 黒髪の清楚そうな令嬢が立っていた。



「私のと同じ魔道具ですね」



 例のスマホみたいな魔道具を見せてきた。



「あ、はい、そうですね」

「つかぬことをお伺いしますが、この騎士様をご存知ありませんか?」


 令嬢にその魔道具にでかでかと表示されて見せられた画像、それは俺が撮った太ももがセクシーな騎士のものであった。



「そ、その太ももは! いえ、騎士がどうかしましたか?」

「おそらく侯爵家の騎士様なのですが、お会いしたくて」



 令嬢の頬は薔薇色に染まっていた。

 この方、例の掲示板でソルさんを探してる令嬢か!?


 こ、ここであっさり全てバラすとドラマが足りないのでは!?

 でも全く教えないのも意地悪だ。



「これはおそらくなのですげど、その侯爵家の令嬢は金髪の美人です」

「金髪!! ご存知なんですか!?」

「このヒントで騎士にたどり着けるといいですね、健闘を祈ります」


「ありがとうございます! 我が国に侯爵家は17家門あり、金髪の令嬢がいるのは……10家門まで絞られました!」



 おお、まだ10も候補があるのか。



「頑張ってください」

「必ず突き止めてみせますわ!」



 そう言って令嬢は去って行った。

 彼女の背中を見送った後もしばらく見学していたら、アルテちゃんが飽きた、退屈と言い始めた。



「おー、すまんすまん待たせたな、めぼしい騎士がいたならそろそろ帰るか」


 ちょうど王弟殿下が戻って来てくれた。

 

「ええ、アルテちゃんが限界みたいなので移動しましょう」

「それと王から連絡があって、せっかくこちらに来ているなら叙任式は私の城でなく、王城でやれとのことだ」

「!! そ、そうですか、王命なら仕方ないですね」


 王都の貴族達に見られまくるな、これは緊張する。


 帰り際にユージーンにまた必ず叙任式で会おうと握手して、俺達は別れた。


 騎士見習いの寮はコロシアムのすぐ近くにあったので、ユージーンは当分あそこで生活するのだろう……。


 王弟殿下の別邸に向かう馬車の中からも、しばらく俺はコロシアムの方向を眺めていた。


 ◆◆◆


 そして後日、王都で叙爵式をすることになったので例の令嬢達からの治療師の衣装は王都で受け取る事になった。


 すぐに渡そうかとも思ったらしいのだが、やはり刺繍をもう少し追加したいとかで俺の領地の現地視察もあったし、実は受け渡しが先延ばしになっていたのだ。


 王都にある王弟殿下の別邸にその衣装を携えて令嬢達が現れた。


 ちょうど社交の為に皆、王都のタウンハウスにいたらしい。



「ありがとうございます、これで叙爵式に出られます」



 俺は治療師の衣装一式を恭しく受け取った。



「「喜んでいただけて何よりですわ!」」


 レベッカ様とエマ様が仲良く声を揃えた。



「ユージーンが正式に騎士になるまで剣と盾などはお預け状態になりますの?」

「そうなりますが、叙爵式には騎士見習いとして顔を出してくれるらしいので」


「そうなのですね」

「あ、そうだ、ニコレット様のところのソル卿に会いたがっていた令嬢が騎士の訓練所にいましたよ」

「え?」


「ちょうど例の魔道具でコロシアムの観客席から騎士を撮影していたら声をかけられたんです」

「まあ、すごい偶然ですわね」

「彼女には全部教えるとあれなのでヒントだけ与えておきました」


「ヒントとは?」

「そのその侯爵家の令嬢は金髪の美人ですと」

「まあ、美人だなんて! ネオ様ったら!」



 そう言いつつも、嬉しさを隠しきれない様子のニコレット様は満面の笑顔だった。


 そして令嬢達が揃っていて、米と味噌料理を振る舞うタイミングが来たので、メニューは白飯と豚肉の味噌漬けと味噌汁にしてみた。


 令嬢達も白米は優しい甘さがあると美味しそうに食べて下さったし、


「ほう、このミィソの濃厚なソースもよく肉と絡んで美味しいな」

「豚肉の味噌漬けは半日以上漬け込むと更に美味しくなったんですが……今回はそこまで時間がなく」


 今回の漬け込みは2時間だった。


「ネオ様、このお肉、十分柔らかくて美味しいですわ!!」


 ニコレット様、ありがとうございます。


「ええこのお肉で白いおコメが最高に進みますの!」


 王弟殿下とエマ様は白米のおかわりが欲しそうだな。


「この濃厚なミィソソース最高ですし、汁物も美味しくて健康になりそうな味ですわ!」



 レベッカ様にも褒めていただいた。

 俺の叙任式は二ヶ月後に行なわれる。


 貴族令嬢達は食事の後に新しいドレスの用意で大忙しになるとか言って帰って行った。


 そして王弟殿下は一旦先に辺境伯領に帰って仕事をするらしいし、次にこの別邸に来る時は例の店から紋章つきリボンも受け取ってエイダさんを連れて来てくれるとのことだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ