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婚約破棄と追放をセットでくらった件 〜神スキルで逆転人生〜  作者:


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不思議な鏡

 俺達は用意されていた天幕で寝ることにした。


 天幕は当然貴族と平民で分かれていたのだが、前世の両親は急に増えたメンツなので、平民魔法使いのコニーの天幕に入れてもらった。


 言葉は通じないかもしれないけど、寝るだけならなんとかなるだろう。


 そして俺は寝る前、異世界の言葉が通じない両親の為に簡単な日常会話をノートに書いた。

 この言葉はこう発音しますみたいな説明を日本で書いたのだ。


 おはようございます。ありがとうございます。申し訳ありません。分かりません。お腹がすきました。美味しいです。口に合いません。苦手です。体調不良です。問題ありません。寒いです。困っています。 


 とか、とにかく日常で使いそうな言葉を。


 ついでに何かあればこのノートをちぎって書いて俺に渡してくれてもいいとノートに書き記し、布団の中で就寝した。


 ◆ ◆ ◆


 洞窟内は暗いが、時間的には朝になってから俺は起きた。起床である。


『おはようございます。このノートに簡単な日常会話をメモしておいたので、よければどうぞ、他になにか伝えたいことがあれば、この紙を利用してください』


『おはようございます! ご親切にありがとうございます』


 父がノートを受け取ってくれた。


『あの、私はやはり息子に会いたいのですが、元の世界に戻る方法は、どなたに聞けばわかりますか?』


 多分帰れないし、よしんば帰れたところで、もう死んでるよお母さん……。



『それは……俺にも分かりませんが、念の為、外に出られた時にでも調べてみます。

 ひとまず今は戦争が始まったので、我々は隠れていますし、あなた方も終わるまでは出られません』


『せ、戦争ですか!?』


 ぎょっとする父母の顔色がみるみる悪くなっていく。


『はい……残念ながら』


 その時に、ふわりと現れたミゲール。


『クラゲ!?』

『クラゲが浮かんでるぞ!』


 ミゲールを見て驚く両親。

 得体のしれないクラゲが出てきて母は父にしがみついた。



「あ、ミゲール、ちょうどいいところに。 質問なんだが、異世界から迷い混んだ人は、どうやったら元の世界に戻れるか知ってるかな?」


『残念ながら一方通行で戻れないよー』

「やはりか………そんな気はした……」


 俺は残酷ではあるが、二人に真実を伝えることにした。

 必死で帰る努力して、徒労になるのも気の毒だ。



『このクラゲは俺の使い魔のようなものです。残念ながら一方通行で元の世界には戻れないそうです、人ではない神聖な存在がそう言うので、多分本当でしょう、嘘をつくメリットがない』


『……っ!!』

『おい、サナエ、しっかりしろ!』


 ショックをうけて、ガクリと字面に膝をつく母。

 洞窟の中は……今日も冷え冷えとしているのに……。



『天幕の中の方が温かいので、戻って休むといいですよ、後で温かいスープなど届けます』

『あ、ありがとうございます……』


 父は母を支えながら天幕に戻って行った。


「朝ごはんなにー?」

 アルテちゃんが起きてた。


「スープと、あとなんにしようかな」

「バナナー」

「なるほど、落ち込んでる時は甘いものがいいかもな、デザートはバナナにしよう」


「クラゲはなんで出てるのー?」

『あ、ネオに渡すものがあったんだよー』

「俺に?」

『この鏡で、前線とかネオの領地の様子が見れるよ』


 装飾の綺麗な四角い鏡が出てきた。

 フォトスタンドみたいに台の上に飾れる形態ている。


「めちゃくちゃ助かる!」


『他にも暇つぶしに娯楽アニメとかも自動翻訳で見れるんだー』


「自動翻訳?」 


『言語がちがっても、脳内ではその人の知る言語で再生されるよー』

「めちゃくちゃ便利!」

『しばらくの間だけ貸しておくねー』


 くれる訳ではないようだが、助かる!!



「早速領地の様子を見ても?」

『鏡の縁に触って、ソーテーリアって言うか、ツェーザルロ前線って言うんだよー。

あ、敵はツェーザルロ軍が衝突してないと見えないからねー』


 なるほど……。


 俺は天幕に戻り、テーブルの上に鏡の縁に触れ、

「ソーテーリア」と、呟いた。


 砦や村の皆はあわただしく動いていたが、まだ攻撃の手は届いてないようだった。

 ほっとしたところで、


「バナナとスープは?」


 アルテちゃんが天幕に覗きに来た。


「いかん! 忘れてた!」

「もーーっ」

「ごめん、ごめん」



 俺は急いで、スープとパンとハムとチーズとレタスの用意をして、ついでにデザートとしてバナナをつけた。


 そしてアルテちゃんには両親へ食事を届けてもらい、エイダには令嬢達の食事を運んで貰った。


 俺はユージーンを天幕に呼び、食事を急いで終わらせ、前線の様子を見ることにした。





















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― 新着の感想 ―
ご両親に対して、今後どう対応するんですかね。正体を明かして安心させるのもありかもしれませんね。全ては凪様の腕(筆)次第ですかな(ワクワク♡)
まぁ見れないと不安だろうけど精神が正常な日本人なら見ない方が気分的に良いかも? 下手すると知り合いが知り合いを〇すケースもあるだろうから……… (実家連中はスカッとだから除く)
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