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8話

マイクラスの席へ着くと椅子に何かがおいてあった。


コレなんだろう……と考えていると後ろから声を掛けられた。


「おはよう遠江さん」


振り向くと南沢さんは何時も変わらずの笑顔が眩しい女子だった。


「…………お、うっ……はよう」


眩しい圧に気圧されるがまま、ささ、どうぞどうぞと席へ座るように誘導される私。


しかもちょっと腰辺りからおしりを触られている気がする。

…………きがするよ?


そこで思い出した。

私の席にはもれなく何かが置いてある。


多分…………クッション?


いやぁと思いながらも、ずずいずずいと押されて座る私。

押しには弱いのかもしんない。


柔らかな何かに包まれてってクッションか。

うんふかふかだよ。

しかも暖かい。


そのまま当たり障りのない様な日常会話を南沢さんとして授業が始まる。


今日はすきぴの鬼山田くんと良く目が合う気がする。

……この思い、そろそろ通じたか? ふふふふ。


授業はクッションのお陰か何時もより気持ちよく受けられた。

クッション効果、恐るべし。


ちょっとした用事で席を立ちクラスを離れた。

……トイレだよ。


最近は良く一緒にと言ってくる南沢さんは行かないらしい。

まあいいか。


戻って来るとクッションは無くなっていたから聞きにくかったけれども聞いたらご協力ありがとーと言われたちょろいわたし。


わたしのおしりが奪われたと気がつくのはだいぶ先のお話だよ。


南沢さんのお家に遊びに行った時に気がついたんだ。

手遅れ過ぎた。


まさか型を取られていたなんて。

この同級生、恐ろしい子。


ボクわるいおしりじゃないよ。ふるふる。


しかし何かに抵触してるよ。

ダメ絶対。




その後も授業は続くが何時もよりソワソワしている南沢さんは何処か上の空だった。


時折ああでもないこうでもないと、独りごとも言っている。

何か楽しそうだ。


良い事でも有ったのかな。

うふふ。

あ、枝毛が……。



お家に帰ると今日は豪華な夕ご飯だった。

私が好きなお料理も一杯食卓に並べられていた。

いただきます。


「今日は豪勢だね、おかあさん」

「うん、今日はお金が一杯入っててね。たまには良いでしょって感じで豪勢にしたよ。ごちそうさま」


へぇー臨時収入があったんだ。

どれも美味しそうだなぁー。


うまうま。

サーモンうまい。

ネギトロ美味し。


「最近は学校の方はどうなの?」

「え……うん。友達? ができたよ?」


「……何その疑問符。もっと自信を持ちなさいって」


「うーん。微妙な感じなのだよう、だけど最近はぼっちでは無いよう」


「そう、良かったわね」


「SNSは上手く行っているみたいね。ごちそうさま」

「うん? うん。登録者数が順調に増えているよ。何故か」



「本業は学生だから程々でも良いけど。取りあえずは何が有っても続けなさい。それが糧となるわ」


経験にはなるね。

一足お先の社会経験。


ネットの世界はまた少し違うのかも知れないけどね。


「でもおかーさんが見てたら恥ずかしいから絶対に見ないでね」

「……見ないわよ、そんなの。……私まで恥ずかしくなりそうだし」


「絶対だよ?」

「それ、押すなよ的な感じ? さらお?」

「ちーがうからっ。単に恥ずかしいの」


「難しい年頃ね。……今日も美味しかったわね。ごちそうさま」


「これだけ豪勢だと満足度がすっごいね。美味しかった。ごちそうさまでした」


ふー今日のご飯美味しかった。

知らないお仕事をしているおとーさんに感謝。


最近帰ってこないけどね。


でもマーマンは私のSNS見ていないみたい。

良かった。


娘がおしりで数を稼いでいるなんて知ったらまた笑われるし。

一度デコレーションの時に相談したら大笑いされたからなぁ。


知ったのは後々だけど、ご飯が豪勢だったり、お家の家具が良い物になったりと徐々に変化していくのを私は気がついてはいたが、それだけだった。


気にならなかった。

……それ私の儲けだって。


そうか、だからごちそうさまなのか。

まぁ良いけど。


私のお小遣いも月に2千円アップしていた。

良いとしよう。うひひひ。



この時はまだこの先の行方を知らなかった。

後に家はおしり御殿となってしまう事を。


……いやいやないない。

嘘だからねっ。

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