76話
近くにある大きめの木に印を付けて、あ、オークのみみ、みみ。
忘れないようにしないとね。
先ずは2体。
疲れもダメージも無いので次に進もう。
うーん。次はあっちの方かな。
カンのような感覚で次に進む方向を決める私は結構な感覚派。
こっちーこっちーそっちーと結構適当……いやいやそんなことないんだよう。
遊び心を入れて進んでみた。
ん……気配を感じソロリと動く。
あれは…………メテムルと……オークだ。
…………5体かな。
どうする?
…………いや、行こう。
敵パーティ? 内訳はメテムル3体にオーク2体。
先ずはメテムルが先。
オークは相手にしないでメテムルを倒せたらオーク。
基本そんな感じが良いだろうね。
メテムルの方がオークよりも早いからその方が戦い易いと思う。
……仮に逃げる奴がいたら無視しよう。
あとは…………念のため声が五月蠅い奴は早めかな。
増援とか洒落になんないし。
おっけ。
お一人作戦会議終了。
「みんな、行くよ!」
『次は5体もいるね』『あれは……何の敵?』『5体はソロだとリスクあるね』
『あれはメテムルという素早さと大きめの爪がメイン武器の敵だね』
『オークは動きそこまで早くなかったから早いのと遅いのかぁ』『さらっちがんばえー』
『木を揺らして落ちた物、何か食べているね』
『木の実か何かかな』『お食事中に突撃だー』『今デス!』
草むらから飛び出て一歩、大きくジャンプするように走った。
1体目の狙いは後ろを向いているメテムル。
瞬時に背後を取る私。
短剣を首元に沿わせ軽く引いた。
……次、私の方に振り向いてきているメテムル。
私を認識したと同時にメイン武器の木刀で強く胴を薙いだ。
確認はしていないがこれで2体目。
3体目がいる方向へ目を向けるとメテムルは私を敵と認識したのか大きな爪を振るい斜めに跳ねてくる。
距離は2メートル程。
右、左と跳ねるメテムル。
私も同じく逆に跳ねて間合いに入ると同時に木刀を振るったが、大きな爪によって止められた。
反対側の手からもかぎ爪が私を襲う。
顔を狙って動かされたかぎ爪を簡単に躱し
反撃とばかりに木刀で正面から思い切り突いた。
木刀はメテムルのお腹辺りを貫く。
直ぐさま抜いて次に備えた。
残り2体のオークのみ。
その光景を見ていたオークは私の動きを認識して2体が同時に襲ってくる。
何か、凄く迫力のあるオークCとDによる突進。
私は素早い動きで左に躱すけど早すぎてホーミングしてくるオークCとD。
……もう少し引きつけないといみないね。
後2メートル。
この距離が一番次の行動を起こしやすい気がした。
きっと私の今の間合いなんだ。
大っきめの2歩で到着する距離。
頑張れば一歩で剣の間合いにも入って次の行動を全て選べる最終の距離。
研ぎ澄ませ心。身体の脈打つ感覚を。
間合い、スピード、力。視力、聴力、嗅覚。五感に似た何かを感じる。
それが私の原動力となる感覚。
裏付けされる自信。
結構こんな感じとかこの辺とか感覚に頼っている気はする。
少し怖いけどその感覚を養うとか研ぎ澄ますとかで良いのかしら。多分、それが実践的経験。
右に左にと動き、スピードでオークを錯乱させる事に成功した。
オークCとDは両者ぶつかってオークCは尻餅を付いている。
今がチャンスだ。
私は狼狽えているオークDの懐に低空から入り込みアキレス腱付近をナイフで刻む。
バランスを崩したオークの後ろへと回り込み木刀で首を刎ねる。
もう1体のオークCのいた方を見ると先程尻餅を付いていたオークCはいなかった。
いや、オークは私の背後にいる。
勢い良く前へと飛び込み転がるようにジャンプ。身体を捻り視界を得る。
私のスピードには付いて来られていないオークC。
しかし何か雰囲気のあるオークCと正面から対峙する。
『俺には理解、あれは……歴戦のオーク』『いや、多くのオークの中のおおく』
『いやいや、大奥の中のオークでは?』
『おまえらもっと大喜利がんばれよ。さらっちに赤点付けられるぞ?』
『さらっちに放課後教室の真ん中で補習を受けたい』
『wwww』『良いネ、俺はごっこ遊びしたい』
『来世では可愛い子と幼なじみに……』『←可愛いオークを添えておくぜ!』『そんな酷いw』
『いやいやそれもアリw』『かわいい幼なじみなんて都市伝説』
先に動いたのはオークCだった。
距離は2メートル程。私は中腰で半分座っているぐらいの姿勢。
自ら飛び込んでのこの姿勢なら勝負したがこの状態は相手に先手を取られている感じがした。




