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60話

という事で早速簡単な用意をして狩り場へと到着した。



街から北へ少し進んだ森の中。

そこに良くオークやメテムルが現れるらしい。


この森自体がオークの生息地で有名みたい。


森も結構広く反対側へ抜けようと思ったら半日は掛かるらしく

しかも森の中だと方向感覚が狂う様で何も考えずに進んでいると痛い目を見るという話しを魔法使いのジルさんは教えてくれた。



私はこんなに遠出をするのは初めてで、今までは街が見える辺りまでと決めていたので不安しか無い。


しかも森の中。

早速街の方向が解らない私。


一人だったら迷子になって、白骨化してスケルトンとして生きるまでの人生がいま少し見えてしまった。


カタカタカタ。

ロック過ぎるよ。



「…………いるわね」


先頭のサマーさんはしゃがんで手のひらを広げた後に後衛の私たちへ合図をくれた。


索敵した敵の数は五体ほど。

左右に指を振っていたので恐らく前の両サイド付近にいるのだろうか?


しゃがんでいるサマーさんの所まで皆が合流しジルさんの魔法によって戦闘開始、突撃すると決まった。


サマーさんとエクスパンドさんが突撃するので後ろから付いてきてと、そして私たちの武器の間合いには入らないようにねと話があった。


無言で頷く足手纏いでおためしの私。

邪魔にならないように心がける。


茂みの先には確かにオークが数体見えた。


隣には杖を構え小声で呪文か何かを詠唱するジルさん。詠唱後に杖を向けると杖から火の玉がぽわっと浮かび敵オークの集団へ。


真っ赤な火の玉はその内の一体に衝突。


何とも言えない奇声を上げつつ火の玉を食らったオークは暴れ回っている。


その瞬間に隠れている茂みからサマーさんとエクスパンドさんは飛び出し魔法を受けているオーク以外に攻撃を仕掛けている。


私もそれに続き後ろから剣を構えて進んだ。



ジルさんの魔法を受けたオークは動きがゆっくりになりその後膝を付き倒れた。


そんな動きに気が付いた別のオークも此方へと「ブヒ! ブヒヒ!!」と話しながら私たちの方へとやって来る。


私より全然強いサマーさんとエクスパンドさんはもう対峙したオークを倒し終わっている。


残るは二体。

の所再び火の玉が敵オークを襲い無事なオークは最後の一体。

そこで私に声が掛かった「さらおちゃん、出番よ」





どちらかと言うと荷物持ち兼索敵兼ワンクッション的な盾とかおとりかと思っていた私にサマーさんはそう話した。


そんな保護者に頷くと私は震える足を叩き剣を構えて駆けた。



私の持っている剣は始めの街フルーツラテランで購入した頑丈な銅の剣。


装備は未だに町娘一式のみ。

しかもまだこちらに来てから1体も満足に倒せていない私。




……昔テレビで深夜やっていたヤクザ映画。

そのチンピラがドスと言われる包丁の様な武器を斜めに構えて身体ごと進むのを習って私も頑丈な銅の剣を斜に構え「うおおおおお」


雄叫びみたいな奇声を上げながら突き進んだ12歳のさらお。


まるでスローモーション。

俯瞰で見えるオークへと直線的に進む私の華奢な身体。



周りの仲間が全滅してしまっているオークはまだ戸惑っていて私の突進からの包丁、いや、頑丈な銅の剣をスルリと受け入れた。



手に感触がした。



手で何かを触ると手触り。

手で何かを触ると肌触り。

剣で何かを突き刺すと何触りだろう?

……とか頭に浮かびながらも私の剣は柄近くまでオークの身体。

おっきいお腹へと刺さる。


私の倍近くある大きな巨体のオーク。

その口からは唾液が一杯ブシャーと射出される。


それは私の顔に満遍なく掛かりベトベト。

一瞬だけ間が開いたのに気が付き剣を少し斜めに引き抜いた。


目の前で両膝を突くオーク。顔は目の前。


怒っているのか泣いているのか解らない不思議な顔をしている。

一呼吸吸ってオークの後ろへと回り一閃。気合いで首を落とした。



…………この戦いが私の初勝利。

転移してから自力でモンスターをまともに倒せた初めての戦いだった。

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