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58話

今日も簡単なクエストのさらお。


街の中での言わばおつかいクエストを幾つか行い、なんとか1日寝泊まり出来るお金を手に入れた。


私はまだゲームと現実の狭間に揺蕩っている気がする。

でも疲れるしおなかも空いた。眠気もある気がする。


これが今の現実。

私は間違いなくゲーム『トミエクマ』の中にいる。

そしてログアウトボタンは存在しない。

家族も仲間もいない「この世界でひとりぼっちだ」


言葉にしたら現実味が沸いて。

少しだけ心細くなって震えた。




……恐らく五次郎はこの世界にいる。


でも今の私は一人だ。

周りにあるあたりまえ。

この世界の常識も知らない私は地に足が着いていないのと同じ。

ふわふわなら良かったんだけどね、あわわわとかかしら。


誰が信じられて誰が敵なのか。

家でゲームをする様に上手く事が運ぶのだろうか?



でも自分の感覚で決めて生きていくしか無い。この世界で。

死んだら死んでしまう世界。それは同じだけどこの世界では敵やモンスターと戦う事が前提にあるよね。

だけど命を賭けて得ていくしか無いんだ。


死んだらどうなるかなんて試す程に私は強くないしまだそこまで酔狂にはなれない。

ゲームの時はレベル10以下は大したペナルティー無しで生き返られた。


……今はレベル14。


試す気にはなれない。

唯、一つだけ解る。

恐らく時間の制限があるはず。

余り、ゆっくりもしていられないだろう。


明日から、少し無理をしてみよう。

頑張れば良いのだ。

死なない程度に。

自分の感覚を信じて。




私が…………私が頑張らないと五次郎は戻ってこないかも知れないんだ。


ただ、色々と考えていたら腰が引けた。

昨日までの私と今の私。

同じ様で全然全く違うんだ。

精神が徐々にすり減る気がしてしまった。



あははは。





……此処は簡易宿泊所で2000クアレット。

なんとか個室で食事付き。

間取りを見たが洗面台すら無い。

おトイレは外にある。


この世界は水道って無いみたいで水のことを聞いたら、簡易魔石というものが置いてあって、それを使うと水が出るんだって。


試しに使ってみたら本当に水が出た。

便利なのか不便なのかわからんよう。


お湯は水に比べると割高らしい。

少しお金が掛かる。

明日の目標はお風呂に入る事。


お、いいね。うん。そうだった。前向きに行こう。

飴があればわたしは頑張れるんだよ。


次の日から冒険者ギルドでモンスター退治のクエストを幾つか一人で行ったが毎回微妙な結果になった。


何故って?

敵モンスターを目の前にして身体が動かないんだよう。


コレは現実って考えたら足が竦んだ。

身体が固まった。

剣を構えた腕が動かなかった。


しかし、逃げ足だけは速くて動いた。


結局敵は倒せない。

もうゲームでは無かった。命を賭した戦いだった。



結果お風呂には入れない。

ご飯はパンの耳みたいな食べ物もぐもぐ。


貧乏を素晴らしく謳歌していた。

……ゲームだよねコレ?


訳が分からなかったんだ。



そんな日が2週間ほど続き一人でクエストを行う事に限界を感じていた。


レベルは15冒険者ランクはまだ上がらない。Fのまま。

身体が重い。


仕方なしにおつかいのクエストをするが先の戦いのことなどを考えてしまい失敗する。


引きずってるのかしら。

心も重い。


何処からか私を舐める様な視線を感じるのは気のせいであって欲しい。


ここ毎日歩くとき地面ばっかり見ている気がする。

心が落ち込んでいる。沈んでいるんだ。

上、見られないよお。


今の私と同類っぽい人も冒険者ギルドの片隅に数人見られた。

あーあの人達もそうっぽいなぁと類友の様な感覚で理解した。


しかし誰かに見られている。多分。

視線がとてもエッチなんだよう。


どうにもならない日々の暮らし。

もう全て見失っていた。


今日も宿泊所に泊まれるかしら、お金が足りないかも。

身の危険に繋がってしまう。いくないいくない。



いや実は私。

要領がとっても悪い子だったみたい。


何かちょっとした事を忘れるんだ。

慌てんぼうのさらお。


意識が先へ先へと向かわせるんだよう。

指先の数センチが遠いんだ、見上げる月ぐらいに。


もう最近はドナドナを口ずさんでいる。

そろそろ出荷されてしまうかもしんない。ぶひぶひ。


「はぁー。パーティ組みたいぶー」


冒険者ギルドでモンスターを退治する系のクエストを鼻に人差し指を当てつつぶたさんの気持ちで見ていたら、言葉が勝手に口から出ていた。


…………そんな時だった。


「ねぇねぇ。私たちと一緒にクエストしない?」

「……………………ぶひ?」

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