55話
お昼ご飯を食べ終わりゆっくりとしていると鐘が鳴った。
午後の授業も終了し、放課後になり少し待ってみる。
人がだいぶ減った頃に綾姫は僕の前へ来た。
「いこっか、五次郎くん」
「ああ」
綾姫は何処にしようかと話しながら歩き出す。
屋上は閉まっているからその手前の辺りとか行ってみようか。
と話してから別の話題を持ちかけてきた。
「どうだった? 授業とか、くらすのみんなは?」
「…………いや、どうと言われてもね」
「――――――そっかー。まあ初日だからね。うんうん。明日も来てよね」
「あー。…………ああ」
彼女の質問に何とも言えない答えしか返せない。
僕は学校なんてどうでも良いんだよ。
屋上に出る手前の場所、丁度良いスペースが空いていてご丁寧に椅子まで幾つか置いてあった。
綾姫は……ん、やっぱり閉まってるねと屋上の入り口のドアを廻している。
「お話しようよ――――此処なら邪魔は入らないでしょ?」
「…………いや、ちょっと待ってて」
俺は知っている。
…………奴の気配は無いが確実に付いてきている事を。
――――階段を勢い良く駆け下りると姉が瞬間、隠れようとしている。
「わ――――わっ…………」
「……さらお。帰って…………」
「っ、ごじがいないと帰れない――――よう」
「……………………はぁー。解った。校門辺りで待っててよ。30分以内に行くから」
「――――わかった。それで手を打つ打つんだよお」
姉を背に階段を上る。
まだ待っていたり付いてくる可能性もあったが、あえて姉を信じて振り向かずに綾姫の所まで戻った。
「……お待たせ」
「――うん。用事、済んだの?」
「ああ、ちょっと身内がね……」
「そう。あ、お姉さんね。……偶に声、聞こえてきたものね」
「…………それで。何故キミは……いや、うん。どう考えてもおかしい所が一杯あるんだけど、僕の……疑問に答えてくれるのかい」
「…………うん。あー。答えられる範囲ならね。大体の事は答えられると思うケド……」
彼女…………綾姫はそう言った。
ちょっと整理してみよう。
「ごめん、3分ほど時間をくれないか? 少し、整理するから……」
「うん。良いよ」
綾姫は携帯をいじり始めた。
…………まず、何故僕がこの高校に在籍しているのを知っているのか…………あれ?
同じクラスだから?
あのゲームの事。
僕が設定したキャラが君なんだけど…………い、言えない。
そんな恥ずかしいことは……でもそれも含めて知っているのか?
でも、綾姫があのゲームにどういう風に関わっているのかを聞けば良いのか。
後は、今度でも良いか…………。
「ごめん。上手く纏まらなかったんだけど、綾姫。キミはあのゲームにどういう風に関わったの?」
「関わる……ああ、ええとね。始めにメールが来てね、君の理想の男の子と話すゲームをしませんか? って感じだったかな?」
「………………それで?」
「うん。何か……何か気になって登録してみたんだ。ほにゃららーっていう通貨も登録すればくれるって話でね。でね、でね……君が、五次郎くんが画面越しにいたんだ」
「……………………ええと。あれ…………僕の名前は――――――――」
「……ああそれはね、画面のあ、PCのコンソール……ゲーム画面の上端に名前が載っているよ」
「そ――――そんな、え? ううん……」
「始めは気が付かなかったんだけどね、何処かで見たことあるような名前だなぁーぐらいだったんだ。で、でもね……クラスの友達の友梨が、一度も学校に来ていない君の話をしたの。あの席の子未だに来ていないねって感じで。それで、あ…………って気が付いたんだ。すっごく凄くない?」
「……………………」
か、彼女、綾姫の言っている事は筋は通っている……気がする。
あれ…………あれれれ。
でも、そんな…………そんな偶然あるのか?
「…………そんな偶然」
「五次郎くん…………これは偶然なんかじゃない。運命だよ。っ――――わ……私っとっ……つ……付き合ってくれないかな? 五次郎くん」
「――――――――えっ……」
……………………。
何かの冗談とか? テッテレー的な? 運命? 偶然じゃない?
あれれ、そんなコトってあるのか? ……僕が、ぼくが好きな容姿で…………可愛くて……素直で……こんな人間存在する事自体と、出会えた……奇跡。
……………………っそれが、運命? 決められていた? どうでも良いか? そんな所気にする必要が無いぐらいに…………。
僕は……彼女が――――――――好きだ。
「…………い、良いの? 僕なんかと…………」
「……………………君が良いんだよ。五次郎くん」
人生って………………。
たまには良い事も、あるんだな――――――――
――そう、その時考えていた。
……しかしその3ヶ月後――――――――彼女は死んだ。
僕のせいで…………。
でもそんな時このフレーズが頭に浮かんだ。
偶然は誰かが仕組んだ必然であり、運命は現実と奇跡が織りなす悪戯である。




