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54話

朝、学校に向かおうとすると姉のさらおが付いてきた。


「…………何?」

「……いやー何でもデモでも何でも無いよう――――ちぇけら」


「さらお…………外では特にその変なラップ止めてよね」

「…………解ったよう。解ってないケド考慮するようよう」


姉と学校が同じなのは最悪だった。

休み毎に来られても困る。


「……教室にまでは来ないでよ?」

「クラスにまでは行くんだよう……」

「……姉ちゃん、お願いだから…………」

「……………………むー。解った」



仕方なく姉と学校へ行く。

電車やバスといった交通機関を使うのも久々で人も多くほんと嫌になる。


人間は多すぎるんだ。

密集も狭いのも嫌いなんだよ。



…………しかし。

――――目的は彼女。綾姫。そして、真実。

あのゲームと綾姫の関係。



学校に辿り着いた。受験はしたけど一度も通っていない学校だ。

…………確か……教室は『1-G』だったか?


「……五次郎。クラスはあっちで1-Gだよ」

「ん。さらお……ありがとう」

「おういえ…………コホン。……行って来いごじ」


姉のさらおと別れ教室へと足を運ぶ……とそこで気が付いた。

職員室が先か……。担任は鯉ヶ岳先生。


カンで職員室を探し担任の席を他の職員に聞く。

教えてくれた席に先生はいた。

深呼吸をして挨拶をした。

先生は喜んで迎えてくれた。


そして一緒に教室へ行くか? と声を掛けてくれたが断り、教室の席だけ教えて貰った。


残念ながら解りやすい場所では無かったが、何となくで教室へ向かう事にした。


少し上を見ながら歩き教室を探す。

1-Eがあったのでこの先だ。


入り口へ着き瞬間戸惑いそうになるが自分を押し出して一歩進ませた。


教室に入るとそんなにまだ人はいなかったが、目的の人物と目が合った。


彼女は僕を見ると小走りに近づいてきた。


「――――おはよう。五次郎くん、初めましてじゃ無いケド初めまして」


「……は、初めまして。綾姫……………………」




彼女は実在した。




彼女、綾姫はそのままの彼女だった。

僕は何か話さなきゃと考えたが纏まらず言葉が出ない。

見つめていると先に彼女は話しかけてくる。


「えっとね。ずっと会いたかったんだ」


彼女、綾姫は僕を見て満面過ぎる笑顔でそう話す。

それは僕の台詞だよ。



彼女に会ったとき一番に言いたい事だった。




しかし僕は異質だった。


彼女、綾姫と此処で話をしている僕は周囲から誰だよという奇異、稀有な目で見られている。


学校が終わったら、放課後にでも話をしたいと彼女に伝え、担任の先生から聞いていた席に着くと綾姫が僕の所に来て「1個後ろだよと」教えてくれた。


彼女の目を見て「ありがとう」と話すと彼女はニコッと笑ってうん。と答えた。


笑顔がとても眩しい天真爛漫な彼女。

可愛すぎる。



人が教室に集まりだした頃、担任の先生が教室に来て僕をみんなに紹介した。


僕は恥ずかしかったけれどもその場で椅子から立ち上がり「よろしく」と一言だけ話した。



その後、授業が始まるまで、所々で僕の方を見て話しをしている様な。言わばクラスで浮いた存在だった。


そんな所にいる自分。

何故此処に居るんだっけ? と考えるが、僕には目的があると割り切りそんな雰囲気の場所にいる事、自体も耐え忍んだ。


しかし授業の合間に綾姫が此方を向いて笑顔で小さく手を振ってくれている。


僕は色々な感情が重なり顔を下げた。

その他には幸いにも僕に話しかけてくる人はいなかった。

僕も話しかけんなオーラを出してはいたんだが。


そんな感じで1時間、1時間と授業が進み、お昼になった。

持ってきたお弁当をその場で食べる人や一括りに固まってグループで食べる人などが見えた。


僕はお昼ご飯の事なんて頭に無かった為、何も持ってきていない。……多分、何処かに売店とかある筈だが地理も詳しくない。


んー、どうするか……と途方に暮れている時。

綾姫が僕の前に来て「一緒に……ご飯食べない?」と話しかけてきた。


半分どうかな? と話しかけてくれる彼女に僕は恥ずかしかったので大丈夫だからと何度か答えた。


彼女も少し悩んでいそうだったが「解った。じゃあ放課後に……ね」と僕に話し自分の席の方へ戻っていく。



彼女はクラスメイト数人と一緒に食べるみたいだ。

周囲のクラスメイトが僕の方をチラ見しているのは気付かない振りをしてやり過ごした。



しかし、気付かないふりを出来ない存在がもう一人いた。

そう、奴だ。


奴は遠目で、教室の前の入り口辺りから僕を、身体半分隠れる様にして見ている。


僕が目を合わせようとするとドアに隠れてしまう。




しかし尻だけが隠れていない。

姉はそういう女だった。

きっとラップを口ずさんでいるだろう。



ええい尻を振るな尻を。



姉の存在は教室内で目立っていてザワザワしだした。

上級生である姉の上履きは色が違う。

ネクタイの色も同じ赤色なんだが、淡い色の赤と見て直ぐに解るぐらいの違いがあった。


僕は堪らず姉の近くまで行き一言「帰れ」と言った。


姉は「……解ったよう」と言って僕に紙袋を渡し、しゅたたたと逃げるように去って行った。


クラスのほぼ全員に見られた。

もう色々と厳しい。


……中身を見ると銀紙が見えた。

恐らくおにぎりか何かだろうか。


今現在の唯一の居場所である席に着き袋から出すと、不格好、不細工なおにぎりらしきものが二個と飲み物のお茶が一本出てきた。


姉の事だから恐らく…………カニの気持ちになって握ってみたとか言いそうだ。



多分両手の二本指で握っただろコレ……。



…………腹に入れば一緒か。

折角だから食べていると具がお菓子にある柿の種だった。

明日は恐らくお昼以降となります。

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