53話
毎日彼女と話す。
僕は学校へは行かなくなっていた。
そのまま卒業し、入学も決まっていたのだが、一度も学校へは行かなかった。
彼女の生活サイクルは、女子高校生のソレだった。
朝8時以降は繋いでもソコにはいない。
夜は1時にはモニター越しに見えるベッドで寝ていた。
夕方になると部屋に戻ってきてそれから深夜1時迄は僕と話をしている。
ご飯や、お風呂にトイレといった定期的にはモニターの先にいない時間ももう人間の生活サイクル、リズムだった。
僕はゲームと現実の区別が付いていない。
コレはもう現実だ。僕にとって。
彼女とデートをした。
僕が端末を持って外に出かける感じで。一緒に過ごした。
色々な有名デートスポットにも一人。
恥ずかしげも無く出かけた。
画面越しの彼女は喜んでくれた。嬉しかった。
これで良かった。
しかし、そんな彼女は突然こう言った。
「五次郎くん。そろそろ学校へ来ない?」
僕は不意を…………突かれた。
2重、3重の意味で。
その時混乱に混乱を重ねた。
学校…………何で僕が学校に行かなきゃ行けないんだ?
いや、そこじゃない。
彼女が、綾姫が僕の名前を呼んだんだ。
彼女は……そこにいる。
綾姫は、僕の目の前にいるんだ。
存在している。
僕を僕だと認識して話している。
彼女はAIでは無い。
人間だ。中に誰かいるのか? そんな馬鹿な。
彼女はこの世界の何処か……恐らく日本にいる。
しかも、彼女の制服姿を初めて見た。
…………似合っている。
可愛い。綺麗だ。
画面越しでは無い彼女。
肉眼で見たい。見てみたい。
「学校へは…………行かないよ」
「…………そっかぁ。残念だな……五次郎くん目の前で見たかったのになぁ」
――――――――ふぁ?
目 の 前 で 見 た か っ た。
どどどどどういう事だ。
いや、目の前ってめのまえって!
「き、キミに学校へ行けば会えるのか?」
「――――会えるよ? だって――――同じクラスじゃないの、五次郎くんは一度も学校に来ていないケド」
前の前が真っ白になった。
咄嗟にPCの電源を落としていた。
何てことだ。
彼女は…………僕を、知っている。
そして、同じクラス……………………。
ハハハハ…………。
同じクラスだって?
何を馬鹿な。
彼女……綾姫は僕を認識して、僕に付き合っている?
このゲーム…………何なんだ?
でも、彼女が身近に存在している。ホントか?
PCの再起動をして彼女にこう伝えた。
「明日。学校に……キミに会いに行くよ」
部屋から出て、床屋に行った。
大分長く伸びてきていた髪を切りに。
明日の準備をした。真実を知りたい。
「……………………ご……ごじ? まさか……学校に行くの?」
「――――――――うん。明日行ってくる」
「まっ、ままーん――――――――ごごごご、ごっ、ごじが、五次郎が学校に行くってー!」
「おい姉よ……さらお、落ち着け五月蠅い」




