42話
……此処は、ゲームのような現実世界。
意を決してギルドへと入った。
ギルドの中は画面越しに見たフルーツラテランのギルドと変わらない印象だった。
カウンターがあって壁とかに依頼らしき物が貼り付けてある所とか、テーブルで談笑しているパーティなど冒険者ギルドだけあってそれなりの格好をしている人がほとんどだった。
ただ、細部までしっかりと見えるという現状を思うと良く出来ているなぁとゲームに感心した。
ギルド内の椅子に座って周りを見ながら考えてみた。
今は私もゲームの一部。
きっと取り込まれているんだ。何かに。
あのカエル……ロフィさんは言っていた。
転生者と転移者に別れると。
ええと、此処に始めからいる人達。
転生者に転移者って感じかな?
始めからいる人達と転生者の区別がある意味付かない気がする。
この前、この街まで付き合ってくれた人達、レイさんつぐねさんリーアさん。
彼女達は…………始めからいる人達? 原住民? NPC?
うーんと。
転生者と転移者の場合。
そんなに違いは無いと言っていたけど全然違う気がする。
この世界でそれなりの年数生きてきたという事はそれだけの経験を積んでいるんだ。
あっちの世界の経験に加えてね。
あ、でも記憶があるかどうかでも全然違うのかしら……。
まぁ良いや、とりあえず私は多分転移者なんだ。
そして何が出来るんだろう?
アドバンテージとかあるのかな。
そんなことを考えていて気が付いた。
――――す、ステータスウインドウとか、見えると良いんだけど……。
恥ずかしいから小声でステータスウインドウとか思いつくだけの文言を言ってみたけど何も反応しなかった。
周りの人が怪訝そうにこちらを見ている。
今の私は妖しい呪文を唱える変な人です。
そっとしておいてくれると嬉しいな。
あ、そういえば自分の今の姿をしっかりと見ていない。
鏡は……お、洗面台に付いている。見てみよう。
ほぉ。
鏡に映る自分は少しだけ年齢が若返り、更に可愛くなっている…………気がする。
何処がーとかは解らないんだけど細かい所で顔のパーツとかバランスとかが良くなっている…………気がする。
もの凄い変化とかでは無いからまぁ許して貰おう。
きっと私が作ったキャラに引っ張られたんだ。
なりたい自分に少し近づいたんだ。
きっとね。
確かそんな事を誰かが言っていた気がする。
私の格好は村人のソレだね。
腰には頑丈な胴の剣があって荷物袋には薬草が入っていた。
多分これで回復とかするのかしら。ええと、かじるのかな。
擦りつけるのかな。
今俺、自分の常識みたいな物が、試されている――でもそんな自分の非常識にこそ正解はあるのさ。
ようよう。
……誰かに聞かないとね。
壁に貼ってある依頼みたいなものを見てみた。幸いにも言葉は解るみたい。
良かった。書こうとしても文字が頭に浮かんだ。
頭の中のベースは日本語で勝手に翻訳されている感じ?
とりあえずギルドの人に聞いてみようかな。
カウンターの中で手が空いてそうな人に声を掛けてみたら、あそこに木のプレートがあるから若い番号を一つ取って待っていてねと教えてくれた。
多分、番号札みたいなもんかな。一枚取って待っていると、222番の方……いらっしゃいますか?
そう呼ばれた。私の番号だ。
呼んでくれた人の所まで行くと用件を聞かれた。
とりあえずフルーツラテランから先程来てお金が余り無い事と何処かに泊まれる場所は、など一通り答えてくれそうな所を狙って聞いてみた。
「それでしたら簡易宿泊所などもありますよ。……先ず登録書。ギルドカードをそちらの銀盤に当ててください」
言われるがままにフルーツラテランで作ったカードを銀盤に当てた。
「……レベル13。年齢は12歳…………」
ギルドの真面目そうな男性店員さんは私に実家はとか学校はなど聞いてくる。
あ、コレもしかして補導とかされちゃう奴?
少し悩み物語を作る事にした。
「ええと親には一人で生きてこいと言われました。フルーツラテランではねうちゃぎを狩っていたんですけどそろそろ次の街に行こうと思い……」
「…………そうですか。では……あくまでも私個人のおすすめとしては路銀だけでも稼いでソーダベル、サンドプルーン、ウイッチサンドの街でギルド登録を済ませると良いと思います。簡易宿泊所は日に大体1500クアレットで最低限の寝床と簡単な食事が出ますが安心や安全は保証しかねます。なので一旦は実家に戻り日を改めて他の街へ行くとかはどうでしょうか?」
「……なるほど、解りました。じゃあとりあえず私でも出来るお仕事とかありませんか?」
「うーん…………」
「……男性店員さんはきっとやんわりと断る話し方。理由などを探している……そんな印象を私は受けた。多分格闘しているに違いない。断って他で変な事になって事件になる。そんな引き金を自分が引きたくない――――」
声のした方を見ると今の所、私の数少ない知り合いがいた。




