41話
「…………」
真っ暗に…………そして私の視界は物理的に遮られた。
ペシャっとした感じか…………いや、ベシャっとか、ヌルッとかを足して丁度良く割ったような気持ちが悪い感触を肌で……顔で感じて飛び起きた。
あれ、私、寝てたっけ?
完全に遮られている私の視界。
ヌメッとした肌触りの物が私の顔にくっついていると思う。
此処まで来てもう咄嗟とかでは無いけれど不快感と共に顔に手を伸ばしソレを引っぺがす。
良かった。幸いにもソレは私の顔を離れてくれた。
顔まで取れたらスプラッタ。ようよう。
手にした物を見るとそれは、そのフォルムは見るからにカエルだった。
白いお腹を見せながらゲコゲコ言って私の手の中でじたばたと暴れている。
カエルを放って顔をシャツの裾で拭った。
でもこのカエル…………何処かで。
『ようこそトミエクマへ……ふぅー』
「……………………」
『ワタシはこのゲームのサポーターでロフィ。また会ったねゲコッ』
「…………はぁ」
『こうして君に会うのは3回目だね』
「…………2回目では?」
『あ、そっか……2回目だったゲコ』
周囲を見るが良く分からない場所に私はいるみたい。
此処は何処だろう?
家にいて……ええと、ゲームを終わらせようと思って、ログアウトボタンが見つからなかったんだっけ?
『でもいきなりシャットダウンは危険ゲコッ。思わず人生終わる可能性もあったゲコよ?』
……人生終わる可能性。
そんなのに可能性という言葉を使わないで。
そんなの秘められても困るよう。
「あなたは…………誰かは聞いたか。ええと、何か御用ですか?」
『用事は無いけど注意しにきただけだよ。注意一秒なんとかだよ。まぁでも無事にこちらに来られて良かったよ』
「…………此処はどこですか?」
『いやいや、ここはキミの知っているトミエクマの世界。そのとある場所さ』
「…………ゲームの中?」
まさかぁー。
と思いベタにほっぺをつねろうとしたけどキャラじゃ無いしあざと……恥ずかしいので腕にしておいた。
うん、痛みはある。
ここは私の中では現実だよ。
……でもトミエクマの世界? んん? どういうこと?
「もう少し解るように教えて、ロフィさん」
『…………そうだね。まずキミの場合の話しだけど、キミは一応は転移者だよ、分類はね』
「転移者? 分類?」
『そう。此処に来る人は幾つかというか、転生者と転移者、大まかにはその2種に分類されていて、まぁそんなに変わりは無いんだけどそうなっているんだ』
「それで私は転移者だと?」
『そうなるね。少し、だけ容姿というか、年齢も違ったり、するけどね、そこはアレだよ。キミが動かしていたキャラに引っ張られているんだよ』
「わ、私は……………………ゲームの中にいるって事なの?」
『正解。ここはトミエクマの世界だよ。ようこそトミエクマへ』
「そう言われても何か現実味無いね……」
『そこの扉を出れば納得すると思うよ。その先、今はチーズレアのギルドに繋がっているから』
それは私が前回に止めた場所のことかしら。
…………ほんとかなぁ。
私はまだこのカエルのロフィさんを信用していない。
「ふーん。じゃあ確かめてみるよう」
扉を開くと私の身体は押し出された様に外へ出た。
…………そこは、確かに、ゲームで見たチーズレアのギルドの入り口前だった。
「え………………ホントに?」
振り返ると扉は瞬時に消えた。ウソ。
えええと、も、もしかしてホントに私、ゲームの世界へ来ているの???
ほっぺをつねるとやっぱ痛かった。
ううーん。しまった。
もう少しロフィさんに色々と聞いておくべきだった。
あれから大体1時間、私はギルドの入り口で途方に暮れていた。
何故ならば、そう。
ログアウトできないのだ。これは現実であると。
つまり私は此処で何時までかは解らないけど暮らしていかなければいけない。という事。
基本は寝泊まりにご飯とか? お金は足りるのかしら……からの実際死んだらどうなるのか?
問題は山積みだった。
攻撃を受けたら痛いのか? 怪我はするのかなども含めるとどうしたら良いのか解らなくなってしまった。
ようようようよう困ったよう。
どーすりゃお家に帰れるの。
色々と悩んでいたら突然どうでも良くなってきた。
その時に考えよう。
つねると痛いのとお腹も空くのは解った。
とりあえず今の目的は。
ギルドでお金が稼げるか聞いて、ごはんと寝泊まり出来るか聞いて、後は、後は…………。
そうだ、五次郎を助けないと。
多分進めば何かしら見えてくるはず。後はその時に考えよう。
大丈夫、行ける。
……………………あー。桃ちゃんに謝れなかったよ――――
それは心残り。
早くあっちに帰らないと。




