26話
「……………………なるほどね」
「…………何か、解るんですか?」
「コレは、コレ自体は特に価値が有るものでは無いわね、唯のイミテーションね。
だから恐らくは……メッセージという意味合いが近いと思う。今は……」
「…………イミテーション……え、今は?」
「そう。何らかの何か……ちょっと適当過ぎるけど何かが加わってこのイミテーションが変化する感じかしら。コレはそういう代物ね」
「つまり…………何かが足りないと?」
「そう。そうなるわ……」
でも材質がかなり特殊な物で――――飾りとしては素敵よ。
あとコレには何かの意志…………いや意思が感じられるわね。
……と話してくれた。
意志と意思の違いって何だろうと思った。
「ええと、たけのさんはゲームをお持ちなのですか?」
「ああ、うん【トミエクマ】は持っているわよ、結構、発売前から話題には上がっていてね」
「ゲームが好きなんですね。……ゲーマーですか?」
「あは。そうね、多分ゲーマーだよ私は……」
たけのさんに聞くと話題性があって何でも保存用と観賞用ととかで1個自分でプレイしていて後残り3個とかあるみたい。
わたしには同じ物を幾つも買うという事の意味が良く解らなかった。
「青葉からは聞いているわ。コレ、譲っても良いけど何か……対価を貰うわよ?」
たけのさんはテーブルの上に一つの箱を置いた。
その箱を見ると色々なファンタジーっぽい絵がいっぱい描いてあり【トミエクマ】とタイトルが大きく記入されている。
そして、対価と…………たけのさんは言った。
えちかの言っていた通り。
「話はなんとなく聞いています。…………わたしの……何を渡せば良いでしょうか?」
「……私にとってはこの【トミエクマ】は実はそんなに大事な物では無いんだ。遠江さん」
「…………はい」
「そして、今回は青葉から話を聞いていてね、だから……」
「……だから?」
「今回はキミが手にした『経験』が対価でどうかな?」
「………………経験が対価ですか?」
「そうだね、キミが【トミエクマ】で何を経験したかを私に教えて欲しい。まぁ、この話の結末をキミの視点で教えて欲しい。【トミエクマ】に関するもの全て。誰でも無くキミのね」
「良く、解らないんですけど……それで良いんですか?」
「うん。それが知りたいの、あー後はね、制約的な話しなんだけどね、この対価は誰にも話さない。コレは守ってね。私との取引はそれが大事だから」
「――――――――解りました」
「一応、今日から私に対価を渡すまでね。それ以降は好きに話して構わないわ。良いかな?」
「大丈夫です…………でもそれだけで良いのですか?」
「良いよ。ちゃんと理由はあるのよ、私の中にね」
「そうですか…………えちかが結構怖がっていた気がして」
「……あはははは。えっちゃんはね。理由があるのよ。でもえっちゃんの制約は3ヶ月だから今度、聞いてみたら?」
教えてくれるかは解らないけど。
そうたけのさんは話していた。
わたしは結構、拍子抜けというか、とんでもなく凄い事を要求されるのではと内心ドキドキしていたのに。
…………いや、期待なんてしていないって。ぜぜんん。
「じゃあ、楽しみに待っているわ」
「はい。ありがとうございました。たけのさん」
たけのさんと連絡先を交換してみんなと合流した。
あおばさんは私に上手く行ったのかしら、良かったわねと声を掛けてくれた。
そのままあおばさんはたけのさんと一緒にお店の裏方の方へ行ってしまった。
「さらお……無事だったみたいね」
「たけのさんは凄いからね……」
「話せないけど、そんなに凄くは無かったよう?」
2人は何というか、とても優しい顔をしていた。




