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144話

ナルちゃんに整えてもらった木刀は流石の切れ味だったが、使う毎にタコのヌメヌメした物が付着し徐々に切れ味が無くなっていた。


私はそれ位にタコの足だか手と格闘していた。


もうどれ位の長さの触手を斬り落とし二人の元へと運んだか解らない。

流石にソレだけの触手を斬り落としただけあってタコは随分と小さくなってきていた。


そう。小さくなるという表現が自分で使ってて意味分からなかったがそうなのだ。

斬り落とした体積分の本体が小さくなっているみたいだった。


この世界の生き物も私の知っている当たり前が通用しない。

そういう気がした。



……まぁ良いか。

気にしない気にしない。スパっとスパスパ。




ナルちゃんを見ると結構な感じでお腹がぽんぽこりんだった。

まぁそうだよね。食べ過ぎだよ。


イトウさんを見るとこちらを背にしていたから微妙に見えなかったが、何かを手にして掲げている。

ふるふると震える手にした物はそう。


何となくみえるソレは間違いなくアレだった。

ええと、み、見なかった事にし…………あ。


真ん中に名前が書いてあり名前までも見てしまった。




う、うん………………業がね、とっても深いんだ。

忘れよう。


知らない人の名前で良かった。

うんうん。





伝説のたこやき様こと大きなタコは私に永遠に切られて斬られて大分小さくなっていた。

もう私と同じ位の大きさ。


そろそろトドメかしらとか気を抜いていた私。

そりゃーそうだ。


今までほぼ攻撃という攻撃はされてないんだ。


そういうボーナスキャラ的な感じでしょ?

ってついつい思うのは私の甘さだった。



これでラストーって大振りの一撃を放った瞬間に私は攻撃を食らった。

触手に。



「むぐぅ…………」



何が起きたのか解らない。お星様が見えた。

でも今の自分の状況は解る。


何かが私の口を塞いでいる。

息が苦しい。



息を吸え。息を。



モゴモゴ。モゴモゴ。

そうだ。


触手が私の口に入り込んでいるんだ。

早く出さないと。早く早く!


両手で私の口に侵入している触手を掴み出そうと引っ張るけどヌメヌメした触手はつかみ所が無い。

出そうとしても出そうと頑張っても吸盤が吸い付き全然出せない。


苦しい。……うぐうぐぐ。

もう駄目かもと思ったときに何処からか声が聞こえた。



『お前は弱い。ソレを自覚しろ。……弱き者は手を抜くな。奢りは強者の特権ぞ?』



そんな声が近くで響き私の口に入っていた触手は口の中から出ていってくれた。


膝から崩れ落ち地面にへたり込む私。

咳が止まらない。口の中の気持ちが悪い感覚を早く取りたい。


吐きげが酷い。気持ちが悪い。


近くでイトウさんが呪文を唱えている。

その魔法により、直ぐに私の不快感は取り除かれた。


「…………ありが、とうございます。イトウさん」

「ふむ…………伝説のたこやき様はいかれたの」


辺りを見渡すがタコは何処にもいなかった。


「…………イトウさん。あのタコは一体」

「アレは伝説じゃ。何か、アドバイスをもらわなかったか?」


「……ええと。手を抜かずにと」

「ほお。…………良かったの。お主はソレを自覚して戦うと強くなれるぞ」


「そうなんですか?」

「アレは一種の神だからの……有難いお言葉だよ。それは」


思うところが一杯あったけど取りあえず受け入れた。

そして今日はお終い。一度寝床に戻りまた明日となった。


「ふぅー。今日はホント疲れたよお」

「あ、さらちゃんにもたこ焼き取っておいたよ? どぞどぞ食べて」


そんな感じで伝説のたこ焼きを勧めるナルちゃん。


しかし私は口に入った触手の感覚というか感じがまだ忘れられなくて、とてもじゃないけれど今たこ焼きを食べるなどというメンタルは持ち合わせてはいなかった。


「ごめん、ナルちゃん。折角だけど要らないよ。ナルちゃん代わりに食べて……」

「うひぇー。こんなにも美味しいのになぁー。残念だなぁ、さらちゃん。忘れられない程に美味しいのに」



…………あのノド越しを私は当面忘れないよ。ホント残念な感じ。



何はともあれ、地下189階層のボス。

たこやき様を倒しクリアーした。




イトウさんが先に言っていたのは、此処をクリアーすればあの2匹の犬と渡り合える位には強くなっているとかだったかな。

自覚も実感も無い。


しかし今日はおしまい。

お風呂に入りたい。サッパリとしたい。

もう疲れたし寝たい。ご飯は今日は要らない。



私は単純な欲望にまみれ気味だった。



そして、地下189階層が終わったという事は。

次は190階層。地獄の始まり。


このダンジョンの強い敵は190階層に集約されているらしい。

確かに200階層にいる敵も強いのだが、強さの方向性が違うとか。


次の地下190階層では日々バトルが繰り広げられていて、何時か集約すると。

そして再び始まるを永遠に繰り返している階層なんだとか。


トーナメントを行い、終わり、また始めるみたいな感じじゃよとかイトウさんが話してくれた。

ナルちゃんも地下190階層の事を知っていて。


「私はソコ出身だからね。今は誰が強いのかなぁ……」

「……………………」


多分、鬼しかいない場所なのだろうか?


でも、此処が終われば地上に戻れる。お外が見れる。


外の空気が吸いたい。お日様が見たい。


私は基本単純だから、此処に来た経緯とか最近は忘れてたし、この先の事などもまだまだ考えていなかった。

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