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139話

「っつつつつ…………い」



痛ったーーーーーーーーーい。



バランスを崩し倒れ込んだ。て、敵は…………。


身体をよじり忍者大カマキリを見るとヨロヨロとしている。


私に斬られたお腹からは何かがボトッと落ちたりしている。

恐らく…………致命傷だ。




……その後もヨロヨロとした足取りで何かを探すように千鳥足。

動きはゆっくりだが目的がある動きをしている様にも見えた。


私の方は足ひとつ。

左の足首から下を斬られてコロン。足は頑張れば届きそうな所に転がっていた。


転がっている私の足。

我ながらに恐ろしいワードだとか考えて気を紛らわせる。


アレ…………何秒? 何分経った? イトウさんは?

後ろなど、振り返るがいない。



気配も無い気がする。

血が止まらない。どっ、どおしよお。



死ねば最悪だけど祠に戻るよね。

とりあえず止血。


瞬間ファイアが頭に浮かんだけどそれは無理。

自分の身体には流石に怖くて放てない。



布で思いっきり縛るけど意味があるのか解らない位に血が滴ってる。

水も滴るとは言うけれど、血が滴っても良い事は無いよお。ああ紛らわせろ。



でもイトウさんは何処に?

声を出すのが怖かったけれど「おーい、いとーさーん」と呼んでみた。


それはか細い声しか出ない。

怖さとか出血とか色々混ざって声出せないよう。




「誰か………………」




――――――――此処はダンジョンの下層。


助けてくれるものなんていない場所。



そもそも人がいないもの。



私と動きを止めたカマキリしかいない。

ああどうしよう。


まさか、イトウさんがいなくなるなんて事は流石に想定外だったよ。


うーん。

もう私、死ねないんだよなぁ。


多分、次死ぬと指が少し……永遠に持って行かれる。ダンジョンにね。

それは、治癒では治らないだろうし。



あああんよが痛い。あんあん。



何か、視野の先、ええと……カマキリしかいない方向に何かが動いている気がして……。

そっちを見ると先程の忍者大カマキリはええと……んん?


お尻を上へ上へと上げてからそっと地面に付ける。

あの辺って確か大っきい水たまりがあった気がする。


ダンジョンってそんなに水たまりは見ないから良く覚えていた。


ソコにお尻を近づけて身体を震わせている。



「ええと…………」



余りにもカマキリの動きが変なのと行動が意味不明だったので気になって見ていた。

お、おトイレ…………って感じでも無いしなぁ。


まぁ良いか、いとうさんいとうさん早く来てー私の足が大ぴんちー。


あれ……何か気になりもう一度カマキリを見るとお尻を大きく上に上げている。

そして……お尻に何か……が見える…………ん?



「あ……………………」



五次郎は昔だけど一時期、昆虫が好きで良くおばあちゃんに昆虫の図鑑を買って貰ったりしていた。



「何コレ何コレ」

「う、うん。きせいちゅうって言うんだって」

「きんもーい」

「そうだね-」



遙か彼方。昔の記憶…………あれって寄生虫。





…………でね。奴が瀕死の時なんだけど、一つだけ最悪な敵に変化することがあってね。

まぁハプニングによる形が殆どだけどもし遭遇したら必ず仕留めること。

ソイツは次の宿主を探しているから。



「次のしゅく…………宿主ですか?」

「そう。……………………つまり一番近くにいる生き物のお尻を狙っているのよ」

「……おしりを――――――狙っ……てひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」



最悪な敵。興味本位でサマーさんから結局聞いてしまった話。

その最悪にまさか遭遇するなんて。


もりもりとお尻から出て来ている寄生虫は水の中へ入ろうとウネウネウネウネ。


「し、仕留めないと…………」


って思ってもこんな状態で倒せるだろうか。

確か、必ず仕留めろって言っていた気がするよ。



うん。立ち上がり、倒しに行こう。最悪を。



じゃないと私のおしりが狙われる。

剣を杖の代わりにしてなんとか立ち上がった。


少し大きめの魔法打ち込んじゃおうかしらとかも考えたケド確実に倒せたかの確認が出来ないかも知れない。


「うーん…………仕方が無い」


今ならまだ簡単に倒せる。


長さが足りていない左足を引きずる様に歩く。

もう少しだ。


再び見るとカマキリのお尻から出ている奴はウネウネしながらも水の中へ入り出した。

い、急がないと。




もう結構な時間が経過している。

恐らく私は結構な感じの出血をしているだろうか。


立ちくらみの様な、血が足りていない感覚に意識を引き戻す。

もう少しだけ……頑張らないと。


少し見上げる程には大きいカマキリ。

忍者大カマキリは既に活動を停止している。


背後へと近づくとカマキリのお尻から結構太いウネウネしたもの。

それが水たまりの中へ中へと動いている。


水たまりを見ると太くて長くてウネウネしたものが水たまりの中を蠢いていた。




「け、結構長くて……太い」




急げ。私は剣を上に掲げてカマキリのお尻から出ている寄生虫目掛けて剣を振り下ろした。



スカッ。



そう。…………私の振り下ろした剣は空を斬った。

間に合わなかった。最後尾の尻尾なのか身体なのかもう良く解らない寄生虫の身体は水たまりへ入りきった。


ええと、水たまりに剣を刺せば倒せるかしら……。



水たまりの殆どが長い寄生虫の身体で埋まっている。

何処に振り下ろしても身体には当たるだろう。

少しだけ迷ったけれど実行した。


私の下に下ろした頑丈な銅の剣の切っ先は水たまりの中へ入った寄生虫の身体を捉えたが弾かれてしまった。


「か、堅い……」


見た目は柔らかそうだったんだけど剣からの感触は鉄か何かだった。

鉄とかの固い物を斬ろうとした感覚。


それ位の硬度はあった。



「ど、どうしよお……」



小さい水たまりの中をスイスイと、ウネウネと蠢く奴。

片側の先っぽを水面から出し此方を…………見た。




『――――――――ま…………ま……」




その言葉を聞いた瞬間私の剣は水平に横を薙ぐ――――――――。

だが水面に逃げる奴。


…………ママ。

そう…………奴は私を認識したんだ。



血の気が引く感覚と共にお尻を抑えた。

むっ…………無理。


片方の足が無い事も考えずに私はその場を逃げ出した。

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