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135話

ガキン。



私の振り下ろした頑丈な銅の剣の腹の部分が何者かに咥えられた。

腕に力を入れ、振り解こうとしたけど思ったよりしっかりと咥えている。


仕方ない。

離して後方へと飛ぶ。



……私の剣。頑丈な銅の剣を咥えたモノ。


別の個体。こちらも犬だった。

違いはしっかりとした首が一つのみ。

こちらはケルベロスでは無いのかしら。


ペッと私の剣を吐き出した犬。

黒を基調とした色合いに全身を覆う結構堅そうな毛。


目は赤く鋭い。とても……強そうな犬だった。



佇まいも芯があり凜としている。

すごく絵になりそうな漆黒の犬…………。



おっといけない。

私の剣を吐き出した犬は間合いを計るかの様に動き私を牽制している。

……多分、ケルベロスの回復時間を作っているのだろう。

――――賢い。


ヴォフと一つ吠え私に突進する様を見せて――――――途中で止まる。

色々な動きで牽制してくる。

んむ…………少し戦いにくい。


こちらから攻めてみるか。


ずっと動きで私を牽制している犬。


動きは結構機敏で来る! っと思っても来ない。

というフェイントを基本。殆ど攻撃はしてこない。


その動きを逆手に取りタイミングを見計らい攻めようと思ったがその動きすら見抜かれた。

巧者でもあった。凄く戦い慣れている。


その間も時間は進みケルベロスは立ち上がり痺れから復活し私の敵は二匹となった。


まだ完全に痺れは取れていない様子のケルベロスとその隣には漆黒の犬。




不利かな…………。

でもこの二匹から逃げられる気がしない。背を向けたら負けそう。


敢えて牽制のために一歩、私は前へ出た。


……するとケルベロスが釣られるように少し前へ進んできた。

まだ痺れているのかその動きはぎこちない。


もう一匹は動かないで私の様子を見ていたが先程までと違い、とても何かを言いたそうな目をしていた。

うーん。


まぁ良いや、自分の感性を信じよう。




「…………あなたは言葉、話せますか?」




 ◇◇◇◇





此処は、カプリスダンジョンの地下160階層の奥。

この階層はどちらかと言うと暗めだけど、今いる所はそのフィールドの中でも比較的明るい場所だった。


そして私と対峙しているお犬さま2匹。


片一方は戦意剥き出しで今にも飛びかかって来そうな雰囲気。

しかし身体は私のアイスボルトによってまだ微妙に痺れている。

もう一匹はじっと私を見ている。




ダンジョンの深部。そんな場所で強そうな犬に話しかけているわたし。

さっきは駄目だったし、こっちも無理かなぁ?


とも思ったけど……なんだろ、このNPCに何度も話しかけてしまう様な感覚は……。



「…………お前は何者だ?」



もう一匹、黒い犬はそう話を返してきたんだ。

おおっ! とかビックリしているん私だけど、この質問に対しなんて返せば良いのかしら?


「私は――――まだ何者でも無いと思うんだけど、もう人間は止めているのかも知れないね」


実際、あの出来事があって。


何かを。

そう。人としての『何か』を失ってしまった。



そんな気持ちになったんだ。



ただね。

純粋に――――――悲しかった。



そしてね。



もう、私の心の一部が空っぽになって。


そこで止まれればまだ良かったんだけどね――――――――


――――それだけで終わらなかったんだよ…………目の前の犬くん?




そう心でも語りかけている私。


「お前からは…………ダンジョンの意思を感じる」


「…………ダンジョンの意思」


そう目の前の黒い犬は話した。


…………それは少しあるかも知れないね。

これだけ此処で死んでてさ、そして生き返り。また死んで。


私の身体の殆どがもうダンジョンから生成されてしまっているはずだよね。

もう100パーセントの純粋さらおでは無いのですよ。



「フン、まぁ良い。お前は保留だ」


黒い犬は私にそう話し、ケルベロスと共に何処かへと行ってしまった。

………………もう少し話したかったな。




「やはり、只者では無いわたし…………もう色々と終わっているかものまきー」


……………………はぁ。


いいや、先に進もう。

そのまま少し歩くと次の階層へ進む道が見えた。


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