134話
ケルベロスによる火炎放射により戦いの火蓋は切られた。
恐らく160階層のラスト。
此処を越えれば161階層へ行ける筈。
火炎放射は示しを合わせたかの様な三連の火炎放射。
流石に火炎と火炎の間にて避けるとかは無い無い。
範囲外に斜線を躱して距離を取り逃げた。
アレはきっと熱い。
やっぱり熱い物に対しは絶賛トラウマ中なわたくし。
基本少しでも受けたくない。だって思い出すからという弱メンタル。
でも私の心にも同時に火を付けた。
こんな状態の私に嫌がらせとも思える炎の攻撃とは普通に許せぬよ?
寧ろホットドッグにしてヤルうとばかりにこちらもファイアの魔法を牽制で放つ。
……このタイミングの魔法は恐らくケルベロスなら避けられた筈、だが奴は避けずに受けた。
「そんなもの」とばかりに。
火を使うから火は食らっても大丈夫とかとはまた違う論理。
耐性は無いかも知れないじゃない? って少し勘ぐったんだけど残念ながら私の魔法ファイアは効いていないみたい。
じゃあお約束で冷たいのはどうかなぁ?
「この世界にある万物の源より紡ぎしマナにより……その力を我に示せ。アイス」
キンキンに冷えたアイスはいかがですか? と先程の火炎やファイアにより周囲の温度がかなり上がっているフロアーに、ケルベロスに冷えっひえのアイスを投げ入れてみた。
私の放った魔法アイスは一直線にケルベロスへと向かう。
その冷たそうなアイスをケルベロスは避けずに受けた。
「……うん、効いていないね」
というか、寧ろ暑かったから気持ちいーって喜んでるぞあの右のワンコ。
基本四種の魔法は恐らくケルベロスには効かないね。
魔法耐性が強いという事なのかしら……。
イトウさん曰く私の魔法は基本四種でも中々な威力と言ってたんだけどなぁ。
しっかりと黒死鳥とかには効いていたし……。
うーん…………。
覚えたての中級四種いっちゃお。
すーっとひと息、吸ってから……よし。
「紡ぎし……マナの根源により……解放せし更なる力よ、我を媒介とし…………その威力を顕せ」
目標を見据えて、私は唱えた文言に魂を込める感覚で……その魔法を具現させた。
「…………アイスボルト」
バチッと電気が凍る音。
私の指先から電気が溢れ出て凍る。
それは線香花火の様な模様を描き目標を決めた私の指先から放たれた。
空中を凍らせつつ走る電気、氷と電気二つの性質が相容れた形を成しているが時折その性質はぶつかりあっている。
獰猛に獲物を狙う凍った電気は嘶きながら敵ケルベロス目掛けて駆ける。
そんな私の中級魔法アイスボルトをケルベロスは受けた。
しかしアイスボルトの威力は消せなかった様で体中に電気を帯びたケルベロスはそのまま凍ってゆく。
全身、全身に薄い氷の膜が覆い電気が走って氷が砕けた。
流石のケルベロスもアイスボルトが効いたのか後ずさった。
ケルベロスは直撃を受けたんだ。
痺れと戦う様に耐えているケルベロス。
数回あんよがカックンとしていた、これはチャンスか?
私は用心しながらもう一度アイスボルトを唱えた。呪文を発射と同時に前へ駆けるつもりだ。
――――――――アイスボルト。
指の先から放たれた凍れる電気アイスボルト。
イメージするは陽動に騙し。
そのイメージ通りに魔法アイスボルトは突き進む。
上下左右にジグザグと。
多分、私でもこの魔法、避けること出来ないかなぁと敵ケルベロスがどう出るのかも気になった。
そんなアイスボルトの後ろを駆ける私。頑丈な銅の剣を虚空の収納から出して完全に攻撃態勢。
アイスボルトを追いかける様に敵のケルベロスへと突き進む私。
でも距離はそこまで離れていない為、直ぐにアイスボルトはケルベロスへと当たる。
ケルベロスはこの魔法を甘く見た。
何故ならば、この電気は蓄積するんだ。
恐らく食らってから気が付いたであろうケルベロスの四肢は完全に地面に付いた。
そしてお座り状態になっているケルベロスの一首に私の頑丈な銅の剣の一振りが間髪入れずに襲う。
――――――――心で、うん。
まぁこれは決まったよね、き、き、決まったー。とかさぁ?
……ふふんとばかりに考えていた訳なのよ?
そうなのだ。
結果、この攻撃は防がれた。
突然の来訪者によって。




