131話
「ええと、此処がしゃとーで、これがいちぼだよ?」
「……何の話をしているのかな? ナルちゃん」
「美味しいものの話だよ? さっきのうしさんの美味しいところ取っておいたから後で食べてね!」
「そうなの?」
「そうだよ! とっても希少なおにくなんだから! 美味しかったよ、生でも」
「…………そなんだ。ありがとナルちゃん」
意外にグルメ王な彼女に私の最近の食生活は支えられていた。
何でもダンジョンに生成されている食べ物は殆ど知っているらしい。
「今度ドラゴン食べに行こうよ」とか恐ろしいことを天真爛漫に、にぱっと笑いながら言う彼女はどれ位に強いのだろうか。
もうみんな戦闘は彼女で良いんじゃとか少し思ったけど、そこは彼女。
気まぐれだから、当てにはならない。
まぁそんなもんだ。
イトウさんに彼女、ナルちゃんを見せたら絶句していた。
アゴが外れそうな程に大きく口を開けていた人を始めて見たよ。
「そ、存在していたのか…………女王箱」
しかし意外にもイトウさんと彼女は仲が良い。
見ていたらもうアレ、孫とおじいの関係だった。結構何かしらで遊んでいる。
「ねえねえあれたべたい」
「よしよし取ってくるよ」
「ねえねえアレ欲しいな」
「うんうん、それだね、よしよし」
まぁ良いかとか一瞬だけ思った。
でも一緒にお風呂に入ろうとかそんな話になっていた時に私は全力で止めた。
このエロじいじいめ。顔がシュンとなっていたけど駄目な物はだめなのだよ?
「じゃあさらちゃん一緒に入ろうよ」
えー。私お風呂は一人したい派なんだけどなぁー。
んー。
「…………今回だけね」
「わぁい。さらちゃんとおふろお」
なるちゃんはとっても喜んでいた。
エロじじいは指をくわえていた。
そんな状況に私は天を仰ぎに仰いだ。
ノノノノ。
「次、来たよ?」
ナルちゃんはそう教えてくれた。
正面を見るとスルスルスルスルと此方へ近づいてくる何者か……。
視認出来るところまできて理解した。
「蛇だね、うん」
「アレはね…………ナーガだよ? あんまり美味しくないんだよ?」
何かを見ると美味しい、美味しくないで考えるのは止めて貰いたい気がするけど個人の感想だから仕方ない。
木刀はナルちゃんに持って行かれたので宝箱に入っていた強そうな弱い宝玉剣を使う事にした。
装飾は確かに凄いんだけど微妙になまくらなんだよね、うん残念。
見目は豪華。
それはそれは綺麗で美しいまであるかもしんない宝玉剣。
しかし実体はかなりのなまくらな剣。
もしかしたら始めに使っていた頑丈な銅の剣と良い勝負かも。
いや、多分あっちの方が使いやすい。
そんな微妙すぎる獲物で私はナーガと対峙した。
結構大きい……というか長いというか太い?
蛇って形容の仕方がわかんない。
動きは中々速い。
スルスルと勢いのまま此方に向かってくるけど私もスピードは中々なのだよ? ふふふ。
蛇の動きに対応した横、斜めの動きをして牽制。隙を探しながら動く。
左に振ってから此方へと首ごと、身体ごと勢いで私の首筋目掛けてくるナーガ。
そのまま剣を薙ぐか口が開いた時を狙って突くか悩み薙いだ。
しかし、首が思ったより太いからと剣の切れ味とか、色々な条件で斬れなかった。
というか剣を持っていかれた。
でも敵、ナーガも半分ぐらい首が切れて結構な出血をしている。
動きはまだ鈍っていない。
左右にフェイント掛けつつ向かってくる。
私は素手。
直ぐに空間から頑丈な銅の剣を出し振り抜いた。
慣れているこちらの剣の威力は言わば200パーセント以上の力を出せる。
半分切れている首を狙って斬り抜いた。
ナーガの上半身も下半身もまだ動いているけど戦闘不能。
うーん……武器が欲しい。
ナルちゃんに取られてしまった木刀は結構強いのだけど、もっともっとと切りが無いのも解っているけれどもさぁ。
もう少し強い武器が欲しいね。
誰かドロップでもしないかなぁ。
「ねぇねぇナルちゃん。武器返してよお……」
「え…………いやだよ?」
「じゃあ何か武器手に入れるまで戦ってよ?」
「それもいやだよ?」
「もう! 手伝ってよう……」
「たまにねっ」
「…………ぐぬぬぬ」
魔法も覚えていかないとなぁ。ライトニングは怖くって使えないからなぁ。
うーん。どうしたものか……。
まだ私、基本四種しか覚えてないんだよね。
その基本もいまいち良く解らない儘に使ってるし。
結局は何時になっても問題は付いてくる。
それはそういうものなのかも知れないケド一つ一つと区切りを付けたい私だった。




