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128話

そんなヘンテコなルーレットに遊ばれて私たちは翌日の学校帰りにお店へと出勤した。



教えて貰った住所へ行くと如何にもーなお店が多数存在していそうなビルの6階。

エレベーターも付いてはいたが中々降りてこなかった為に階段で登ってみた。


「せ、先輩……6階は意外にきついっす……はぁはぁ…………」

「そ、そうだな……結構階段も急だし、でもあと2階だ…………あふあふ」


エレベーター10分位待っても降りてこなかったんだよなぁ。

でももう少し待つべきだったか……。

ふぅ。やっと着いた。


ドアには呼び鈴が無く『ぴっくポップメーカー』と書いてある。

ドアノブを回すと開き中が見えた。その空間は所謂メイド喫茶風の作り。


4人用のテーブルが幾つかとソファーが置いてありパステル調を基本とした色合いにファンシーな感じの店の中だった。


電気は付いているから誰かしらいるかなと思い「すみません、誰かいませんか?」と声を出そうとした所に声を掛けられた。


「お、きたきた、待ってたよ! 何処でも良いから座っててよ、すぐ行くから!」


カーテンで仕切られている所から顔を出してそう話す瑞姫さん。

此処、ぴっくポップメーカーの店長らしい。


何処でも良いと言われると悩む。

でもそんなので悩みたくない私は全体が見渡せそうな一番奥まで行って角の席に座った。

すると、桃萌は私の正面に座った。


「……見るからには、メイド喫茶っすね。先輩」

「…………そうだな、思ったより健全そうだな」


メニューがテーブルに置いてあり、見て見ると普通の喫茶店よりかは少し割高になっている気がする値段設定。


店員のメイドとゲームを出来るとかのゲーム付きジュースやチェキと言って誰かを指名して写真を一緒に撮れるサービスなど。


私はメイド喫茶なんて来た事が無いけど、何となく知っている知識の範囲で対応出来そうな、そんなイメージをメニューから見て取れた。


「おまたせ。道は迷わなかったかい?」


テーブルに瑞姫さんがお茶を持って来て桃萌は私の隣に席を移動してきた。

代わり正面に瑞姫さんが座った。


「……エレベーターが中々来なかったよ」

「6階まで階段はきついっす……」


若いんだから頑張れと言う瑞姫さんは早速だけどと店の事を話し出した。


「此処は店名ぴっくポップメーカーと言ってね。まぁ、見るからにのメイド喫茶なんだけどね。キミたちを誘ったのは此処のメイドにって話だけでは無いんだ」


「……………………と言うと?」


「うん。事業を拡大と言うか、繋げようと思ってね、先月までこの下の階でやっていたイメクラを止めてリフレのお店にするつもりでね、その店員になって欲しいんだよね」


そう瑞姫さんは話すが私たちはまだ学生。

そんなお店で働いていてバレたらある意味大変な事になりかねないと思う。

大丈夫かなぁ。


「……私たちは学生なんで勿論ですけど解ってますよね? 瑞姫さん」


「ああ、うん。大丈夫。お部屋でお話をするとか、簡単なマッサージしてあげるとか、耳かきとか手を手で洗ってあげるとか、まぁその程度にするから」


「……その程度でも駄目な気がしますケド…………」

「そうだね、普通ならね」


そう瑞姫さんは話した。普通ならねって事はこのお店は普通では無いという裏返し。


「桃萌はどう?」

「全然良いっす。楽しそうじゃないですか。何でも敬虔って誰か言ってましたよ」


「…………桃萌、それだと経験の意味合いが真逆だよ、全然慎ましくないよこのお店は」


「大丈夫だよ、表向きは唯のリフレだからね、もち慎ましいし、あ、何ならシスターとかのコスで接客する?」


ウチはコスプレ衣装各種揃っているから何でも言ってねと瑞姫さんは言っていた。

桃萌は他の学校の制服を着たい着たいと食いついている。


「週に2日ぐらいなら……」

「…………偶に3日でどう?」


桃萌を見るとオッケーっすやりましょう先輩と両手をグーの形で前に揃えて何か凄いやる気だ。


「――――――――解りました。よろしくおねがいします、瑞姫さん」


こうして私と桃萌はぴっくポップメーカーというお店で働く事になった。




 ◇◇◇◇




そんなとあるアルバイトの日。


「山桜さんご指名入りましたー。3番でお願いしますー」

「……はい。3号室で、了解です」


何だかんだで私たちはこのお店で働く事になって早3ヶ月程。

個室は5つあり上の階のお店でメイド喫茶的な事が行われていて、ご指名が入ると下の階の部屋でリフレを行うという感じ。


メイド喫茶単体だと客単価が大体一人2千円前後だけどリフレは単価1万円ぐらいになる事が多く、このお店を支えているというよりもうメインに近い。


結局何をするのかと言うと、個室内でのお喋りとか、マッサージなど。

客層は思ったより年齢もバラバラ。


70歳以上の私から見るとおじいちゃんが来る事もある。

若いと大学生ぐらい。

と言っても私よりみんな年上だ。


偶になんだけど、女性のお客さんも来る事が有り、もう結構慣れてしまった男性とのやり取りよりも、むしろ同性である女性の方が私はドキドキもするし緊張もする。


しかも綺麗なんだよ。

まぁ以外にそういうもんなのかもねと他の同僚と良く話題に出る。


一応在籍という形で此処には女性スタッフが約30人ほどいてメインで週に5日働いている人もいれば月に1回ぐらい顔を出すレアな人もいる。


私と桃萌は始めに話した通り週に2回から3回ほど学校が終わってからアルバイトとして働いていた。

実入りは結構良く、チップで貰える『お小遣い』が日当を超えてしまうことも多かった。


今日は結局常連さんの一人と新規の人が一人だった。



常連さんの方はもう慣れた様子で楽しんで貰ったんだけど問題は新規の人だったんだ。


「いらっしゃいかしましさん」

「山桜さんまた来たよ、3日振りだねー」


「そうですね、もう私にガチ恋なんじゃ無いですかー?」

「あははは。そうそう。山桜さんに惚れちゃってるよ俺」


「来てくれるのは嬉しいけどかしましさん歪んでるからなぁー」

「でしょ、ゆがみねぇのよ、この性癖」


「じゃあ……今日もアレで?」

「うん。ボクを生んでくれてありがとう、ママぁー」


……まぁ性癖は人それぞれだし、きっとみんな疲れているんだろうね。


延長含め2時間程かしましさんと遊んだ後の次。

その新規の人が私の知り合いだったんだ。


「…………遠江さん」

「……………………え? 先生っ?」


次の人を部屋で待っていると、学校の先生。

青巻紙先生がいた。


青巻紙先生は私の学校の先生で、尚且つ学校で唯一私が尊敬出来ると思っている先生だった。


そんな先生がこのいかがわしいお店と私が言うのもアレだけどなお店で更には私を指名している状態。

三畳半ほどの部屋の扉を開けた先生も私も固まっている。


「と、取りあえず座りませんか……」


この状況、何とか先生と話したいと思いそう声を掛けた。


「………………明日。放課後に【人名探索部】の部室へ来なさい」

「……………………」


そう青巻紙先生は話すと部屋に入らずにそのまま帰ってしまった。

流石に不味いと思い店長の瑞姫さんに話すと「私の方で何とかしておくから、明日また何を話したかを電話で教えて」


とそう私に話す瑞姫さん。

……何とかしておくって言われてもなぁ。


…………しかし、先生が来たのは偶然か、若しくは当たりを付けていて来たのかで全然意味合いも含めて違ってくる。


普通に何も手を打たなければ停学や退学なんて話しにも発展する可能性が高い。

でも瑞姫さんに何か手を打たれるのもどうかと思うが散々『ルーレット』で酷いことをしてきた私が言うのも変かも知れない。


「うーん…………」


どうするべきか…………。




桃萌に電話で話した結果、「今日は家の親いないんでウチに来ませんか?」という事で、夜に桃萌の家で話しをする事になった。

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